兵を使用した俳句

俳句例:201句目~

野遊びの皆伏し彼等兵たりき/西東三鬼

かげろふや丘に群がる兵の霊/石原八束

廃兵と聖樹棄てられ街光る/田川飛旅子

兵舎の黒人バナナ争う春の午後/島津亮

繃帯を巻かれ巨大な兵となる/渡辺白泉

喇叭水仙黄なり少年兵の墓/山崎ひさを

すつきりと水仙に佇つ戦傷兵/萩原麦草

近衛兵の帽子ぐらつと虻払ふ/須川洋子

つばくらや浪には若き空の兵/林原耒井

農兵のこと奏しけり県召/安斎桜カイ子

兵送り月しんしんと草に冷ゆ/河合凱夫

短夜の奇兵は谿をわたりけり/会津八一

なつかしや雪の電車の近衛兵/飯田蛇笏

座敷まで正月の陽差兵の写真/川崎展宏

兵通るとひきずり寄せぬ籾莚/西山泊雲

まぼろしの兵馬か山の霞飛ぶ/高井北杜

春の雲睨めつけて白衣短き兵/渡邊水巴

寒林のゆらぐと見しや兵の列/岩田昌寿

蟋蟀や兵四五人を泊めしこと/石原京子

海辺行く傷兵ら士官椿持ちぬ/渡邊水巴

俳句例:221句目~

蝗炒るむかし兵馬を征かしめて/糸大八

蚊遣草陸兵と刈りわかちけり/皆川白陀

早苗の上農兵節の富士現るる/高澤良一

蘆の芽に兵船渦をのこし去る/佐野良太

兵馬俑八千のこゑ蝉山河/鍵和田ゆう子

田村草兵火に耐へし堂ひとつ/大島民郎

兵馬俑棋峙して寒き地を走る/石原八束

敗兵となりたる汗を掌で拭ふ/塩田丸男

冬鳩の物見の兵のごとく翔つ/平井照敏

一位の実真赤ぞ義仲挙兵の地/江崎成則

秋晴や黍の葉わけて帰郷兵/大橋櫻坡子

外套やバッキンガムの兵不動/野村通恵

薫風や歩み出すかに兵馬俑/鎌田八重子

薊挿し兵たくましく午睡せり/横山白虹

竜胆におぼるる兵のをさな顔/飯田蛇笏

人ちらほら練兵場の初日かな/会津八一

薄物の肩透きゐるが帰還兵/加藤知世子

女兵居り空が野菜の匂いして/阿部完市

傷兵と犬居てしろし落葉昏る/細谷源二

落梅の打身の痣や露兵墓地/平井さち子

俳句例:241句目~

傷兵に機関銃の音の夜は鳴る/横山白虹

種芋や兵火のあとの古都の畠/飯田蛇笏

傷兵の冬日を犬がかきみだす/横山白虹

夏草や駄菓子を欲しと兵若き/松村蒼石

傷兵の生きて目に見る青蜜柑/加藤秋邨

梅林や兵来る径を犬も来る/金子せん女

女優来て唄へり傷兵雲を見る/岸風三楼

傷兵や北風吹く門に母を送る/岸風三楼

克明に撃たるる兵ら麦の秋/磯貝碧蹄館

楡の花こぼるる門を兵掃けり/田村了咲

日盛の笑顔つぎ~兵征きぬ/佐野青陽人

抜くは長井兵助の太刀春の風/夏目漱石

兵ともに大將瓜をわかたれし/蕪村遺稿

若芝や墓に兵の名祖国の名/山崎ひさを

兵なりし脚は老いずと富士詣/柏木久枝

兵のひかへてふたり子の日哉/榎本其角

夏赤き凧あげ召集兵の子なり/細谷源二

大兵のかり寝あはれむ蒲団哉/與謝蕪村

秋立つと視線はるかな兵馬俑/矢野緑詩

片蔭に銃持つ兵のゐてロシヤ/慶伊那子

俳句例:261句目~

氷鳴る逃亡兵のごとく鳴る/山地春眠子

花多き雨期の館並び兵着きぬ/藤後左右

秋しろき戦傷兵と窓にわかれ/細谷源二

日焼兵の敬礼の肘ドンと我へ/香西照雄

兵の顔あはれ稚し汗拭くなど/加藤楸邨

兵の馬たりし顔上げ花野行/殿村莵絲子

天仰ぐ撃たれし兵も冬の木も/野中亮介

兵をして盲の馬をひかしむる/細谷源二

花の夜や異国の兵と指睦び/鈴木しづ子

兵俑となりても序列雲の峰/鈴木やす江

皇国のをみなの秋や兵倦まず/攝津幸彦

帰還兵病めり熟れゐる山の麦/臼田亞浪

干草に寝て一兵のよみがえる/鈴木渓子

兵泊めて大演習は明日となる/松藤夏山

兵泊めて海荘の浴室霧罩むる/宮武寒々

沼の道むかし枯野の兵舎おもふ/瀧春一

兵火以後は衰へし寺月見草/大峯あきら

皇居拝して去る帰還兵日短き/渡邊水巴

生き延びし学徒兵われ敗戦忌/木暮剛平

兵舎のあと枯草圧して雪残る/桜井博道

俳句例:281句目~

哨兵と傷兵が醒め野分の夜/鈴木六林男

向日葵や還りきたりし兵の影/福島壺春

除隊兵一夜明けた家の畑を見/喜谷六花

除隊兵両手の提げた角な包み/喜谷六花

陽の枯野仮睡の中に傷兵佇つ/大井雅人

応召兵夏の朝日に粛然と/長谷川かな女

雑兵のごとく藁塚立つ関ケ原/池田秀水

雪原に屯田兵舎と碑が一本/瀬野美和子

雪尖るレイテに果てし兵の墓/品川鈴子

霧の灯の街底にして兵酔へり/中島斌雄

情事話頭に兵塵想ふこの柳/河東碧梧桐

霾るや兵馬の想ひ遠くなりぬ/小林康治

青田径送られ稚き兵たりける/岸風三楼

青蔦や騎馬かつかつと警邏兵/大津希水

初夢や故国を恋ひし兵のころ/三浦誠子

村は新緑戸籍に死にし兵帰る/橋本夢道

馬ひいて兵たりし街冬ざるる/巌谷小波

馬上の兵銃口を寒き民に向け/田村俊夫

少年兵を氷江に追ひ刺し落す/細谷源二

帰還兵なり雪嶺の下に逢ふ/文挾夫佐恵