俳句例:101句目～
戦争が終つてみれば罌粟坊主/小泉八重子
戦争といかなご漁の便りかな/小川真理子
戦争と女はべつでありたくなし/藤木清子
梅干して戦争に生き地震に生き/赤尾恵以
中越戦争誰もとどめず地虫出づ/平井さち子
戦争をする気のサフランが育つ/宇多喜代子
戦争がいつも何処かに青いか地球/池田澄子
戦争ニュース担当者勤務交代す/五十嵐研三
戦争という活字の上に/西瓜置く/本郷和子
牡丹戦争露営のなあすすていしよん/仁平勝
はつ夏の戦争ごっこだったとは/横須賀洋子
いちにちぢう春いちにちぢう戦争/竹村悦子
戦争ってとにかく穴を掘っていた/北川邦陽
戦争が隠れている猛々しい夏草/渡野辺朴愁
閉つたドアで消えた戦争や夕日/鈴木六林男
舟棹たぐる五指戦争を知っている/石塚真樹
戦争を背負つて逝きけり冬鳴る海/藤田湘子
ジヨン/レノン戦争が始まったよ/本田ひとみ
戦争とをんなはべつでありたくなし/藤木清子
遠い国は戦争となつてゐるきびの穂/浪本蕉一
俳句例:121句目～
戦争はいや梅白くほつほつひらく/栗林一石路
夏の雲ゆく戦争花嫁といふことば/鈴木しづ子
黍よ黍殻/人を過ぎたる戦争があり/折笠美秋
バルカン戦争カランコロンと小さき石/攝津幸彦
ながい戦争がすんだすだれをかけた/栗林一石路
戦争の記憶の端に草いきれ/奥名春江「潮の香」
戦争の世紀でありし歯朶を刈る/七田谷まりうす
戦争よあるな路地さみだれて鯖食う家/橋本夢道
戦争と空、わたしは八つ手の花をみてゐる/海藤抱壺
はげしい感情を戦争へゆく君に笑つている/栗林一石路
絶望や戦争にわがゆく日妻表裏なく打泣きし/橋本夢道
元日よ貧乏には飽きぬが戦争よまたと来るな/橋本夢道
厭な戦争に生きのびて来た妻とは二度の梅見/橋本夢道
煙突の林立静かに煙をあげて戦争の起りそうな朝です/橋本夢道
戦争を知らぬ生徒と黙祷す八月十五日正午に立ちて/市村八州彦
男らは皆戦争に死ねよとて陣痛のきはみわれは憎みゐき/辰巳泰子
戦争の被害者にして加害者の責をになひて二十五年経ぬ/松本千代二
渦も秋の黒龍江を想う私らの生活へ生還のない戦争が胸をしめつける/橋本夢道
たちまちさけがたい顔となり戦争が過重な家計を持つものばかりだつた/橋本夢道
