息を吐くに関連した俳句の例をまとめました。
息を吐くを含む俳句例
人を吐く息を習はむ冬籠/千那
草木の吐く息つよし朝曇/中丸涼
人の老美しく吐く息白く/富安風生
闘牛の吐く息荒し花野菊/高井北杜
重信忌暑きに籠り息を吐く/高橋龍
蝮蛇草大き息吐く奥薩摩/白澤良子
天竜の万力が吐く白き息/栗生純夫
空の蝶大息吐息/無音階/中田敏樹
息細く吐きて十月桜かな/富田花舟
白き息吐く円周は万国旗/対馬康子
吐く息の仏くもらす春の昼/成井侃
白息を吐いて朝礼始まりぬ/中村輝峰
山百合は熱き息吐き谷倉仏/松山足羽
秋冷やかすかにの息を吐き/増田萌子
近よりて白き息吐く櫨紅葉/栗生純夫
たたまれて終の息吐く鯉幟/桶師由夫
吐く息も吸ふ息も春諸鳥よ/堀米秋良
風うけて竜に雪像息を吐く/大西岩夫
鳥交る歯磨き臭き息を吐き/二村典子
一僧の吐く息白く鐘をつく/中村仏船
俳句例:21句目～
丹頂の白息天へ吐かれけり/嶋田麻紀
息白く本音短く吐きにけり/高橋もこ
惜春の息を吐きたり伎芸天/西村和子
旅は息吐くこと多し夕紅葉/鈴木鷹夫
星仰ぐ皆猪食ひし息吐きて/茨木和生
束解けば息吐くやうに霞草/島川明子
満願の息吐きつて飛花落花/伊藤義子
吐いて吸ふ息も四万六千日/清水基吉
吐く息のしづかにのぼる弓始/小島健
焼肉の息吐きに出て枯れ港/高井北杜
寒鯉となる吐く息を合せゐて/神蔵器
吐く息も南無阿弥陀仏空也の忌/斉藤桂
孕み鹿草の匂ひの息吐けり/江口ひろし
鯉幟降ろされ温き息を吐く/犬飼ヨシエ
枯山河吸ふ息となり吐く息となり/原裕
寒波来こゑを失くして息を吐く/岸田稚
寒鯉の吐く息ならむ雲うごく/吉田鴻司
残り火の吐く息ばかり牡丹焚/藤井淑子
雪切の空に吐く息吸ふ息ぞ/新谷ひろし
息吸つて吐いて大事に水落す/長谷川双
俳句例:41句目～
朝日さす芒の寒気息吐くごと/桜井博道
龍骨は君らの背骨白息吐く/榎本冬一郎
初花を木の吐く息と思ひけり/本宮鼎三
息吸つて吐くこと冥加草の花/鈴木鷹夫
吐く息の人にきこゆる旱かな/長谷川双
吐く息の影の流るる氷柱かな/森賀まり
蛍火や息吸へば燃え吐けば消ゆ/井手直
吐く息は嘆きの息や春ならひ/手塚美佐
能面の吐く白息の千切れとぶ/中西舗土
窯を出て大壷立夏の息を吐く/岡村仁浩
吐息めく息を眼鏡へ藤重し/秋元不死男
朴落葉吐く息をこそ深くする/坂巻純子
短き舌白息と土の句を吐けり/栗生純夫
折りたゝみ紙風船の息吐かす/和気祐孝
白息吐く心中火玉燃えてをり/松村多美
白息を雲のごと吐き杉磨く/殿村菟絲子
白息を吐きて己れをとり戻す/朝倉和江
黒牛の腹の底より白息吐く/殿村莵絲子
なまはげの面より吐けり酒の息/登嶋弘信
ふろふきに吐く大息も丹波かな/高橋睦郎
俳句例:61句目～
ゆつくりと息を吐ききる年の夜/神山博子
秋茜かるくかるく息吐きなさい/永末恵子
夜光虫のむ息吐けば婀娜熱く/河野多希女
如月の木の吐く息を吸ひにけり/伊藤巨久
己が吐く息のこごりし大暑かな/川端庸子
往診車降りて吐く息すぐ白し/下村ひろし
息を吐く如く流水の水を吐く/粟津松彩子
満ちてくる精気白息吐き出せり/柴田奈美
火祭の荒男の息も火を吐けり/稲垣きくの
開くとき息ひとつ吐く水中花/矢嶋あきら
畦塗つて男まさりの息を吐く/安達実生子
穂芒の一つがほつと息吐けり/殿村菟絲子
竜天にのぼる万樹の息を吐く/藤井のぶ子
紅梅の吐きたる息をふかく吸ふ/朝倉和江
紅葉して大樹静かな息を吐く/池田琴線女
老ゆくや吐く息白きときのまも/西島麦南
息白くなるかと息を吐いて見し/進藤草雨
蜆買つて清浄の息吐きにけり/波多野爽波
梅の香や吸ふ前に息は深く吐け/石田波郷
ある夜わが吐く息白く裏切らる/加藤楸邨
俳句例:81句目～
息吐きながらセーターに顔を出す/辻美奈子
大根引く地の息ほつと吐かれけり/増山/登
老いゆくや吐く息白きときのまも/西島麥南
吐く息もおろそかならず夏書かな/谷口和子
夕牡丹咲ききつて息吐くごとし/長谷川草々
吐く息の捨て所なき熱帯夜/原田紫野「道」
吊られある木偶も秋意の息を吐く/名越奈緒
冬山になほ吐く息のとゝのはず/石橋辰之助
息吸えば吐かねばならず曲り茄子/池田澄子
面脱いでまだなまはげの息を吐く/今田草水
おのが怒り吐きすててゐる息白し/嶋田一歩
鯉のぼり降ろされどつと息吐きぬ/北原昭子
狐火はその吐く息の燃ゆと云ふ/相生垣瓜人
息白く吐きぬ欠伸のあとなれども/加倉井秋を
大きく息吐いてぜんまい採りはじむ/猪又信之
花合歓やゆふべの息は吐くばかり/鳥居美智子
冬木一本見つめて居りぬ息を吐く/藤村多加夫
許したししづかに静かに白息吐く/橋本多佳子
懺悔さ中の己が白息吐くだけ吐く/加藤知世子
伐折羅吐きたまふ白息なかりけり/阿波野青畝
