ガス/瓦斯に関連した俳句の例をまとめました。
ガス/瓦斯を含む俳句例
瓦斯つける袂の燐寸冬籠/宵曲
油虫瓦斯の焔が美しく/嶋田みつ子
ガスの火の釦に青し闇汁会/廣波青
春愁やガスの炎の丈ちがふ/岡本眸
裏口に菖蒲紫ガス屋です/柴崎左田男
猪鍋のガス管脇を通りけり/鈴木鷹夫
春暁や水ほとばしり瓦斯燃ゆる/汀女
枝蛙女這入りて瓦斯ひねる/下村槐太
ガス室へ向かふ連想蟻の列/小林和夫
一聯の目刺に瓦斯の炎かな/川端茅舎
ガス煖炉袴つけたる老教授/大道子亮
冬日向ガス検針夫よぎりけり/森重昭
河港昏き空を支へて瓦斯球体/小倉緑村
ひとが焼く瓦斯火のよ十二月/石川桂郎
ガスの火の紫もゆる一茶の忌/富安風生
ガスの穂を手風で立たす霙かな/不死男
勢いたつガスの炎や朝の職場/森田智子
秋涼し瓦斯の燈を吹く夜の音/太田鴻村
ガス展の火の美しく火恋し/古賀まり子
ガス工事星を集めぬ熱き夜も/対馬康子
俳句例:21句目～
福鍋や田舎に住めば瓦斯恋し/高浜虚子
人の吐く炭酸ガスを求めて蚊/高澤良一
瓦斯の灯は青簾越し也夏の虫/北原白秋
残る虫瓦斯の元栓締め忘れし/北野民夫
大年や働きづめのガス焜炉/田守としを
梅雨雀乗りて屋外瓦斯ボンベ/高澤良一
東京に瓦斯火は赤し秋刀焼く/石川桂郎
花冷えやガスの火青く鍋の底/鈴木了斎
月見草ガスは焔となりにけり/安東次男
がらんどう浮き草走りガス裸体/富岡和秀
瓦斯煖炉黙せばひとのうち黙す/加藤楸邨
破れ小屋に瓦斯火目守りぬ春嵐/石川桂郎
私設路次南瓜の花に瓦斯洩るる/宮武寒々
秋雨の瓦斯がとびつく燐寸かな/中村汀女
自動車の瓦斯のけむりが昼顔に/京極杞陽
ガスの焔のきれいに揃ひ春の雪/行方克己
ガス室を出るとき君は愛される/中烏健二
ガスボンベ丸太倒しに避暑の荘/行方克巳
小樽運河ガス燈黄なる雨月かな/細井みち
担ぎあぐつつじ祭のガスボンベ/高井北杜
俳句例:41句目～
暑に耐ふる煮炊のガスの炎の揃ふ/岡本眸
毒ガス島砲台跡より雉飛べり/成宮弥栄子
浜っ子の澄生のガス燈火の恋し/高澤良一
短日やまだ発語なくガス燃える/五島高資
秋風にガス薙ぎ消され米騰る/平井さち子
蟹売りのガス燈蒼むリラの風/中山砂光子
ぴよつと瓦斯点火この年を忘るゝ会/誓子
冷蔵庫厨は瓦斯の火を焚けり/山口波津女
地の底に瓦斯湧く国の春深き/大場白水郎
大鍋に瓦斯総立ちの福わかし/岡田しげ子
春の瓦斯音のさびしき夕の霧/柴田白葉女
検針のこんどは瓦斯や日の盛り/高澤良一
瓦斯の火に物煮馴れずに春寒き/中川四明
瓦斯の灯にそむいて氷のむ女よ/島田青峰
瓦斯の灯の風に噴きつつ生姜市/土方秋湖
瓦斯の灯は青簾越しなる夏の虫/北原白秋
瓦斯焜炉懐えつ火を噴く高音夏/石塚友二
裳の過ぎて瓦斯火片消ゆ冬日かな/宮武寒々
べこ虻の炭酸ガス好き車中にゐる/高澤良一
瓦斯煖炉不思議の音を立てゝをり/高浜年尾
俳句例:61句目～
花ぐもりガスの青焔透きとほる/柴田白葉女
春泥のそこにも瓦斯の水泡かな/大場白水郎
瓦斯弾に睫毛かなしや秋の風/長谷川かな女
海の隙間風茶沸しの瓦斯ゆるる/田川飛旅子
炎天の馬くさめせり瓦斯行きて/田川飛旅子
雪舞ふやガス燈に似て釧路の灯/古賀まり子
ふと耳に瓦斯ストーブの音なりし/高濱年尾
瓦斯工夫枯れきはみなき土を掘る/細谷源二
瓦斯工の地の底に焚く火やあをし/細谷源二
秋暑しガス洩るる戸の外に佇ち/文挟夫佐恵
瓦斯燃ゆる音火の炭にうつる音うしろ/篠原
病人の頬染めて瓦斯ストーブ燃ゆ/籾山柑子
ガス消える黒人は差別待遇されて/阿部完市
ガスマスクやけに真赤な雲だけだ/平畑静塔
聖五月瓦斯がたぎらすゆで玉子/稲垣きくの
蒸しものの細めの瓦斯や隙間風/宍戸富美子
瓦斯もゆるまはりはものの露けしや/長谷川櫂
ガスの夜の街知性の靴音であるく/吉岡禅寺洞
猥談と帰る分解瓦斯放出塔の明り/鈴木六林男
玻璃皿の梨蒼くなり瓦斯ともる/長谷川かな女
俳句例:81句目～
紙風船のガス抜きせねばならぬかな/櫂未知子
餅を焼くガスの火農の土間そのまま/大熊輝一
ゆく春や瓦斯掘りあてし井戸幾つ/大場白水郎
瓦斯の火を消し藤の夜のまた深む/千代田葛彦
立って座って/ひとくる日のガスの炎/湖光子
瓦斯の灯にバナナを買ふや漁夫親子/加藤楸邨
六畳ガス水道完備哀愁列車のあいつ/仲上隆夫
こおろぎが鳴くからガスの火を止めた/松本恭子
瓦斯に火をつけ身近な責めから受ける/鈴木六林男
梅雨寒の歯科医のガス火とろりと点く/鳥居おさむ
ガスのこめた夜更本屋は読書の虫で一杯/吉岡禅寺洞
本屋に本をよみにきてガスの夜は異國です/吉岡禅寺洞
ガスのにおいを嗅いで街の夜をすてきれない人たち/吉岡禅寺洞
好むも好まぬも萬死の毒ガスが草も枯れた黒龍江はもう口がきけない/橋本夢道
