鉦を使用した俳句

俳句例:101句目~

早鉦に石採の山車遅々として/里川水章

早鉦に穂すすき揺らぐ念仏会/堀/文子

春惜しむ鉦とこそ聞け壬生念仏/安住敦

空也忌の鉦打ち廻る腰のばね/有馬朗人

紫陽花や尼寺の鉦厭ふ子等/石島雉子郎

結願の鉦ふりかぶり十夜婆/吉田あや子

腰かがめ鉦打つ空也和讃かな/山下智子

舟渡御のかたみに聞ゆ囃し鉦/高濱年尾

花野より花野へ抜けし葬り鉦/山崎羅春

蔦の輪の下に鉦うつひがんかな/大江丸

西日遍照鉦を手塩に鳴らす姥/成田千空

観音講はじめの鉦を雪に打ち/関戸靖子

言はねども父来母来と盆の鉦/栗生純夫

炉開のほとけの鉦を一つかな/小原啄葉

盆鉦の音色につつむ鉦の魂/百合山羽公

盆の川越えてとどけり鉦太鼓/根本幸代

せめ鉦に耳に手をあて十夜婆/山田耕子

豆撒くや鉦に当たれば鉦の音/秋田裕弘

ののさまの鉦に怖えぬ夕花菜/後藤綾子

棚経の鉦ちんちんと急ぎ居り/河野靜雲

俳句例:121句目~

一つ家に鉦打ち鳴らす枯野哉/正岡子規

連打して十夜の鉦を打ち納む/三島晩蝉

一列のぢゝばゝたゝく十夜鉦/河野静雲

野辺送る鉦や氷雨の畦とほる/小林泰子

仏壇の鉦の色もて石蕗が咲く/高澤良一

代田まで踊り念仏の鉦ひびく/田中英子

鉦の音に唐獅子舞へり蘭盆会/中山蘭水

先頭は早稲の香に入る葬の鉦/鈴木鷹夫

鉦太妓滅多打ちして鬼やらふ/武田稜子

六斎の鉦の一人が夜逃げとか/森田幸夫

鉦太鼓炎となり夜空焦すまで/勝村茂美

鉦太鼓聞こえ万燈まだ見えず/後藤図子

冬田へも打ちて葬りの集ひ鉦/宮田正和

鉦打つて六波羅蜜寺煤払ひ/石鍋みさ代

鉦打つて秋夜仏前賑はすも/猿橋統流子

踊り鉦鳴れば手足の動き出す/水野征男

十夜鉦障子灯るを待ちかねて/草間時彦

地蔵会の鉦の間遠き夜機織る/太田穂酔

地蔵会の鉦鳴る方へ歩きけり/野村泊月

地蔵会や高くひびくは母の鉦/中村若沙

俳句例:141句目~

鉦音のうつらうつらと大念仏/西村和子

鉦鼓今急なる堂裡鬼やらい/富田うしほ

地蔵盆鉦を叩けば日暮れきて/関戸靖子

壬生の鉦一歩退くやうに打つ/小林一鳥

門川へ湯を落としたる十夜鉦/関戸靖子

壬生の鉦尚耳にあり京を去る/西山泊雲

父や母かぎりなく来る祭鉦/宇多喜代子

雁風呂や蜑がつたへて古き鉦/庄司瓦全

雪冥みする杉谷の鉦の澄み/鷲谷七菜子

壬生の鉦聞えてをるや顔に鼻/岡井省二

壬生念仏の笛休む間も鉦は打つ/安住敦

夏遠き日中の鉦はちんどん雁/依光陽子

大寒の鉦かんかんと野は平ら/成田千空

子が打てば子の鉦の音地蔵盆/中村若沙

冷え切つて三月の鉦一つ打つ/殿村莵絲子

花木槿まひるすみくる鉦の音/金尾梅の門

山茶花に鉦鳴らす庵の尼か僧か/正岡子規

一茶忌や寝しなの鉦を一つ打つ/栗生純夫

鉦も打たで行くや枯野の小順禮/正岡子規

鉦チョキチョキ都踊は今なかば/高浜虚子

俳句例:161句目~

鉦唄のそろひかねたる十夜かな/中川四明

やや眠き顔にかんかん壬生の鉦/細川加賀

涅槃会や伏鉦一つあれば足る/佐々木六戈

鉦太鼓もて相模野に凧を上ぐ/中戸川朝人

松上げの灯籠木にとどき鉦太鼓/林田千代

ひろしま忌艀は小さき鉦を打つ/木田千女

ちん~と黄泉のそこより十夜鉦/河野静雲

鉦打って半里の道や虫送り/岡本/美恵子

じやんがらの鉦の谺す閼伽井嶽/平山節子

虫送り酔ひどれ鉦の混ざりけり/浅井青二

えぶり鉦囃せば海のふぶきだす/宮岡計次

煤掃ひつつ時をりの鉦たたく/五十嵐播水

鉦方のこぼれんばかり鉾すすむ/細川加賀

鉦番はうしろむきなり壬生念仏/草間時彦

天道念仏経の向き変え鉦を打つ/山城やえ

壬生の鉦雨雲つひに雨こぼす/山田ひろむ

擦鉦の音が消されて来る侫武多/田村了咲

壬生の鉦雨呼ぶ鉦となりにけり/向笠和子

鉦鳴つて水引草のあるあたり/佐々木六戈

笑ひゐて淋しくなりぬ壬生の鉦/岡田詩音

俳句例:181句目~

地蔵会や鉦の合間に灯のふえて/高木瓔子

文字読めねど御詠歌暗じ十夜鉦/福田蓼汀

賓頭盧を廻す攻め鉦追ひ太鼓/上平はるを

炮焙割る音が掻き消す壬生の鉦/馬場修子

病人と鉦木に寐たる夜さむかな/内藤丈草

十夜法要堂を破らんばかりの鉦/高澤良一

身じろぎもせで乱れ打つ十夜鉦/成川雅夫

逆縁や鉦鼓に和する春の鳥/鍵和田ゆう子

加賀ぎぬに描く小紋や鉦たたき/吉村君枝

幕引に代へて壬生鉦連打せり/山崎佳世子

風鈴を鉦と聞く日のありにけり/高澤良一

遠寄せに星更けにけり盆の鉦/百合山羽公

鰒の座に娼家の通夜の鉦きこゆ/西島麦南

嵯峨念仏鉦と太鼓を一人して/石本かなえ

鳴く虫も鉦のやうなり西馬音内/高澤良一

やすらゐの鉦よりも疾く花散るよ/茂里正治

チャンココの盆入り告ぐる鉦太鼓/鶴丸白路

壬生の鉦きこえて壬生は染屋町/小原菁々子

壬生の鉦こまかき雨を誘ひけり/肥田埜恵子

鉦たたき弥勒生まるる支度せよ/恩田侑布子