俳句例:201句目～
八階の上も窓なりソーダ水/長谷川かな女
亡娘の声の階にころげて梅若忌/角川照子
黒き手套はめつゝ螺旋階くだる/岸風三樓
明け易き水底へかよふきざはしか/宮武寒々
螺旋階の少女ヘラヘラ顫える蜘蛛/久保純夫
二三段雪のきざはしクリスマス/佐野まもる
セ口弾く隣人きざはしに氷ちびる/和田悟朗
きざはしの高きに這へる遍路かな/井沢正江
階子深く入れて松刈る秋の空/長谷川零餘子
銀杏黄葉踏み来てのぼる螺旋階/玉木/嘉一
外風呂へ小さき階ある雁渡し/野見山ひふみ
夕立しぶく大厦を窓に階のぼる/佐野青陽人
直叙の優しさで古いチャーチの階/伊丹公子
階高く夏雲をたゝずまはしむ/竹下しづの女
雛の間へいたはられつゝ階のぼる/国弘賢治
月に挨拶酔余の階を踏みとまり/山田みづえ
ぼうふらの水に階あるごとく攀づ/有馬籌子
緑さす階聖歌隊昇らしめ/石田波郷「春嵐」
月明の階を降りくる夢精の天使/八木三日女
湯の階を踏みぬらしたる春夜なり/山口草堂
俳句例:221句目～
元の階のぼる羽摶ちをつよく鶴/大岳水一路
肌あはぬ上司ナイターの階にあり/清水基吉
木犀落花階をあふれて胸中に/鍵和田ゆう子
青東風の階昇りつめわが家の香/鳥居おさむ
十六夜やいくまがりして階子段/久保田万太郎
暗く寒き階のぼりゆき武士に会はず/藤岡筑邨
ポプラの流離屋階に体操する看護婦/阿部完市
行く秋のおのれひとりにひびく階/米沢吾亦紅
燈籠のもとにきざはしありにけり/大橋櫻坡子
眼標本づくり美術館を見透かす階/八木三日女
突如飛び降りたし八階の日のさくら/寺田京子
きざはしによべの聖樹の星ひろふ/能村登四郎
更待ちや階きしませて寝にのぼる/稲垣きくの
薔薇の芽へずしりずしりと階降り来/加藤楸邨
薔薇くだつことのよろしき階を下る/久米正雄
きざはしに長尾垂れたる燈籠かな/大橋櫻坡子
梅ひらく階をピアノのように降り/吉田透思朗
ためらはず友の手借りぬ冬夜の階/石田あき子
たんぽぽの絮六階にただよへる/阿部みどり女
球根土に眠らせ遠稲妻の階たのむ/八木三日女
俳句例:241句目～
夜牡丹や長谷のきざはしゆるやかに/大橋櫻坡子
踏み慣れし階につまづく河童忌よ/鍵和田ゆう子
ラスコーリニコフめき白夜の階のぼる/成瀬櫻桃子
別霜時計の刻む階くらく/『定本石橋秀野句文集』
花げしやうしろさびしき階子売り/白雄「白雄句集」
ジャンヌモローの髪がきれいと階降りゆく/木村光雄
白息も身も片寄りて螺旋階/杉山やす子/『梅東風』
馬車着きし階の高きや夏館/小川濤美子「和紙明り」
凍るる夜階きしむ怪の棲むごとく/笠井操/『雪の紋』
破れ足袋やはたと夜の階のぼりゆく/『定本石橋秀野句文集』
