「鮟鱇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鮟鱇」について
【表記】鮟鱇
【読み方】あんこう
【ローマ字読み】anko
子季語・関連季語・傍題・類語など
・琵琶魚（びわぎょ：biwagyo）
・老婆魚（ろうばぎょ：robagyo）
・華臍魚（かせいぎょ：kaseigyo）
・綬魚（じゅぎょ：jugyo）
・鮟鱇の吊し切り（あんこうのつるしぎり：ankonotsurushigiri）
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季節による分類
・「あ」で始まる冬の季語
・「冬の動物」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
鮟鱇を含む俳句例
鮟鱇の肝食べ頭怠る日/下田稔
鮟鱇の吊られ日輪尚赫し/杉本寛
鮟鱇に右往左往の厨妻/阿部底下
鮟鱇をふりさけ見れば厨かな/其角
鮟鱇の腹に納まる壺おもへ/中田剛
惨憺たる鮟鱇の顔今日終る/岸田稚
鮟鱇がふぐに恋する小泥海/中勘助
鮟鱇の肝一樽や春の雪/鈴木真砂女
鮟鱇をさくや裸灯低く吊り/赤沼薫
沓鮟鱇馬にて海を渡す事/椎本才麿
鮟鱇の胆溢れゐる鉄の皿/二宮一知
鮟鱇の大口あいて笑ふ哉/寺田寅彦
鮟鱇や長安市上酒家の軒/松瀬青々
鮟鱇や沓のとなへも二葉より/秋色
鮟鱇の罪業深く吊されぬ/栗原米作
鮟鱇の涎汚れの土間辷り/日向正雅
鮟鱇煮え巧言令色鮮矣仁/高澤良一
吊されて老鮟鱇の無念かな/有永実
鮟鱇を煮て面白き話せん/清水基吉
築地明石町鮟鱇吊られあり/石嶌岳
俳句例:21句目～
鮟鱇の口だけ裏の木に残る/中拓夫
大年の一匹糶の鮟鱇かな/西本一都
鮟鱇の肝蒸し上る雪催/鈴木真砂女
選り好みしても鮟鱇同じ貌/山岡成光
鮟鱇の強つくばりの口許よ/高澤良一
とめどなき大鮟鱇の涎かな/岡田耿陽
鮟鱇と一対一の一句なり/鈴木真砂女
鮟鱇と汝が愚魯と吊さんか/永井龍男
鮟鱇の腸をたべたる深眠り/池田弥生
人中の鮟鱇と我れを罵りぬ/中川四明
鮟鱇の土曜の町に吊られけり/成井侃
鮟鱇に巷の影のぶら下がる/上谷昌憲
鮟鱇を吊して水を荒使ひ/堀之内和子
鮟鱇の口より落ちし氷かな/山西雅子
潮錆の空へ鮟鱇吊られけり/神山果泉
鮟鱇は海の蒼さを思ひをり/佐川広治
寒波来鮟鱇肝を値打とし/鈴木真砂女
鮟鱇のがまんの口を今降す/今関幸代
鮟鱇はゆるき外套着用す/安田千枝子
鮟鱇の骨の干さるる酒房裏/松本悦子
俳句例:41句目～
能登の海鮟鱇あげて浪平ら/前田普羅
鮟鱇の顔俎板にのりきらず/能登裕峰
鮟鱇の肝うかみ出し鮟鱇鍋/高濱虚子
鮟鱇の顎の残る鉤を見き/八木林之介
鮟鱇の面皮剥がれし眼かな/矢島渚男
鮟鱇の涎の糸の地べたまで/十玉幸男
鮟鱇の面構えして世を渡る/大月桃流
鮟鱇の襤褸の中の骨太し/能村登四郎
鮟鱇や小光が鍋にちんちろり/夏目漱石
鮟鱇や疾風のごとく夜が来て/小金まさ
鮟鱇や鼠小僧を泊めし家/長谷川かな女
鮟鱇を吊りいそぐなり年の内/萩原麦草
鮟鱇を吊りざぶざぶと海暮るる/中拓夫
鮟鱇を喰らひ地獄に堕ちんかな/小澤實
鮟鱇/銀河系よりぶらさがる/白澤良子
鮟鱇煮て旧悪のごと職擲てり/小林康治
フォークもて食ふ鮟鱇や漱石忌/日原傳
一喝に似て鮟鱇を糶りおとす/今瀬剛一
人中に鮟鱇吊られしたゝれり/小林康治
冬日中鮟鱇吊られ罪あるごと/小林康治
俳句例:61句目～
あんかうは癖のなき箸伸ばす/高澤良一
大鮟鱇触つてみれば女体かな/矢島渚男
手鈎傷眉間に鮟鱇糶られけり/奈良文夫
昼行燈鮟鱇向きを変へにけり/高澤良一
晴天の鮟鱇といふわだかまり/今瀬剛一
生家とは鮟鱇の口ほどの闇/鳥居真理子
目の前でする鮟鱇の吊し切り/金沢瓢舎
競られゐて暑き鮟鱇飛は涼し/野澤節子
自転車の荷台に鮟鱇積み帰る/高澤良一
貪婪の鮟鱇といひそれを食ふ/北澤瑞史
馴染店入れば鮟鱇勧められる/梁取久子
鮟鱇に力いつぱい出刃包丁/鈴木真砂女
鮟鱇に大手ひろげて枯るるかな/斎藤玄
鮟鱇のどこからが顎どこが貌/水谷芳子
鮟鱇のどろりと箱を溢れけり/吉澤利枝
鮟鱇のロが裂けても言へぬなり/安住敦
鮟鱇の仰向ざまに糶られけり/大庭雄三
鮟鱇の切られ切られて骨透明/羽部洞然
鮟鱇の口にはら～しぐれけり/藤井紫影
鮟鱇の口ばかりなり流しもと/高浜虚子
俳句例:81句目～
素通りを許さぬ貌の鮟鱇買ふ/立石/京
鮟鱇の吊られ大愚の口開けて/日置草崖
鮟鱇の屈託の肝抜かれけり/村中トウ子
鮟鱇の掟のごとく吊さるる/高橋ツトミ
鮟鱇の毀れし貌が競られけり/高澤良一
鮟鱇の津波を起しさうな口/八牧美喜子
鮟鱇の海底の地震見たる貌/八牧美喜子
鮟鱇の糶り落されしぬかり顔/白井爽風
鮟鱇の肝の四角の揺れてをり/山尾玉藻
鮟鱇の腸の潮水あふれけり/石脇みはる
鮟鱇の腸より天主立ちあがる/平井照敏
鮟鱇の裏返されて糶られをり/山崎美白
鮟鱇の骨ねぶりゐる男かな/瀧澤伊代次
鮟鱇も河豚も喰ふなり年の暮/寺田寅彦
鮟鱇やかげ膳据ゑて猪口一つ/飯田蛇笏
鮟鱇や口をひらけハ肝を見る/松瀬青々
鮟鱇の首切られ且つ腹裂かれ/鈴木真砂女
あんかうや孕み女の釣るし斬り/夏目漱石
おほき孤独が鮟鱇にぶら下がる/辻美奈子
ききわけの無き鮟鱇を鍋にかな/櫂未知子
