真夜に関連した俳句の例をまとめました。
真夜を含む俳句例
玉祭夜更て瓜の匂ひかな/野梅
俎の白く元日夜更けたり/岡本眸
秋なれや四条河原の夜更方/団水
手焙に銀瓶の斜なる夜更/尾崎紅葉
鉢叩き夜更けて道の広さかな/智月
水使ふ音の夜更けて旱星/内藤吐天
寒夜更く鳴動つづく登窯/谷本淳子
馬追に硬山颪し夜更けたり/小林康治
鉢たふき夜更けて道の広さかな/智月
踊子の肌に紅ます夜更けては/杉本寛
鮎の瀬の音に夜更くる峡の町/上村占
梅固し女工米研ぐ夜更けては/飴山實
宝船敷いて夜更ししてをりぬ/町春草
馬道を水鶏のありく夜更かな/泉鏡花
外套のその儘通る夜更かな/尾崎紅葉
父の忌の夜更けて香り桜炭/大野崇文
夜更けては厠洗へる裸かな/石塚友二
一人と一蜉蝣と夜更かしす/池田澄子
冬帽や夜更け見えたる一飛沫/藤田湘子
竹の子の夜更けて生る露の中/中川宋淵
俳句例:21句目～
縁切りて帰る夜更けぬ川千鳥/尾崎紅葉
荒草に夜更けて光る梅雨の星/野澤節子
虫の音や夜更てしづむ石の中/斯波園女
金魚店仕舞ふ夜更けの水流す/原田種茅
門涼みかかる夜更けに旅の人/高野素十
夜更くるや叩かで戻る寒念佛/会津八一
夜更けて吹き手の替る虎落笛/棚山波朗
夜更けて河鹿鳴き出す長良川/磯野充伯
天の川艦橋の上に夜更けたり/寺田寅彦
寒稽古夜更けて残る二人きり/鈴木花蓑
引き返し夜更の太鼓焼を買ふ/秋山修良
わが愛す夜更にふるや淡き雪/佐野良太
祭囃子やみし夜更の湯を使ふ/佐野美智
桐明ノ夜更カシテ春寒キ夜々/内田百間
濃りんどう桔梗花市夜更けても/及川貞
無人の家夜更けて戻る寒風裡/石塚友二
燈籠に夜更けて霧の逼るなり/芦田秋窓
石像の裸女に新樹の夜更けぬる/友次郎
秋蚕飼ふ村の夜更けの通り雨/田中冬二
夜更けて蛇ゆく自在愉しからむ/中山純子
俳句例:41句目～
だんご汁重ねて霜夜更かしけり/岡本庚子
捕虫網踏みぬ夜更の子の部屋に/石田波郷
温石を焼く火とぼしき夜更かな/鎌倉静林
夜更なり身の匂ふまで菊活けて/朝倉和江
ひれ酒に酔うて夜更けてわれはなし/暁水
人呼びにやるも夜更けつ虫の声/上島鬼貫
木葉木菟夜更けて曇る大玻璃戸/石井雅子
夏みかん夜更けて稿を起しけり/関戸靖子
昏睡と言ふ語しみじみ寒夜更く/寺島美園
菊冷ゆる夜更は珠のわが時間/福永みち子
蚤ふるふ夜更の土もかく乾き/相生垣瓜人
西馬音内夜更けて踊り達者が出/高澤良一
蛙の夜更かし睦みつ土佐にあり/高木晴子
行く秋のとある夜更けの鈴の音/中村苑子
銀河濃く紅毛城の夜更けたり/千代田葛彦
歯朶青く童女笑顔を夜更けまで/飯田龍太
七月の夜更けてよりもの見えだす/野澤節子
夜更の灯うつし硝子に雪つもる/川島彷徨子
うそ寒や夜更寝餘る病み上り/安斎櫻カイ子
宵の雁夜更けの雁と鳴きとほる/山口波津女
俳句例:61句目～
畳に置く眼鏡夜更けの蛾が打てり/桜井博道
子等がねて妻ねて霜夜更けにけり/鈴木貞雄
このはずく夜更けて曇る大玻璃戸/石井雅子
氷柱宿暇っつぶしに夜更けの温泉/高澤良一
こりこりと柿食む音のはや夜更け/大野林火
武蔵野の夜更けほろほろ麦こがし/江口綾子
泣くはをなご春の夜更けし灯かな/島田青峰
その夜更け笞のごとく北風吹けり/小林康治
でで虫や夜更けてはなし文覚に/宇佐美魚目
梅雨夜更け覚めて夫まつ身にあらず/桂信子
踊らねば霧おそろしき夜更けかな/仙田洋子
夜更しもいつか馴れたる我炉かな/高濱年尾
歯朶に風二日夜更けて客のあり/小松崎爽青
夜更けとは開けて閉めたる冷蔵庫/永井龍男
帰省子と共に夜更かすことに慣れ/黒田充女
灯虫さへすでに夜更のひそけさに/中村汀女
風邪の子と夜更颪をきき澄ます/福田甲子雄
出格子の夜更けに匂ふあらばしり/大野徳樹
刈干切唄まみえて聞けば秋夜更く/古賀まり子
読初めの夫に夜更けしことを告ぐ/山口波津女
俳句例:81句目～
煖房にホテル夜更けの事務をとる/山口波津女
干菜風呂夜更けて雪のなほ止まず/鳥越憲三郎
かく渇くことあり梅雨の夜更にも/相生垣瓜人
蛇笏死すと夜更けのわれを見てゐたり/松澤昭
この部屋が好きで秋の夜更けにけり/山内山彦
さくらんぼのせて夜更けの掌と思ふ/佐藤信三
とびとびの紅葉夜更けのオートバイ/立川京子
障子良く張れて夜更ししてしまふ/北見さとる
ダリの髭青し螻蛄いる夜更けかな/田口満代子
ポストまで夜更け螢を見に出づる/上野さち子
夏夜更かす吾は葡萄の木汝はその枝/下村槐太
夜更け訪ふまさかの蝉でありにけり/高澤良一
星の夜更のぬめぬめと手を洗つてゐる/大橋裸木
夜更けの電車のまだ乗つてゐる顔だ/栗林一石路
ふるさとの八時は夜更け木の実炒る/石井とし夫
人声の花にこもりて夜更けゆく/飛鳥田れい無公
夏夜更かすわれは葡萄の木汝はその枝/下村槐太
森の夜更けの拝火の弥撒に身を焼く彩蛾/高柳重信
藁灰ふつくら火をつつみ通夜の夜更けの/大橋裸木
剃つたあたまが夜更けた枕で覚めて居る/尾崎放哉
