俳句例:101句目～
煤籠り昼餉の時のすぎにけり/山口波津女
煮凝や一人の昼餉いつよりか/阿部美恵子
茶の花に昼餉静かにしまひけり/島田青峰
昼餉すやさくらは無くも楢の花/渡辺水巴
早昼餉食べて行けとて榾をつぐ/及川仙石
前山の落花湧き立つ昼餉かな/中野春暁子
浜木綿に昼餉の海女の一たむろ/中村三山
早乙女の帯しめなおす昼餉かな/富田潮児
河鹿の声の水を流るる昼餉かな/臼田亞浪
秋の日を遅き昼餉の膝にして/石橋辰之助
秋風の背戸からからと昼餉かな/富田木歩
北に行く旅の昼餉のけんちん汁/武田光子
巌の上に松葉こぼるる昼餉かな/太田鴻村
山少し焼くるに昼餉食ひ居たり/石井露月
木々の芽や谷まで昼餉水汲みに/皆川白陀
緑蔭の昼餉を蚋が侘しうす/竹中九十九樹
寒くなりけふも饂飩の昼餉かな/高澤良一
分かち合ふ野良の昼餉や笹子鳴く/芝哲雄
雪野原涯に昼餉のうすみどり/平井久美子
冷汁に青紫蘇うかし昼餉かな/松本あや子
俳句例:121句目～
仙台虫喰昼餉は石を卓として/清水じゆう
三輪山の巫女の昼餉や枇杷の花/高木弘子
炭竈のほとぼりうけて昼餉かな/小松砂丘
寄居虫にスプーンばかり並ぶ昼餉/横山白虹
子と合はす小皿の昼餉小鳥来る/上田日差子
昼餉は隅夏蚕家中に頭をあげて/加藤知世子
水盤に一人きりなる昼餉かな/阿部みどり女
花過ぎのたまの昼餉をたうべけり/久米正雄
昼餉後を語り居つ碁陣凧鳴りて/荻原井泉水
若き沖仕の昼餉日のある崖に攀じ/佐藤鬼房
団扇置き昼餉に呼ばれゆきにけり/高澤良一
浪乗に昼餉そこそこ行きし子よ/水原秋桜子
金縷梅や留守居のごとき昼餉して/手塚美佐
おそき昼餉の雲片その他春深き/稲垣きくの
凧鳴るや昼餉の鱒の油こき/飛鳥田れい無公
やゝ寒くつつがの昼餉すませたる/下田実花
雲の峯けふの昼餉もこんにやくか/加藤楸邨
月山夏雪飯きらきらと野の昼餉/加藤知世子
畑打ちの四五人よりし昼餉かな/河東碧梧桐
巖の昼餉に綺麗な禿頭秋澄む海/田川飛旅子
俳句例:141句目～
虻生れて晴れて教師も昼餉待つ/中村草田男
一人居て一人の昼餉独活香る/阿部みどり女
柚子梯子日にあづけ置く昼餉どき/田中英子
昼餉のあとごろり鰻にでもなるか/高澤良一
ベラ釣るや島には寄らず舟昼餉/相原左義長
麦湯なまぬるくひとりでとる昼餉/高澤良一
胡瓜揉みぽりぽりやりて昼餉了ふ/高澤良一
ノドカサニ昼餉モ食ハデ歩キケリ/正岡子規
梅雨暗し昼餉は炉辺につどひくる/石橋辰之助
半紙ほど昼餉広げて草刈女/榎本好宏「三遠」
土の上の昼餉はうまき山小春/飛鳥田れい無公
桃冷えてます昼餉の卓に添へしメモ/三宅郁子
スキー靴ぬがずにおそき昼餉とる/橋本多佳子
ウメバチソウ我等向き合ひ昼餉とる/高澤良一
茄子焼きて昼餉は母と何もなし/長谷川かな女
さるすべりくぐりて宿の昼餉かな/小寺きみ江
子等寄りて昼餉を炉火にあたゝむる/石橋辰之助
薔薇の午後子に絵が描けて昼餉とす/殿村莵絲子
凍て飯にぬる茶もあらず子等昼餉/竹下しづの女
桐の花昼餉了るや憂かりけり/石田波郷「風切」
俳句例:161句目～
独り居れば昼餉ぬきもしつ百日紅/阿部みどり女
遠雷やひとり昼餉の青菜汁/石橋秀野「桜濃く」
ひとりの昼餉障子貼るべく急ぎをり/殿村莵絲子
花も名残りの風にとざしゝ昼餉かな/金尾梅の門
プールの昼餉腹と胸とで呼吸しつつ/中村草田男「銀河依然」
コレラ怖ぢ蚊帳吊りて喰ふ昼餉かな/杉田久女「杉田久女句集」
