俳句例:201句目～
裾野まで富士を見て来し髪洗ふ/金久美智子
身を折りて明日あるための髪洗ふ/館岡沙緻
逢はぬ日のやすらかさゆゑ髪洗ふ/岩崎照子
明日は来るテレビの取材髪洗ふ/今井風狂子
鯛曼荼羅の海をはるかに髪洗ふ/小枝秀穂女
雲に近き天守で吹かれし髪洗ふ/平井さち子
洗ひ髪路地吹きぬくる風のあり/鈴木真砂女
雁来紅にたちよりときぬ洗ひ髪/高橋淡路女
髪洗ふ明日より元気出したくて/吉政実代子
髪洗ふいくたびも修羅くぐりきて/木田千女
髪洗ふ枝だれ身や男信じきつて/平井さち子
思ひのたけを闇に投げ出し髪洗ふ/石原八束
浄土曼荼羅見足りて夜の髪洗ふ/つじ加代子
髪洗ふ湯の沸きすぎし時雨かな/鈴木真砂女
泣きくづるごとくに髪を洗ふなり/石原八束
髪洗ふ目に逆しまのこの世見ゆ/八牧美喜子
恋とならざりき大年の髪洗ふ/きくちつねこ
髪洗ふ草のふかさをさぐるごと/正木ゆう子
げに長きみとりなりけり髪洗ふ/野見山ひふみ
ははそはのすくなき髪を洗ひます/山口波津女
俳句例:221句目～
喪つとめのあるやも知れぬ髪洗ふ/塩谷はつ枝
地虫鳴くやさみしきゆゑに洗ふ髪/鈴木真砂女
洗ひたる髪の千すぢのみないのち/大竹きみ江
油断たのしや髪洗うとき目をつむり/池田澄子
いつお召しあるやもしれぬ髪洗ふ/一円あき子
洗ひ髪かわく間を子に絵本よむ/野見山ひふみ
髪洗ふ秘めたるわざのごとくせり/軽部烏頭子
髪洗ひ生き得たる身がしづくする/橋本多佳子
洗い髪見せるついでにケロイドを/相原左義長
いやなことつもりにつもる髪洗ふ/久保田万太郎
紫陽花に温泉を汲みて髪洗ひけり/長谷川かな女
母情むなしセロリ噛んでも髪洗つても/平井さち子
髪洗うて温泉にもうたるゝいとま乞ひ/『定本石橋秀野句文集』
