俳句例:201句目～
牛群れて牛小屋ぬくし寒夕焼/相馬遷子
つと揚る詩吟や月の瓜小屋に/西山泊雲
犬小屋に猫来て眠る木の芽時/遠井雨耕
犬小屋の屋根も明るう明月に/高澤良一
狩猟小屋銃窓に向き椅子二つ/笹原紀子
独楽木地師小屋へ雪虫の橋懸/石川桂郎
瓜小屋にひとり肌ぬぐ月夜哉/正岡子規
瓜小屋に人あるさまの草履哉/正岡子規
ぶつぎりの馬鈴薯匂ふスキー小屋/林翔
産小屋に藁塗りこめて時雨寒/古舘曹人
産小屋に顔を入れたる嚏かな/森田公司
産小屋の十坪に足らぬ隙間風/斉藤夏風
みそさざい雪の桂郎小屋近し/小坂順子
産近き牛小屋で聞く除夜の鐘/乾佐知子
番小屋のすそにくる汐鮭の秋/井沢正江
番小屋も須磨の浦なる月明り/中川宋淵
登山小屋丑三つ時を飯炊ける/福田蓼汀
よもすがら水湧く音や岩小屋/長谷川櫂
白鳥小屋尖塔持てり雪の晴/中戸川朝人
石工小屋毛布を張りし窓に梅/西本一都
俳句例:221句目～
アイヌ小屋丸太の梁に鮭燻し/榎/美幸
秋風や土間も地熱の湯華小屋/斎藤朗笛
種牛は小屋で留守番赤のまま/石田勝彦
積る落葉縄文小屋の屋根低し/大塚隆右
コスモスや豚小屋へ又子供達/西山泊雲
穴釣の小屋滑り出す疾風来て/根岸善雄
穴釣の釣場を移る小屋曳きて/根岸善雄
立春大吉護符あたらしく金小屋/原好郎
トタン小屋影を四角に草紅葉/舘岡沙緻
篠小屋に石梨食うて擁かるゝ/萩原麦草
籾殻が小屋からあふれ竹落葉/香西照雄
網小屋に飯噴いてをり島の秋/田沢公登
綿入や産小屋二代さかのぼる/斎藤夏風
一湾につき出し崎に鰤見小屋/島崎五穂
一番茶摘みて畑小屋水もなし/石川桂郎
綿虫や足音を待つ小屋ぐらし/石川桂郎
自在鉤に吊る蚋いぶし岩小屋/岸原枯泉
船小屋のありて枯野の水添へる/瀧春一
花葵仔犬の小屋をこゝに置く/星野立子
菊咲くや大師の堂の普請小屋/正岡子規
俳句例:241句目～
休漁の海女小屋を抜け松納め/岩田和子
佐保姫の砧をかくす舟の小屋/星野紗一
作小屋に雨月の酒の届きけり/古住蛇骨
蓆戸の下に足見え藺小屋かな/高野素十
俳小屋の主なき遍路笠ひとつ/山田弘子
蔦若葉小屋の破れを包みけり/桜堂治子
僧正のいもとの小屋のきぬたかな/尚白
薪小屋に雀よく来る一茶の忌/森山暁湖
薪小屋へ雪崩咲きたる山吹草/勝又一透
薪積みて小屋人気なき谷小春/福田蓼汀
藁小屋に湯の花ねむる虎落笛/大島民郎
蚊ばしらや名月纖き牛の小屋/幸田露伴
観察小屋窓を覗けば鴨ばかり/高澤良一
豚小屋の軒につえたる熟柿哉/寺田寅彦
走り梅雨太薪けむる牧の小屋/皆川盤水
踊花金比羅小屋に歌舞伎来る/渡辺恭子
冬麗の影重ね合ふ湯華小屋/古賀まり子
運動具小屋にもつとも西日かな/加藤朱
隙多き寒天小屋の夜は如何に/久保佳子
初富士に後ろ向なる渡舟小屋/鈴木花蓑
俳句例:261句目～
隙間風藻屑で塞ぐ海女の小屋/福田邦子
雨ばれの藁小屋匂ふ梅の花/村山たか女
十勝野のあるうま小屋の夕茜/細谷源二
雪代をひきて炊ぎの出作小屋/石川文子
雪渓のさやぐ音のみ小屋泊り/堀口星眠
雪雫したたる小屋に馬の顔/鈴木ヒサ子
台風一過空つぽのあひる小屋/石崎四郎
風化してゆく篠小屋の月見草/萩原麦草
風除や蜑の小屋よりやゝ離れ/高浜虚子
津八月見て舟小屋の裏ばかり/宮坂静生
鳥追小屋歳神の座を切株に/八牧美喜子
鵙の贄閉ぢし田小屋の戸の釘に/太田嗟
鶏小屋のなか明るくて雪解川/武藤紀子
鶏小屋の屋根に人をり花糸瓜/徳丸峻二
囮鮎売る小屋忽と生まれけり/佐宗欣二
土用波舟小屋に舟はみだして/加藤憲曠
地の窪に地の窪に小屋昆布干す/森田峠
鶏小屋の端に結びて鳴子縄/柳澤みはら
鶏小屋の網から逃げし寒雀/村上光永子
堤防の下に小屋掛け白子干す/岸本隆雄
俳句例:281句目～
鶏小屋の鶏の名覚え一年生/本庄登志彦
鶏小屋も麦打つ埃舞ふあたり/松林尚志
鶯も笠着てあがれ小屋のやね/立花北枝
夏草にサーカス小屋の杭を打つ/小西水
鹿小屋の声はふもとぞ庵の客/内藤丈草
夕浪の無情に高き葭簀小屋/百合山羽公
夕立の来さうな烏骨鶏の小屋/山尾玉藻
夕菅や開拓すてし小屋のあと/中村信一
夕露の光るむしろや芝居小屋/正岡子規
夜潮満つ香や舟小屋に恋の猫/慶伊邦子
夜芝居の小屋をかけたる樗哉/正岡子規
大霜に楽がぬけ出て森番小屋/野澤節子
奴隷小屋ありし大地に冬の雨/仙田洋子
家畜小屋竹馬の友とすれ違う/畑中/憲
寒天小屋出づる人影湯気曳きて/原柯城
小屋に寝て深山の月を瞼にす/相馬遷子
小屋に春呼んで雪割草ひと鉢/石川桂郎
小屋の上銀河懸ると思ひ寝る/福田蓼汀
小屋の戸の浮釘の影八日吹き/岩井三青
小屋の梁細目や秋蚕上蔟す/和久田隆子
