俳句例:101句目～
灯火親し草稿の灯にぬくむさへ/大野林火
灯火親し賢治学舎の置きランプ/高杉至風
野を焼いて帰れば燈火母やさし/高浜虚子
熱きまで寄せて親しむ燈火かな/八染藍子
燈火なき乱のいにしへ花あざみ/三橋敏雄
燈火のおのれもしらぬひかり哉/松岡青蘿
燈火の揺れとどまらず虎落笛/松本たかし
燈火ややけがれてともる花杏/上田五千石
雪折れの灯火暗し書に対す/長谷川零餘子
鬼婆の住むにはあらじ灯火親し/原澤ふみ
おどされて持つ灯火や朧なる/長谷川かな女
海を見て来し夜の燈火親しめり/山崎ひさを
窓それぞれ人あり燈火親しめり/大橋越央子
東京の燈火したしむべき季節/久保田万太郎
燈火親し声かけて子の部屋に入る/細川加賀
襖閉めては母さびしとよ灯火親し/鈴木榮子
燈火親し握り飯食ふひとりなり/牛山一庭人
灯火親し声かけて子の部屋に入る/細川加賀
やうやくに燈火親しく蛾もこまか/皆吉爽雨
燈火親し流石てふ字に目を止めて/高澤良一
俳句例:121句目～
燈火親し琥珀の酒を注げばなほ/青柳志解樹
燈火親し「臍の下谷」を読み始む/高澤良一
ぞんぶんに年取り燈火親しめり/守田椰子夫
しぐれ忌のしぐるる燈火明うせよ/木下夕爾
燈火親しむ序より跋まで読み通し/佐野まもる
燈火親しもの影のみな智慧持つごと/宮津昭彦
火のまつりくらき燈火を家に吊り/橋本多佳子
時雨るゝや灯火にはねる家根のもり/正岡子規
灯火親し親しからざる本も積み/鍵和田ゆう子
敢ておもふ燈火親しむべきの候/久保田万太郎
燈火親し古書むつかしくおもしろく/岡本孝人
岐阜提燈火の透くあたり見つめゐぬ/久米正雄
人泊めてにはかに灯火親しけれ/野見山ひふみ
燈火親しき座にして妻の座にあらず/鈴木栄子
燈火親しとは云へ老のすぐに倦み/山元/秀女
灯火親し葉書あるだけ書いてしまふ/加藤三七子
燈火親しコーヒーの香にひたりつつ/間地みよ子
ひぐらしに燈火はやき一ト間かな/久保田万太郎
湖畔はや燈火ちりばめスワンの恋/鍵和田ゆう子
鳴き了へて燈火に透けりきりぎりす/福田萬喜子
