落葉松を使用した俳句

俳句例:101句目~

からまつの十一月の林かな/今井杏太郎

落葉松のかこむ水口祭りけり/大島民郎

からまつの間の一樹の夕若葉/高澤良一

からまつの隙の密なる雪暗へ/宮坂静生

落葉松の巣箱に湖光明滅す/川島彷徨子

からまつの風が水皺に通し鴨/荒川清人

落葉松の霧氷にひびき鳥の声/青柳志解樹

金の矢のごと落葉松の枯葉降る/伊藤柏翠

黒き翼からまつの海くゞるなる/前田普羅

落葉松をはなるる風の夜涼かな/伊藤敬子

さびしさびしとからまつは雪被き/小島健

一茶忌の落葉松落葉敷きつめる/野沢典子

落葉松は壮年の樹か/その疎影/楠本憲吉

落葉松の芽吹にけぶる開田村/室伏みどり

乙女寮落葉松の芽に障子閉づ/千代田葛彦

富士新雪落葉松の金厚くなる/青木よしを

息ととのへて落葉松は雨と散る/松村蒼石

落葉松の針のくすぐる冬の旅/殿村莵絲子

揉み零すごとく落葉松落葉かな/行方克己

故郷の海苔ひび恋へり枯落葉松/後藤房枝

俳句例:121句目~

日が当りおり骨か毛の枯落葉松/和知喜八

明日のいろに白樺落葉松寒晒し/和知喜八

夕冷ゆる落葉松の芽に取巻かれ/斎藤道子

からまつの雪に泣きたい飼馬桶/栗林千津

落葉松黄葉ときをりを便りして/折井紀衣

落葉松は雨滴煌めき枯れにけり/堀口星眠

落葉松を切り出す軋み草紅葉/殿村莵絲子

母の日を落葉松芽吹く町に来つ/堀口星眠

落葉松は枯れて白根を遮らず/相生垣瓜人

落葉松を駈けのぼる火の蔦一縷/福永耕二

大正初期植ゑしカラマツ黄落期/高澤良一

落葉松に十一月の来てゐたり/蓬田紀枝子

落葉松に慈悲心啼けり白根の尾/前田普羅

落葉松に森の大瑠璃うたひ出す/伊藤敬子

落葉松に没る傷まみれなる冬日/福永耕二

落葉松を登り詰めざる蔓枯るる/松本康男

落葉松の風あをければ閑古鳥/今井杏太郎

落葉松の芽にどろどろと雷起る/木村蕪城

金獅子の毛の落葉松の落葉かな/田中康子

からまつの透く千本の時雨寒/鷲谷七菜子

俳句例:141句目~

落葉松に霧の日にじむ馬返し/長谷川閑乙

落葉松に霧湧くはやさ慈悲心鳥/江崎成則

からまつの落葉散り敷く河童橋/巽恵津子

落葉松のみどりさす兜飾りけり/堀口星眠

雪嶺を讃へ落葉松芽吹くなり/長倉いさを

落葉松の芽吹ける辰雄旧居かな/山口耕堂

落葉松の径ゆき馬橇の鈴透る/池田風信子

からまつの落葉うながす霧の音/吉澤卯一

からまつの緑濡らさず走り雨/鷲谷七菜子

落葉松の朝の大空露けしや/阿部みどり女

落葉松の網にかゝりし十三夜/殿村莵絲子

落葉松の梢に曳く日や懸巣去り/堀口星眠

落葉松の沢に出湯ありほととぎす/上村占

からまつの散りて影なし冬日影/前田普羅

落葉松の芽も白馬も闌けし春/石橋辰之助

落葉松の立のまばらに雪の嶺/石橋辰之助

三光鳥からまつもみじ黄けぶり/和知喜八

落葉松の空の濡れをり聖五月/古賀まり子

雪深き落葉松は見ゆ萱ほどに/殿村莵絲子

枯からまつ夕映透けてくるに蝶/倉橋羊村

俳句例:161句目~

短夜やからまつ青葉裳のごとし/宮坂静生

芽からまつ年老いてみな白樺派/宮坂静生

芽からまつ高原の日は雫なす/佐藤美恵子

音たてて降る落葉松を山雨とも/福田蓼汀

落葉松の涯より春のさざめき来/澤田緑生

郭公やからまつ落葉地にしづみ/松村蒼石

霜の樅からまつは髪透くばかり/和知喜八

音もなく落葉松落葉尽くしけん/依田明倫

落葉松に積む雪霏々と道に迷ふ/佐野青陽人

落葉松に雪解の水のせゝらげる/石橋辰之助

落葉松の一期たけなは黄が燃ゆる/石塚友二

落葉松の影がスキーの吾よぎる/成瀬正とし

落葉松わかば山傾けてやわらかし/川戸飛鴻

鳥の巣に落葉松が降るものがたり/和知喜八

落葉松を仰げば粉雪かぎりなし/橋本多佳子

抜きん出て月の暈きる芽落葉松/町田しげき

落葉松の黄葉降る墓を埋めんため/大野林火

落葉松の響き合ひたる帰燕かな/木倉フミヱ

落葉松を降りし足高蜘蛛走る/長谷川かな女

落葉松の芽吹きの道の地平まで/小川濤美子

俳句例:181句目~

落葉松の霧下りて来る萩の花/阿部みどり女

落葉松の風うけて居る新芽かな/正木不如丘

渓二つ鳴りて落葉松枯れにけり/富岡掬池路

遠き灯の透きし落葉松冬立ちぬ/五十嵐春男

からまつが散るからまつが瞬いて/齊藤美規

からまつのかなたからまつ原爆忌/中杉隆世

落葉松の萌えて河原湯みどりなす/大島民郎

からまつの散る音たまりゆき日暮/野澤節子

からまつの霧がくもらす握り飯/稲垣きくの

落葉松は散るべくなりぬ雪もよひ/内藤吐天

からまつへ外れ炭馬を曳きて消ゆ/宮津昭彦

からまつを夜露の音のつたふなり/石田勝彦

からまつ昏れ小声に焚火育て二人/村越化石

からまつ芽吹き夕焼長き火山帯/八牧美喜子

うぐひすや夕立のあとの落葉松に/渡邊水巴

かぎりなく落葉松ちるや旅の肩/篠田悌二郎

雪敷く落葉松なほ北すべき膝二つ/小林康治

むら雨のそそぐ落葉松青鵐鳴く/丸山けさ乃

初弥撒や落葉松はみな直ぐなる木/石田勝彦

差し交はす冬からまつの紅ふかし/宮坂静生