寝顔に関連した俳句の例をまとめました。
寝顔を含む俳句例
妻や子の寝顔も見えつ薬喰/蕪村
寒燈に寝顔曝して島離る/津田清子
幼子の寝顔隠しぬ夏帽子/神野千舟
冬椿寝顔のままに夫逝けり/倉田静子
月青し寝顔あちむきこちむきに/篠原
杜若とはの寝顔の浄らかに/太田鴻村
紅失せて童女の寝顔初明り/平畑静塔
秋立つや寝顔愛しき夜の妻/石塚友二
幌蚊帳の花の中吾子の寝顔うかぶ/篠原
日焼子の寝顔さながら観世音/太田昌子
巨き人の寝顔のごとき初凪か/田中裕明
死顔の寝顔を捉え月が射す/林田紀音夫
海棠の寝顔に見ゆる笑くぼ哉/正岡子規
爽かや寝顔に笑顔別に在り/池内友次郎
傾城の寝顔にあつしほつれ髪/正岡子規
児の笑顔寝顔にかはり宵の春/福田蓼汀
秋しぐれおちくぼの君が寝顔見ん/暁台
秋の蠅寝顔踏まへて遊ふなり/尾崎紅葉
妻の寝顔やゝ憎し稲妻遁走す/小林康治
嫁してなほ寝顔稚しよ夏布団/田中青史
俳句例:21句目～
子の寝顔まだ吾のもの梅匂ふ/高橋良子
子の寝顔やすらかなりし遠蛙/小林昭子
自動車に昼凄惨な寝顔を見き/渡辺白泉
虫時雨妻の寝顔のつやつやと/高澤良一
風呂吹や父似母似という寝顔/本田幸信
小扇をはつれて見ゆる寝顔哉/正岡子規
岐阜提灯嬰の寝顔を照しをり/乾佐知子
うぐひすのこゑのさはりし寝顔かな/草城
乾ききる鳩舎寝顔の燃ゆるころ/赤尾兜子
冬銀河寝顔のほかは子と逢えず/宇咲冬男
妻の寝顔すやすや虫音の高音部/高澤良一
子の寝顔河豚の如また月のごと/川崎展宏
子の寝顔這ふ蛍火よ食へざる詩/佐藤鬼房
寝顔まだあどけなき子に大試験/山田弘子
短夜の寝顔ちかぢか見られゐし/川口重美
湯婆の淋しく高し子の寝顔/長谷川零餘子
花ひひらぎ寝顔死顔にはあらず/野澤節子
蚊を焼くや寝顔に蝋を落しけり/正岡子規
誰も覗きゆく箱橇の子の寝顔/山崎和賀流
麦刈りし妻の寝顔の照りかなし/大熊輝一
俳句例:41句目～
酔ひふして柳に寝顔なぶらせん/会津八一
野菊より切に切なし寝顔の妻は/折笠美秋
雪刻々父の寝顔を誰が老いしむ/野澤節子
百姓の一家の寝顔ガラス戸越に/細谷源二
たんぽぽの絮降りやまぬ子の寝顔/鈴木修一
ふと笑ふ君の寝顔や冬の薔薇/マブソン青眼
ハンモック鳥に寝顔をのぞかるる/角谷昌子
数へ日や寝顔の吾子に逢ふばかり/橋本榮治
秋の天井に人は寝顔を見らるゝよ/細谷源二
汗も唱も湧き尽きしかや光る寝顔/香西照雄
芋煮えてひもじきまゝの子の寝顔/石橋秀野
蚊を燃くや君か寝顔のうつゝなき/正岡子規
赤ん坊の寝顔へそっと戸をしめる/住宅顕信
抱き直す子の寝顔ゆがむオーバの肩/原田種茅
逃げ場なければ寝顔まで月がさす/林田紀音夫
かあゆやな畳にさむき児の寝顔/飛鳥田れい無公
赤子の寝顔が日の暮に消え入るばかり/大橋裸木
年のよらぬ父の寝顔やたかむしろ/太祇「新五子稿」
病む子の寝顔と大きなザボンとのそこに座る/大橋裸木
