谷間に関連した俳句の例をまとめました。
谷間を含む俳句例
星の谷間か凩の廻廊か/黒田杏子
白舟や谷間の底で厄落とし/井上秋
風音はいつも谷間に桜狩/高木晴子
谷間や小春の家の五六軒/正岡子規
山一つ越えし谷間の太蕨/吉田久子
すず虫も弱虫もいて谷間の灯/穴井太
渓間の朽葉の八寒地獄かな/高澤良一
悔ばかり本の谷間に鏡餅/田川飛旅子
打水やビルの谷間の小待合/清水基吉
故郷は谷間に眠り盆の月/大木さつき
唐黍を干すや谷間の一軒家/夏目漱石
朝顔のむらさきの夢の谷間/桑原三郎
雲斑らなる谷間に人家かな/京極杞陽
秋扇胸の谷間をきはだたす/福原孤舟
凧上げてビルの谷間の校舎かな/啓又
谷間に生れて住みて龍の玉/柳澤和子
血の色の蟹と後悔浮く谷間/阿部完市
蜜柑もぐ谷間を低き鵙のこゑ/中拓夫
蓬莱に梅の花さく谷間あり/長谷川櫂
草山の谷間に槇の茂りかな/野村泊月
俳句例:21句目～
蒙塵や重い水車の谷間の石臼/高柳重信
谷間や雪の小村のあからさま/会津八一
谷間谷間に満作が咲く荒凡夫/金子兜太
野梅見る谷間の石を一つづつ/関森勝夫
雪割草谷間の風にたじろがず/設楽隆夫
霧卍木曾の谷間の晩稲刈り/加藤知世子
ビル谷間山鉾ずんと空晴るる/坂井信彦
僧房の谷間より蝶吹きあがる/柿本多映
岩乾き谷間は冬の響き去る/石橋辰之助
幕張のビルの谷間に穂草刈る/海野/勲
引鴨の俯瞰の谷間光りをり/坂本山秀朗
新豆腐ビルの谷間に商へり/堀之内和子
春山の或は椿の谷間かな/阿部みどり女
春暁や穂を重ねたる谷間杉/楠目橙黄子
梅林の尖が見え来し渓間かな/西山泊雲
獅子の子を谷間に落す茂り哉/正岡子規
目にちらり木曽の谷間の子規/正岡子規
目にむすぶ谷間々々の清水かな/千代尼
石叩き谷間に小さき谺なす/米久保進子
窓押せば竹の秋なる谷間かな/野村泊月
俳句例:41句目～
紅葉より瀧ちる谷間谷間かな/正岡子規
なき母の声あかぎれの谷間から/平畑静塔
むらさきの花の五月の谷間かな/折井紀衣
紫木蘭谷間に咲いて水まつり/柴田白葉女
夕日明るき谷間を思い靴縫う友/大井雅人
土工婦晝寝胸の谷間の隙だらけ/細谷源二
初秋の伊那の谷間のまんじゅう屋/森慎一
谷間や屋根飛こゆるほとゝきす/正岡子規
鬼やんまビルの谷間を水平に/田口美喜江
信貴山の鐘の音花の谷間より/藤野チズ子
霧さがる谷間に粟を摘み暮らす/臼田亞浪
竜天に登りぬビルの谷間より/天岡宇津彦
うぐひすや木曾の谷間に老をなく/高浜虚子
この谷間たえず風あり樹々芽吹く/岡田日郎
ビルの谷間の風はどこへ帰るのか/カズ高橋
芽吹くものビルの谷間に遅れけり/山田一男
寂しけれど渓間の額はうつろはず/下村槐太
暗い谷間にボイラーの女湧く鼠/八木三日女
秋惜しむビルの谷間のカフェテラス/林康子
都会の谷間彼の素姓は知らない/奥野ちあき
俳句例:61句目～
日雀来るビルの谷間の薄日差し/野田しげこ
ビル谷間羽化するごとく月のぼる/藍不二子
汽車が虹が雲が税吏が見下ろす谷間/高柳重信
ビル谷間に基地を捜すたんぽぽの絮/小山君子
厚き苔敷く谷間の墓地の仮睡の水車/高柳重信
汝が胸の谷間の汗や巴里祭/楠本憲吉「孤客」
遂に谷間に見出だされたる桃色花火/高柳重信
テロの谷間俎上のキャベツきゅっきゅと泣く/八木三日女
早苗束放る響の谷間かな/松本たかし「松本たかし句集」
