俳句例:101句目～
シャワー熱し八甲田山いま青嶺/鈴木鷹夫
青嶺照る重たき椅子に身を沈め/沢木欣一
ハンモック青嶺の底へ髪垂らす/中島斌雄
青嶺聳つふるさとの川背で泳ぐ/大野林火
麺棒に青嶺窓あり過疎つづく/河野多希女
切り出してここら青嶺の水利権/高澤良一
句碑洗ふ青嶺にこだま返しては/長山遠志
紙漉唄ありて青嶺の富める村/神尾久美子
青嶺背に負ひて当麻の塔二つ/前川伊太郎
胸の上に青嶺来てをり急行車/猪俣千代子
大青嶺雲もろともに立ちあがる/井沢正江
望郷の山振り向けば青嶺聳つ/豊長みのる
花火野郎青嶺の肝を抜き来しと/高澤良一
蔵を引く転や青嶺がどこからも/宮坂静生
繭を煮る老婆に青嶺より微風/福田甲子雄
生涯の竹刀青嶺に向きて振る/梶山千鶴子
普陀落へ雲翳移る青嶺ばかり/鈴木六林男
湯に立つや青嶺に礼をする如く/川崎展宏
浮雲をあつめて遠き青嶺かな/両角津也子
夢踏んでさらに遠のく青嶺かな/小山大泉
俳句例:121句目～
吾子死にし青嶺ゆ光雲ひよこ色/香西照雄
旅自慢などしてバスは青嶺越え/高澤良一
吊皮に足踏んばつて青嶺見る/加藤真名子
振りて買ふ鈴よ青嶺に雲生まる/宮坂静生
師の句碑の成るや火山に青嶺侍す/杉本寛
鷹とべり青嶺を雲を切り抜けて/茨木和生
川ぐいと曲る青嶺を巻き込みて/高澤良一
雲ふつと青嶺離るは子のごとし/東城伸吉
由布青嶺翳ればかげる寺三和土/岸原清行
師のほかに師はなし青嶺星ひとつ/小澤克己
子の目にも梅雨終りたる青嶺立つ/谷野予志
どこ見ても青嶺来世は馬とならむ/村越化石
轆轤引く指呼に青嶺の帆を張りて/関森勝夫
をみなへし信濃青嶺をまのあたり/大野林火
青嶺来て身ぬちに充たす野の力/つじ加代子
ロープウェイ迫る青嶺に息こらす/大谷秀子
旅の身のいづく向くとも青嶺のみ/菖蒲あや
仰ぐかぎり梅雨の青嶺や小海線/古賀まり子
梅雨の鳥ひとに似て啼く青嶺かも/飯田蛇笏
職も青嶺も癒えねば遠し簾の内/小檜山繁子
俳句例:141句目～
稚い睾丸青嶺へ見せてさびしい牛/井沢子光
湯どころの青嶺をくだりくる湯樋/皆吉爽雨
置いて来し子の眉なすや遠青嶺/猪俣千代子
風の青嶺大河芯よりひかり出す/柴田白葉女
風見鶏いづちを向くも伊豆青嶺/冨田みのる
飛騨の迅霧顔出す青嶺陣痛待つ/加藤知世子
青嶺眉にある日少しの書を読めり/細見綾子
男に咲く発破青嶺を噴きあげて/加藤知世子
水論に青嶺湧き立つ負けるなよ/加藤かけい
青嶺あり日覚めてすぐに水欲りぬ/菖蒲あや
ふるさとの青嶺に外すサングラス/宮本はるお
三泊して雲湧かす青嶺の襞知りぬ/中戸川朝人
語尾に光つて杖雲上の青嶺を指す/加藤知世子
父に肖るはさびしからねど青嶺聳つ/友岡子郷
ぐいぐいと青嶺引き寄せ旅はじめ/山崎千枝子
句碑生れぬ佐久の青嶺も袖つらね/古賀まり子
母の名を指呼の青嶺に呼びかける/両角津也子
しんがりにも細き道あり遠青嶺/鍵和田ゆう子
空にあふるる青嶺描くに画布たりず/今瀬剛一
踏切りいつも生きねばならぬ青嶺見ゆ/寺田京子
俳句例:161句目～
青嶺背に分譲マンシヨンそびえ建つ/由良つや子
朝の虹立ちかはりたる青嶺かな/五十崎古郷句集
ドライブイン四方の青嶺に見下ろされ/高澤良一
水無月や青嶺つゞける桑のはて/水原秋櫻子「葛飾」
神が世をつくりしままの青嶺かな/梅木蛇火「大山蓮華」
