双手に関連した俳句の例をまとめました。
双手を含む俳句例
なほ沖へ潮切る双手戦なし/原裕
読初の双手に重き劇作史/樋笠文
月明にかざす双手の傷つくや/原裕
龍胆も鯨も掴むわが双手/杉田久女
吊革に双手勤労感謝の日/長田和江
占ひに差出す双手初閻魔/徳島義人
双手あげ一睡さめし壬生舞台/矢津羨
雑煮椀双手に熱し母は亡し/野澤節子
野外劇まくなぎ双手もて払ひ/嶋玲子
若水にざぶと双手やはしけやし/立子
彼岸会や双手について老の杖/助二郎
看護婦の双手惜しまず袋掛/石田波郷
二た国に双手分け立つ涼しさよ/林翔
湧水を双手に掬ふ山法師/中島喜久子
蛍火へ双手漂はせゆくも/中村さとし
黒穂の粉ばさと双手に一揆村/松本旭
初東風や双手で叩く馬の胴/松村多美
飲食の彼方に冬の双手あり/柿本多映
初雁や双手に余る帰郷の荷/小川杜子
青山に向ひて双手淋しかり/岸原清行
俳句例:21句目～
白菜を洗ふ双手は櫂の冷え/大木あまり
秋思ありよく働きし我が双手/松村俊子
芋種をうめし双手に海まぶし/石工冬青
蓴舟かたむくまゝに双手漕ぎ/川上玉秀
谷川をわたる双手に柚子の籠/飯田龍太
ほぎごとの榊の花を双手にす/水田清子
邯鄲を捕りし双手の露まみれ/根岸善雄
鎌となり穂となる双手風の盆/加藤きよ
鐘供養逃げゆく男双手上げ/成瀬櫻桃子
雪原に到り双手を挙げて会ふ/成田千空
霧青し双手を人に差しのばす/横山白虹
麦踏の胎児に双手置き憩ふ/増田河郎子
双手に顔埋め盛装の咳を埋め/伊藤敬子
双手浸す故郷の水や蝉の声/佐野青陽人
大夕焼いつしか双手に石握る/工藤克巳
数え日の努め終えたる双手あり/堤照佳
新涼の山ゆく双手のごとし/鳥居美智子
栗の花双手ざはりに夜のあり/柿本多映
桃洗ふ双手溺れんばかりなり/石田波郷
桜蘂か双手のぬくみ去る刻か/藤田湘子
俳句例:41句目～
法師蝉双手はすでに暮れており/菅原操
海桐咲けり双手に架橋完成図/横山白虹
萩出でてまた萩に入る双手かな/福永尚子
遊船に乗るべく双手さしいだす/池田秀水
杣は谿へ双手をひらき鬼やらひ/藤原如水
さしあげて双手さみしき父の日や/北光星
ほうたるを双手に封じ京言葉/大木あまり
石に置く青水無月の双手かな/松倉ゆずる
白鳥を呼び寄せ双手何もなし/山崎千枝子
双手つく思ひのいまを曼珠沙華/朝倉和江
畢に路傍の人見やりつゝ双手汗/石塚友二
残照に双手をついて花野かな/鳥居おさむ
六月や双手を上げて捕虜たりし/城間宏文
氷る夜や双手かけたる戸の走り/加舎白雄
冬青空双手ひろげて使徒の像/古賀まり子
さいはての穂絮へ双手さしのべる/里川水章
三日はや双手を垂れて疲れけり/石田あき子
綿虫の双手ひらけばすでになし/石田あき子
綿蟲の双手ひらけばすでになし/石田あき子
花蜜柑双手につつみ咎のごとし/鳥居美智子
俳句例:61句目～
朝寒の双手につつむ師のあうら/小島千架子
いま眠りに入らむ衾のなかの双手/松村蒼石
双手伸ぶれば言享くるかに忍冬忌/大石悦子
赤のまま双手ほうしろポケットに/横山白虹
炉にあたる僧の双手のふくよかに/橋本鶏二
枇杷すゝりをはりし双手宙にせる/岸風三樓
クレマチスどの家も母の双手浮く/伊丹公子
初蝶をとらへるための双手かな/夏井いつき
こぼれ萩双手に受けて大伽藍/伊集院瑠璃子
リラ冷えや双手は己れ抱くことも/柴田佐知子
カンナ燃ゆ乳房にふせる双手ぐせ/大沼よし子
霜焼けの双手を出して抱けとこそ/白石多重子
歯ぎしりを天に双手をミルクの中へ/児山正明
双手もて焚火を圧さへゐたりけり/徳永山冬子
星飛んで飛べぬカクタス双手上ぐ/殿村莵絲子
桃すする双手みずみずしくなりぬ/木之下みゆき
わが双手うつろに冬をこもるかな/阿部みどり女
橋を来る揚羽に双手ひろげたる/遠山陽子「黒鍵」
雨乞ひの双手を天へかざし舞ふ/伊藤よしと「大山蓮華」
五ドル分泣いてあげやうベルリンの壁の破片を双手につつみ/山田冨士郎
