もの言うに関連した俳句の例をまとめました。
もの言うを含む俳句例
もの云はぬ冬蝶侍り塔三重/林昌華
もの言うて歯が美しや桃の花/森澄雄
卓に組む十指もの言ふ夜の秋/岡本眸
もの言へば雛も唇寒からむ/行方克巳
乾鮭の下顎強くもの言ヘり/嶋田麻紀
一日もの云はず蝶の影さす/尾崎放哉
もの言はぬ雪塊森に朧なり/堀口星眠
もの言へばものを言ふなり秋扇/岬雪夫
もの言へば妻笑ひたる夜ぞ長き/稲岡長
もの言へば雑炊焦げの舌にがし/草田男
冬の虹今もの言えば何か消ゆ/半田幸子
冬の霧もの言はぬ群遠ざかる/小池文子
冬椿もの言はぬ夫帰り来し/石田あき子
もの云はぬ釣の一日秋の暮/青葉三角草
四十雀庭木に独りもの言へば/石川桂郎
もの言はでつくろうて去ぬ崩れ簗/蕪村
嫁が君もの言いたげな翁面/宮川秋海棠
寄る鯉の何かもの言ふ年の暮/渡部昭波
もの言はぬ妻家に居り盆三日/小早川恒
もの言うて菩薩親しも練供養/今井妙子
俳句例:21句目～
小声にて老妓もの言ふ恵方道/松村多美
深き秋もの言はぬ師に硯洗ふ/小池文子
起重機の朝焼雀もの言へり/米沢吾亦紅
もの言はぬ鸚鵡よ南十字星/関根あつ子
霧の中もの言へば影現るる如/行方克巳
ひと疲れもの言はず鴉のど赤し/片山桃史
もの言わぬ影がもの言う懐手/秋山しぐれ
もの言はぬことも養生草の花/村田緑星子
もの云はでつくろうて去ぬくづれ簗/蕪村
晩夏光もの言ふごとに言葉褪せ/西村和子
もの言ひて露けき夜と覚えたり/高浜虚子
もの言はず団扇の風を送るのみ/千原叡子
抱き上げし赤子もの言ふ花楓/下村ひろし
寒の鯉もの言いたげに瞑りぬ/宇多喜代子
もの言わでつくろうて去ぬくづれ簗/蕪村
もの言えば父の声かも冬の梨/八牧美喜子
もの言へば円空仏もさむかりき/加藤楸邨
夕紅葉もの言ひやめてゐたりけり/河内静
もの言はず香水売子手を棚に/池内友次郎
もの言へば父ならむこの冬瓜は/鈴木鷹夫
俳句例:41句目～
もの言へば世に倦むばかり蚊遣香/及川貞
もの言はぬこころの曇り梅若忌/手塚美佐
もの言はぬ日は友であり寒鴉/伊岡森礼子
もの言はぬ男に食はす唐辛子/鈴木はつ子
梨の花もの云うことを怖れたり/橋石和栲
秋濃しと画中もの言ふ鳥けもの/中村明子
紅葉山もの言はずして目が綺麗/岸本尚毅
もの言はぬことが念仏よ壬生狂言/岡村米子
もの言はぬことのたのしくかき氷/永方裕子
もの言はぬ一日の昏れて冬障子/青木起美子
もの言はぬ冬木ばかりに囲まるる/朝倉和江
もの言はぬ研屋の業や梅雨入空/芥川龍之介
もの言はぬやさしさもあり白牡丹/松下/米
もの言ふも喰ふも炎暑の口ひとつ/青木重行
もの言へばこの露けさの消えさうに/堀恭子
山椒噛みもの言はぬ舌しびれをり/鈴木太郎
木の芽たち黒猫もの言って老いる/金子皆子
むかし蛇もの言ひたりし聖灰祭/渡邊千枝子
一人居のもの言はぬ日や半夏雨/藤本スエ子
灯のそとの貌もの言ヘり地蔵盆/西園寺明治
俳句例:61句目～
秋の暮もの言はぬものみな親し/石田あき子
もの云はぬ研屋の業や梅雨入空/芥川龍之介
もの言はずわれ夏山の書を瞶む/石橋辰之助
梅雨半日もの言はざりし声の嗄れ/佐野美智
母の五指もの言ふごとく毛糸編む/今井美枝子
もの云わぬ母に口きくこれが別れか/橋本夢道
もの云わで済みたる午後のいぶし銀/橋石和栲
野に佇ちて父子もの言はず秋の暮/成瀬櫻桃子
もの言へば南瓜ころがして人みしり/中村汀女
もの言はで框はなれし冬行く日/飛鳥田れい無公
もの云はぬをせんすべもなし夾竹桃/柴田白葉女
もの云ふと詩が消えさう瑠璃沼澄む/加藤知世子
みちに出てもの言うてゐる夜振かな/五十崎古郷
三椏の花の幾百もの言はず/小山曲江/『余韻』
もの言はぬひと日昏れたる障子かな/鈴木真砂女
もの云ふはめんだう春蚊ふつと吹く/長谷川かな女
もの言ひの眼くもれり夕櫻/『定本石橋秀野句文集』
もの言はぬ餉のならひかもエゴの花/石橋秀野「桜濃く」
もの云はぬ餉のならひかもエゴの花/『定本石橋秀野句文集』
