俳句例:101句目～
手術待つ土が枯葉を待つやうに/岸秋渓子
オペの眼のただしき紅葉明りかな/角光雄
動く寒さの時計は外し手術台/加藤知世子
るいるいと蟇交み手術延びてをり/石田波郷
蕗むいて師の手術日の落つかず/八牧美喜子
手術着に着せ替へられてそゞろ寒/綿谷吉男
手術場へいくつある扉や秋の薔薇/朝倉和江
手術後の掌に蛇の衣ふはりふはり/野澤節子
手術野に臍があるなりひつそりと/横山白虹
手術場の玻璃のちゝ色くもりぬれ/横山白虹
子の手術終へしや町に早稲の波/秋元不死男
明易きひかりを玻璃に手術了ふ/下村ひろし
手術痩せの身に十一月終りけり/上野さち子
手術には外してゆきし眼鏡凍む/中戸川朝人
いましがた手術せし手で梨をむく/吉田三角
鮮烈なるダリヤを挿せり手術以後/石田波郷
声なき慟哭裸身ささげる手術台/加藤知世子
手術痕いたはる夫の絹マフラー/広田恵美子
扇ぎやる茫々と手術越え来し貌/赤城さかえ
おぼろ一夜一夜と癌の手術待つ/古賀まり子
俳句例:121句目～
オペ了へし担送車触れ聖樹鳴る/中戸川朝人
ねむごろに洗へり明日は手術の髪/品川鈴子
手術台へのるとき窓の花悠々/飛鳥田れい無公
虫しぐれ手術待つベッド初夜に似る/岩田昌寿
手術待つなべて秋衣を身より離し/長谷川秋子
やゝ寒の手術に向う操車の音/赤城さかえ句集
生き死にの手術のあとやシクラメン/石田小坡
手術があるという枕元に紙札が置かれた/住宅顕信
巨人のごと手術経し身が蟻見おろす/赤城さかえ句集
