弥勒（菩薩）に関連した俳句の例をまとめました。
弥勒（菩薩）を含む俳句例
侘助や面影淡き弥勒仏/宮澤秋生
秋風や何堂彼堂彌勒堂/正岡子規
弥勒まで御世や兎の御吸物/越人
弥勒堂蜻蛉ひびく蔀かな/林之助
春灯の壁に弥勒の耳の影/西村和子
新涼や御風旧居に弥勒仏/関口青稲
指先の影に秋立つ弥勒仏/中村房子
連翹澄明老婆三人弥勒駅/夏石番矢
初秋や曲がる弥勒の薬指/林田祥女
臘八や彌勒の鼾雷の如し/正岡子規
能始著たる面は彌勒打/松本たかし
梅の花半跏思惟の弥勒佛/米澤治子
待春や弥勒の指の珠光り/森田朋子
弥勒より寒念仏の膝正し/永井一朗
お十夜や弥勒菩薩の御声は/野村喜舟
弥勒寺の棟の左の山焼くる/河野静雲
首傾ぐ弥勒菩薩や花疲れ/殿村莵絲子
泣き弥勒様に供えし冬林檎/中村ふみ
花蘇枋弥勒の指は頬にあり/吉田汀史
剥落のはげしき弥勒春の鹿/広瀬一美
俳句例:21句目～
夏萩や衆生へ弥勒の指繊る/勝村茂美
胸ほそく菊に秀でて弥勒仏/桂樟蹊子
秋愁ひゆるく脚組む彌勒仏/岡田史乃
秋の雪弥勒菩薩へ行く途中/坪内稔典
春陰や金箔のこる泣き弥勒/新井英子
花梨の夜を濃くしたる弥勒かな/福島勲
身に入むや半迦弥勒の指の形/石原八束
遠き世の秋風を聴く弥勒の手/倉田勝栄
金沢山弥勒院跡まんじゅさげ/高澤良一
弥勒まだ仏に成らず蝉の夏/大峯あきら
彌勒堂蔀戸ひびく蜻蛉かな/八木林之介
寒の日や弥勒の笑ひ蒼覚めぬ/角川春樹
炎天の澄みたるものに弥勒仏/松山足羽
腰のくびれ紅葉明りに弥勒仏/平松荻雨
げんげ田に峡に弥勒の影うまる/荒木青踏
こほろぎや黙のほのかに弥勒仏/長谷川櫂
なめくぢは弥勒菩薩の視野の中/鈴木鷹夫
のどけしや弥勒の指を皆真似て/佐伯啓子
濡れたまふ弥勒も宇陀の花じまひ/飴山實
弥勒思惟黄落は涯なかるべし/河野多希女
俳句例:41句目～
弥勒の指腫れて惟えり球根畑/八木三日女
幾曲りして弥勒寺へ初もみぢ/椛沢冨貴子
山葡萄弥勒のやわきたなごころ/石田誓女
五位鷺の弥勒に似たる足運び/相川玖美子
斑猫にいま見えてゐる弥勒かな/攝津幸彦
初螢呼ぶに弥勒の手が欲しき/柴田佐知子
弥勒寺の跡の草の実着けてきし/大江朱雲
蛙穴に入りて弥勒の御代を頼むかな/一茶
弥勒寺の中さら文の蚊遣かな/大場白水郎
春陰のひかりを惜しむ弥勒仏/柴田白葉女
雁渡し人は泣くなと泣き弥勒/文挟夫佐恵
弥勒の眼無我で見てゐて風薫る/加藤知世子
五月闇ほのと弥勒のおはします/清田阿賀人
茶山にてころがつてゐる弥勒かな/岡井省二
蛇を見し眼もて弥勒を拝しけり/橋本多佳子
鉦たたき弥勒生まるる支度せよ/恩田侑布子
はつなつの弥勒菩薩に見つめらる/和田悟朗
馬酔木咲き光ゆたけし弥勒の世/築城百々平
微笑弥勒に指が動きぬ汗噴きをり/加藤知世子
紗のやうに息がかぎろふ弥勒の前/加藤知世子
俳句例:61句目～
弥勒は未然形で耽るてまひまの辺暈/加藤郁乎
やはらかき水が田に入り蚋燻/岡田史乃「彌勒」
花粉にあらぬ灯を浴び冷えゐん弥勒像/磯貝碧蹄館
太泰の思惟の弥勒の細き胴すがしと思ふ夏の真中に/北沢郁子
