恋を使用した俳句

俳句例:101句目~

蟷螂は叶はぬ戀の狂亂か/正岡子規

湯豆腐の暁寒し恋ころも/尾崎紅葉

清姫の恋に燃えつき櫨紅葉/林博子

戀故に鰒には捨てぬ命哉/正岡子規

木の振の恋痩がまし帰花/尾崎紅葉

皹や遊女の恋を琴に弾き/熊丸淑子

白鳥の腋の純白恋兆す/平井さち子

勿忘草人は恋にも死ににけり/林翔

淡雪や恋遂げ来しか青き/望月百代

藍微塵遠き師の恋歌の恋/石原八束

岡惚で終りし恋や玉子酒/日野草城

春の虹突然に恋崩れゆく/田中昭子

淡雪や仏にありし恋の色/伊藤通明

海鼠噛む汝や恋を失いて/西東三鬼

薬掘るふもとは恋の歌枕/津森延世

恋の神えやみの神や花鎮/松瀬青々

奪ひ得ぬ夫婦の恋や水仙花/草田男

浮草や洗へば軽ろき恋の櫛/原月舟

友が恋語り得まじき秋袷/石塚友二

我恋や口もすはれぬ青鬼燈/嵐/雪

俳句例:121句目~

山鳥の戀に狂ふや龍田姫/正岡子規

葉牡丹に恋が渦巻く金曜日/浜明史

春寒の阿修羅は夫の恋仏/大石悦子

松風にうはずるこゑの鳥の恋/原裕

菖蒲葺童の戀の切なりき/筑紫磐井

春恋や枯野斜めに抜け来り/安住敦

まつ恋に捨る夜明を郭公/横井也有

恋要らぬ齢怖し菊人形/文挟夫佐恵

鷽替や幾たび恋の径を来し/進藤紫

日に梅よ思はず恋の筆はじめ/そめ

流氷の恋の如くに接岸す/南雲愁子

鳴きとよむ水の暗さの恋河鹿/原裕

愛恋や外套おもき春と思ヘ/齋藤玄

手鏡の背中恐ろし夏の恋/対馬康子

恋の句を消してしまえば露葎/原裕

春潮や働き蜂は余恋なく/永井龍男

玉霰人の恋聞く聞き流す/清水基吉

草虱まだ海道に恋着す/百合山羽公

草茂み恋の細道隠れけり/正岡子規

茅花散り徒然草に恋の段/西村和子

俳句例:141句目~

独りする恋にうるみし炭俵/齋藤玄

鳥の恋港の電話故障中/神戸由紀子

恋多きころの端切れや春袋/檜紀代

鳥の恋巌の凹み浅からむ/菅藤良子

時計草戀の落書まろみ帯ぶ/石寒太

うき恋に似し暁やとしわすれ/青蘿

恋失くせしと耳袋赤きかな/辻桃子

水馬頻りに飛ぶも恋の事/石井露月

商ひも恋もたのみて宵戎/島谷征良

水祝戀の敵と名のりけり/正岡子規

啓蟄や鎖の犬に恋めざめ/石川桂郎

恋ならめ秋煙浮み雲の状/香西照雄

は氷に上るや恋の扉開く/青柳/飛

水潜りくぐりて恋の川烏/大石悦子

恋々と春惜しむ歌や局人/飯田蛇笏

若党に内證きかする恋もあり/史邦

餅殿を戀に夜毎の嫁か君/正岡子規

恋衣抱きしめけり二日灸/滝川愚仏

囀に恋の音律ありにけり/山下美典

革命も恋も遠き日巴里祭/河波青丘

俳句例:161句目~

梨の花園丁の恋知つてをり/林克己

戀ろに丿貫瓜の馳走かな/筑紫磐井

青簾ちよと恋草の透模様/尾崎紅葉

水兵も語らふ恋や頼朝忌/久米正雄

山里に恋をはなれし桜哉/正岡子規

母恋の長子長身帰省せり/脇本星浪

青空を各自真上や鳥の恋/池田澄子

青柳や思ふ事皆恋に近し/正岡子規

雪虫の恋一寸にして一途/鷹羽狩行

夫恋の爪立ちに吊り走馬燈/赤松子

国引の山に雲捲く鳥の恋/巌谷小波

雪の水疾し小暗し恋映る/小林康治

人恋の匂ひ放てり沈丁花/田淵宏子

人恋の氷樹よ人の形して/津田清子

野の宮の別や旅と恋の外/井原西鶴

大鷲の制空圏下犬の恋/平井さち子

一握の残雪其の上の恋/秋元不死男

犀星の母恋のごと栃嫩葉/宮坂静生

七十の恋姥月の出逢より/茨木和生

遠蛙恋のシーンの煌々たり/瀧春一

俳句例:181句目~

七夕の恋の願いは筆太に/石川定子

踏青や心まどへる恋二つ/日野草城

踊唄恋の口説を受けつぎて/秦光枝

賤が恋干瓢剥くや綿々と/尾崎紅葉

七夕を祭らぬ御代に戀男/正岡子規

土手一里依々恋々と柳哉/正岡子規

賤が恋南瓜畑の月更けぬ/梅沢墨水

記紀の神恋争ふや寒茜/伊藤てい子

牛牽て恋草かりや天の川/横井也有

裸婦像の仰ぐ大樹に恋鴉/大島民郎

万葉の恋の蓬野電車ゆく/三嶋隆英

殻の中透かして恋の蝸牛/滝/佳枝

万葉の秋の田の歌恋の歌/筑紫磐井

必殺の恋の草矢を放ちけり/小島健

町中へよごれて出ぬ恋の鹿/松岡青蘿

紅葉忌金がかたきの恋今も/渋沢渋亭

あづまやに恋の落書梅匂ふ/渡辺玉樹

あの時が恋の始まり床涼み/近衛節子

あの窓に恋始まりし冬薔薇/田口風子

あはれめや霙にぬれし恋衣/尾崎紅葉