俳句例:101句目～
宴たけて教師くははる秋祭/阿部ひろし
宴に似て夕べの川に籾浸され/大井雅人
猪撃のうたげ弾帯つけしまま/手島靖一
宴果てぬ猩々木の緋に疲れ/文挾夫佐恵
宴過ぎの雪となりけり年の市/日野草城
菊の宴に心利きたる下部かな/夏目漱石
姉肥えて母屋の宴に割り込めり/味元昭次
母在りてこそ祝ぎの宴花添ふる/高木晴子
毬にのり甲斐の野の宴をしたり/阿部完市
花林檎一人の宴のうすあかり/土岐富美子
師の僧は風邪ごもりとや花の宴/野村泊月
こころえて猪口とる雪の宴かな/飯田蛇笏
風花やゆふべの宴のひとと会ふ/内田美紗
くつわ虫洩れ燈の幅で土工の宴/香西照雄
かみがみの宴たけなは御降りす/清水里美
癩の宴野分吹く樹へ灯を浴びせ/村越化石
あるが中に詩人痩せたり月の宴/正岡子規
成吉思汗鍋に身火照り冬夜宴/野見山朱鳥
白障子よりもあわき光束宴の果/赤尾兜子
ふんべつをこころに春の夜宴行/飯田蛇笏
俳句例:121句目～
めしが出て三日月の出る宴つゞく/穴井太
源之助留守なる宴の海鞘酢かな/如月真菜
漁夫たちの年祝ぐ宴時化の夜を/大島民郎
木挽唄芋煮の宴のたけなはに/氏家さち子
アメリカの国歌に終る花火の宴/高木晴子
父ひそと泣くなと言いき春の宴/対馬康子
酔ひ失せし和尚連れこよ花の宴/野村泊月
どんぐりに山の宴のはじまれり/水上孤城
花見の宴ひそかに酒を捨てるひと/工藤克巳
明日香野の宴げとなりぬ曼珠沙華/山下美典
虚空ノ宴へ捧グル角ハ枯樹ノ如シ/夏石番矢
夜の山と積まれた樹々の別離の宴/藤後左右
夕桜場所割りすみし香具師の宴/文挟夫佐恵
ルンペン氏わらひのぞける冬夜宴/河野静雲
マンゴーに南国の宴果てにけり/稲畑廣太郎
留袖の帯解きこおろぎの宴にいる/上塚功子
除夜の宴すすむホテルの濃い電流/伊丹公子
終りごろちよつと顔だす花の宴/鳥羽田重直
星うたげせり白菜を漬けし夜は/千代田葛彦
菊の宴いまのわが身にはれがまし/松尾いはほ
俳句例:141句目～
冷凍みかん溶けゆく郷愁宴あと/鍵和田ゆう子
医の友の年祝ぐうたげ行かざらむ/水原秋桜子
宴果てゝまかるひとりに薔薇の雨/久保より江
銀婚のうたげの若葉ぐもりかな/久保田万太郎
とめどなき多国語ケタパン樹下の宴/伊丹公子
クリスマス魔の宴とは知らずけり/久保田万太郎
今日シヤトームートン開けん菊の宴/稲畑廣太郎
花はちるをもて盛りとするうたげする/荻原井泉水
枝々に土佐のさくらのひらきつつ陽はそそぐなりうたげの卓に/玉城徹
しろがねの毒を浮かべり/萬華陀羅/よみのうたげは笹舟の音/筑紫磐井
