季語/貝割菜(かいわりな)を使った俳句

「貝割菜」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「貝割菜」について

【表記】貝割菜

【読み方】かいわりな

【ローマ字読み】kaiwarina

子季語・関連季語・傍題・類語など

・二葉菜(ふたばな:futabana)

・貝割れ菜(かいわれな:kaiwarena)

・殻割菜(かいわりな:kaiwarina_)

季節による分類

・「か」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「仲秋」に分類される季語

月ごとの分類

9月の季語

貝割菜を含む俳句例

遠洋は颱風作る貝割菜/百合山羽公

貝割菜爪立ち朝日雲の中/香西照雄

暖かや土躍り出し貝割菜/西山泊雲

帰国して雨に歩けば貝割菜/原田喬

貝割菜出窓に育て新夫婦/田島蔦子

父の忌の黒土匂ふ貝割菜/皆川盤水

猿除の網を二重に貝割菜/茨木和生

裏山の風に応へて貝割菜/相馬沙緻

美しき横雲日々に貝割菜/中村汀女

半島に道縦貫す貝割菜/猪俣千代子

又雨の畝崩しをり貝割菜/宮脇長寿

貝割菜の一叢生や秋の風/西山泊雲

籠濡れてゐて朝市の貝割菜/森田峠

貝割菜囚が鍬とる影曳いて/松村蒼石

文弱の亭主の好きな貝割菜/澤木欣一

貝割菜ハガキ一杯母の文字/内山保子

胸にある妻いつまでも貝割菜/森澄雄

灯台の子の摘んでゐる貝割菜/下田稔

露月忌の望郷ひたに貝割菜/皆川白陀

ゆふぐれのこゑ衰へて貝割菜/中田剛

俳句例:21句目~

一と笊の軽しと思ふ貝割菜/高浜年尾

一列に少し弓なり貝割菜/高田風人子

潮騒のここまで痛く貝割菜/角川照子

秋もはや焦土の露に貝割菜/西島麥南

確かなる小さき緑貝割菜/草本/美沙

奥空にうすうすと嶮貝割菜/友岡子郷

女一人二少年と化す貝割菜/永田耕衣

月光の針のむしろの貝割菜/平井照敏

杣の家の夜夜星粗し貝割菜/本多静江

母病みて夜毎を露や貝割菜/岡本庚子

山空の青さただよふ貝割菜/近藤一鴻

八海のひとつが遠し貝割菜/渡辺叶夫

でゞむしの殻ころげをり貝割菜/飴山實

ひらひらと月光降りぬ貝割菜/川端茅舎

まつすぐに灰撒かれたる貝割菜/森田峠

みすゞ刈る秋や浅間の貝割菜/石塚友二

一対はいのちのはじめ貝割菜/高崎武義

又少し育ちて雨後の貝割菜/福原千枝子

土割つてひしめき光る貝割菜/坂本草子

子の体操影に手が出て貝割菜/中村明子

俳句例:41句目~

宥さむと一途に来たり貝割菜/村沢夏風

山よりも里の露けし貝割菜/鷲谷七菜子

明け方に小雨ありたる貝割菜/村上杏史

暁の星渡し尽くしぬ貝割菜/百合山羽公

水鳥のこゑ空にあり貝割菜/毛呂刀太郎

煙都失せ城日々に澄む貝割菜/宮武寒々

爆音の跡絶えぞつくり貝割菜/野澤節子

笊の目をこぼれ流るる貝割菜/福田蓼汀

籠の目にからまり残る貝割菜/富安風生

裾ひいて神父のまびく貝割菜/伊藤仙女

貝割菜ずしずし通る蜑の足/百合山羽公

貝割菜一粍の根に土つかむ/福本須代子

貝割菜嵯峨野の藪の拓かれて/森信坤者

貝割菜揃へつつ売り夕市女/谷内みつ子

貝割菜整列足踏みせるごとし/高澤良一

貝割菜ややに辛きを箸ばさむ/畠山譲二

貝割菜筒井のそこも月のかげ/田中裕明

雨そそぎつつ鵙来たり貝割菜/石田波郷

秋篠の日の差してゐる貝割菜/藤田あけ烏

大根の風味やすでに貝割菜/加藤しんじゆ

俳句例:61句目~

貝割菜二人の暮しに育ち過ぎ/佐藤ともえ

貝割菜伊吹山に白き雲湧ける/加藤三七子

地を離れはじめし影の貝割菜/野見山朱鳥

貝割菜たどれば負けし記憶のみ/本多静江

貝割菜つみにいづれば一時雨/吉岡禅寺洞

もう種でなくまつさをに貝割菜/永田耕衣

貝割菜ひしめき吾等老いんとす/山口青邨

日の当たるところは密に貝割菜/棚山波朗

昼も鳴く虫となりけり貝割菜/徳永夏川女

ひたひたと水は野に満つ貝割菜/草間時彦

貝割菜海音とほくはこばるる/金尾梅の門

貝割菜育て老い行く八瀬童子/高木青二郎

貝割菜蜑のかき殻突きさゝる/百合山羽公

葡萄いろの空とおもひし貝割菜/田中裕明

雨は地に沁むほどならず貝割菜/鷹羽狩行

おそろしきこゑのきこゆる貝割菜/石田勝彦

出来不出来なく揃ひたる貝割菜/長戸ふじ子

貝割菜根といふものゝありにけり/細見綾子

二葉菜に蝶とびヒユツテ釘づけに/亀井糸游

日はのぼるはてしなき地の貝割菜/山口青邨

俳句例:81句目~

貝割菜いたはるごとく洗ひけり/佐野つる代

貝割菜華奢に吹かれて混み合へり/保坂リエ

貝割菜うつくし伊賀に住む入ら/阿波野青畝

みどり児のあやつり歩き貝割菜/文挟夫佐恵

貝割菜口には出さぬ愚痴もあり/里見美津子

貝割菜日々不揃ひとなりゆけり/長野とみ子

いつまでも遠ちが日ざせり貝割菜/柴田白葉女

あちこちにいつか灯がつく貝割菜/福田甲子雄

なつかしや蚕屋の出口の貝割菜/長谷川零餘子

貝割菜ものおもはねばみどりかな/八重津苳二

やや伸びて貝割菜とは言ひがたし/荒川ひろし