俳句例:101句目～
春風に海知らぬ国の空碧し/島田青峰
碧落へ色うしなへる返り花/太田鴻村
碧落へ花散る山の登りかな/太田鴻村
碧湖より青天かけて山紅葉/香西照雄
碧映えて出窯の壺あたたかし/及川貞
海地獄碧きが上の赤とんぼ/山本歩禅
碧揚羽通るを時の驕りとす/山口誓子
朱欒まだ碧が匂へる鳳作忌/松浦敬親
東京の空の碧さよ震災忌/甲斐謙次郎
松風に碧みてきたる氷かな/岡本高明
枝豆の碧玉喉に飛び入りぬ/久米正雄
碧落に鷹一つ舞ふ淑気かな/宇田零雨
枯菊に一天の碧ゆるみなし/福田蓼汀
山碧し花桃風を染むばかり/飯田龍太
碧天を占めた俳句の時間帯/浅野逍風
山高し墓碧し炎天にわれも/牧石剛明
岩におく水さへ碧し草雲雀/鈴木鵬于
雛流す沖の碧さの祓はれし/山田弘子
雪の川碧深ければ渦を巻く/長谷川櫂
雪山に野尻湖の碧沈めけり/橋本夢道
俳句例:121句目～
雪日和たたみ鰯の目の碧き/長谷川櫂
雪虫のかくまで碧き三ケ日/道山昭爾
雲碧く僧の頭青し年木作務/河野静雲
碧落に聖火台嵌めスケート場/轡田進
峡湾の碧さや牟婁の冬深き/内藤吐天
骨小さき碧雲居仏南無小暑/萩原麦草
夏海の帆碧々とゆきゆけり/小橋啓生
鵙の天碧し朝から疲れゐる/内藤吐天
黒鯛釣に港湾の潮碧なす/鈴鹿野風呂
夜は碧き雪稜線のよみがへる/石原八束
夜は碧く雪稜線のよみがへる/石原八束
天涯の碧さ野菊と吾れに透く/野澤節子
天碧し盧橘は軒をうづめ咲く/杉田久女
富士が嶺や南無碧落の秋の雪/西島麦南
強く吹く風に乗り換え碧揚羽/高澤良一
撒水車空の碧きを敷きゆけり/池田梓郎
散紅葉とどくを待ちて渕碧し/横山房子
桜ちる空碧ければうれひなし/岸風三楼
汲みさげし閼伽に碧落秋彼岸/井沢正江
洗面す冬暖の空ほのかに碧し/飯田蛇笏
俳句例:141句目～
湖の碧声帯模写の鸚鵡のまえ/伊丹公子
冷えきつて茎石碧むまで磨く/宮坂静生
満ち足りて円筒に憑く碧揚羽/攝津幸彦
玄海に花屑育てて碧き潮/竹下しづの女
石庭を蹴りてよろりと碧揚羽/攝津幸彦
碧きまま昏れて流星椰子の上/高澤良一
碧き眼の娼婦ら肥えて虫飼へる/瀧春一
碧天に雪富士いまだ湖覚めず/吉野義子
碧天や喜雨亭蒲公英五百輪/水原秋櫻子
碧揚羽夫婦の仲を割いてみよ/辻田克巳
碧落に入りたる草の絮うれし/矢島渚男
碧落は太初このかた雪の富士/山本歩禅
碧落や父子距たれば揚ひばり/和田悟朗
碧落を写す皐月の田の面かな/橋本立雄
碧落を支へきれずに朴葉落つ/福永耕二
碧落下秋のレマン湖水澄めり/河野静雲
秋の日をとづる碧玉数しらず/芝不器男
空よりも碧き摩周湖花サビタ/山本歩禅
絵の秋の空の碧さが迫り来る/椎橋清翠
色鳥や碧天にあげて煙細し/島村元句集
俳句例:161句目～
芥子咲けば碧き空さへ病みぬべし/篠原
花冷をしかと覚えて碧巌堂/鈴鹿野風呂
落葉せり碧天はいつも青年にて/有働亨
葉洩日に碧玉透けし葡萄かな/杉田久女
越中の碧くしづかな氷柱かな/佐川広治
木曽川の奇岩に碧き後の月/水上美智子
限りなく海碧き日のばつた飛ぶ/樋笠文
さしのぞく海の碧りや蕨山/楠目橙黄子
陽の碧くむら嶺の風に燕来ぬ/飯田蛇笏
つばくらめ帽簷雨後の山碧む/巌谷小波
雛の鷺天より碧き殻を割る/長谷川秋子
一月の日を乗せ海の碧きかな/藤田康子
七月の碧落にほふ日の出前/水原秋桜子
雪下し夕空碧くせまり来る/金尾梅の門
修行場の岩かげ碧し岩棲む/面地/豊子
冬服や荒海の碧さいさぎよし/内藤吐天
雪眼鏡雪原に日も牛も碧き/橋本多佳子
冬桜空の碧さとかかはらず/馬場移公子
冬瓜の坐り碧湖となりにけり/山本洋子
古老ひとり碧雲居忌の釣堀に/渡辺恭子
俳句例:181句目～
霧匂ふ夜や碧玉を見立て合ふ/中村明子
風の声碧天に舞ふ木の葉かな/臼田亞浪
風雪を経し火口湖の碧き冷え/伊東宏晃
飛び来る落花の風に空の碧/池内友次郎
城門のこふのとりの巣秋碧し/小池文子
馳せ入るや秋霖碧き妻の傘/鳥居おさむ
基地の街碧すぢ揚羽は怒り肩/藤田直子
塔も碧き秋天を雲ゆき消ゆる/臼田亜浪
塩の道天碧む日の軒つらら/甲斐すず江
鵜舟待つ川の碧さの極まれる/高橋以登
鷽納め碧き月日を惜しみけり/古館曹人
声上げて春潮の碧足を染む/岸本マチ子
稲刈つて雀に碧き空のこる/坪井かね子
碧落や鶴が邪魔する雲気かな/増田まさみ
寒餅を搗いて碧忌に供へけり/江戸おさむ
寒碧き海の奈落も見とゞけつ/佐野まもる
湖の碧さ奇しきまで秋風に映ゆ/大森桐明
天の碧さ盗め盗めと飛ぶ噴水/長谷川秋子
月皓皓としてデスマスク碧し/有馬ひろこ
碧落へ注連張つて那智一の滝/肥田埜勝美
