俳句例:101句目～
洗ひ髪梳きつつ定年の話など/菖蒲あや
髪洗ふ生地にしかと足着けて/中嶋秀子
髪洗ふ身の逆しまに銀河系/横山美代子
髪洗ふ髪の重さを掌にのせて/館岡沙緻
天の川こころ乾けば髪洗ひ/鈴木真砂女
夫の手をかりて丈なす髪洗ふ/石川文子
夫の魂迎ふる髪を洗ひけり/吉野トシ子
子の髪を洗ふ遥かに海が鳴る/有馬朗人
小夜更けて髪を洗ひて彼岸入/中山純子
山川にひとり髪洗ふ神ぞ知る/高濱虚子
山川に洗ひし髪のくもりけり/永田耕衣
忘れたきこと忘れずに髪洗ふ/福川悠子
手探りで蛇口をひねり髪洗ふ/榎本城生
故郷喪失洗い髪のまま寝ては/対馬康子
明日嫁ぐ子の歌ひつつ髪洗ふ/関口美子
星まつる髪を洗ひて狂女なる/永井寿子
昭和逝く七日の夜を髪洗ふ/蓬田紀枝子
暁闇や洗ひしごとき髪の冷え/野澤節子
木の葉髪一身洗ひざらしなり/井沢正江
汗の髪洗ふ頭蓋も痩せにけり/相馬遷子
俳句例:121句目～
洗ひ髪あげて襟あし見せくれし/上村占
洗ひ髪かはく間月の籐椅子に/杉田久女
洗ひ髪かわく間月の籐椅子に/杉田久女
洗ひ髪くくる紅紐きりと噛み/橋本鶏二
洗ひ髪して夕顔の闇にあり/五十嵐播水
洗ひ髪乾くかそけき音にをり/北住京子
洗ひ髪冷たし夜の窓に梳く/関口ふさの
洗ひ髪森より静かに夜生まれ/齋藤愼爾
洗ひ髪病臥の夫がもてあそぶ/品川鈴子
鏡見てべつかつこうや洗ひ髪/鈴木花蓑
海の色なほひきよせて髪洗ふ/坂巻純子
潮風に吹かれし髪を洗ひけり/田村糸女
片頬に敷く洗い髪あやめの闇/坂野宜枝
生かされて術後十日の髪洗ふ/影島智子
目をつむる顔横向けて髪洗ふ/高野素十
洗ひ髪垂れて苗床見に来る/山口波津女
ふはふはと櫛を逃げゆく洗ひ髪/下村梅子
洗ひ髪いつか他郷に家事の順/平井さち子
明日といふ言葉は楽し髪洗ふ/鷲巣ふじ子
うつむくは堪へる姿ぞ髪洗ふ/橋本多佳子
俳句例:141句目～
洗ひ髪孫のうなじの早や乙女/小野/武子
青田見て髪洗ひ濡らす藁ざうり/中山純子
この髪に明治の長さあり洗ふ/小石なつ子
生涯のここまでは来し髪洗ふ/沼尻巳津子
つまらなき湯治の髪を洗ひけり/綾部仁喜
病む母に頼らるる髪洗ひけり/大木あまり
洗ひ髪振りて怒りをしづめをり/中村祐子
洗ひ髪身におぼえなき光ばかり/八田木枯
吾子の髪少し切らばや洗ひやる/星野立子
ふり返るとき阿修羅なり洗ひ髪/鷹羽狩行
髪洗う山河を越えてゆくときは/対馬康子
キャンプして森の匂ひの髪洗ふ/前川紅楼
髪洗う敵のちかづく音楽して/鈴木六林男
看護婦の一と日の疲れ髪洗ふ/水無瀬白風
髪洗ひ今日の愁ひは今日捨てん/山田弘子
髪洗ひ頭蓋が小さし旅づかれ/殿村菟絲子
洗ひ髪傘におぼえなき光ばかり/八田木枯
髪洗ふこころのどこか人に倚る/石原八束
髪洗ふことより病ひ断ちしかな/佐藤佳津
受洗まつ子の髪浄くリラ咲けり/堀口星眠
俳句例:161句目～
洗ひ髪結ふ間なくして人に逢ふ/下村梅子
約束を反故にせし日の髪洗ふ/片山由美子
地球まろき旅して洗ふ髪一握/稲垣きくの
髪洗ふボトル二つやさてどちら/高澤良一
日の匂ひある子の髪を洗ひやる/大橋敦子
洗ひ髪素顔でゐてもよき夕べ/嶋田摩耶子
忌明け後のひとりに余る髪洗ふ/中嶋秀子
波音のこもりし髪を洗ひけり/片山由美子
灯の尽くるかなたは砂漠髪洗ふ/小池文子
梳きながら乾いてをりぬ洗ひ髪/玉利孝子
忘れたき夢きしきしと髪洗ふ/池田あや美
沢山の髪もてあまし洗ひけり/山口波津女
遠退きてちかむ忌日の髪洗ふ/猪俣千代子
月の夜にはしばしを梳く洗ひ髪/山口誓子
髪洗ふ痩肘張りて見栄もなく/鈴木真砂女
あきらめといふ清しさに髪洗ふ/山田弘子
実盛のいくさおもへり洗ひ髪/猪俣千代子
女に家あり時に家憂し洗ひ髪/平井さち子
今日暮れて髪洗ふことひたすらに/中山純子
洗ひ髪梳くほの昏れの恋ごころ/中村多喜子
俳句例:181句目～
かなしみはなし身を曲げて髪洗う/対馬康子
髪洗ふ許可出し友を見舞ひけり/堀之内和子
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ/野澤節子
ねむごろに洗へり明日は手術の髪/品川鈴子
闇のほかまとふものなし洗ひ髪/赤松ケイ子
ははよ/来世は髪を洗つてあげる/向山文子
まなじりに罌粟吹かれをり髪洗ふ/佐野美智
ジーパンを腰で穿きたる洗ひ髪/百瀬ひろし
チャルメラのひびく夕ベの洗ひ髪/仙田洋子
ヒマラヤの水で洗うは/童女の髪/岩崎/勇
髪洗ふ逆しままつたく孤りのとき/川島千枝
何事もおもはず髪を洗ひけり/久保田万太郎
俯むきて仰むきて洗ひ髪を干す/山口波津女
前に梳きうしろに梳きて洗ひ髪/山口波津女
あるがまま気ままに生きて髪洗ふ/大平保子
洗ひ髪梳きつつもつれやすきかな/下村梅子
海蘊洗ふ指漏る髪を梳くごとく/稲垣きくの
夕ざくら髪くろぐろと洗ひ終ふ/鷲谷七菜子
洗ひ髪背に垂れ若き日のごとく/山口波津女
梳きに梳く洗ひこらへし旅の髪/赤松ケイ子
