俳句例:201句目～
休まずに働くゆゑの汗疹とも/田崎令人
余生なほ働かされて目刺焼く/下村非文
修理工ピアスきらりと働ける/近藤安子
働く妻の裾に病みをり寒の内/小林康治
働いてをればしあはせ木の葉髪/東ふみ
働き蜂と生れてすがる花八手/上原楓子
猿のごと顔揉む短日働きて/土田祈久男
大年や働きづめのガス焜炉/田守としを
働いて睡りてふたり花を待つ/黒田杏子
働いて耳を冷たく戻りけり/西嶋あさ子
妻のみが働く如し薔薇芽立つ/石田波郷
働かぬ手にいただくや雑煮箸/西島麦南
竹皮脱ぎけむり出るまで働く/伊藤希眸
杜氏が身を賭けて働く寒造り/右城暮石
大股に働くものの雪の足型/田川飛旅子
寒卵働かざりしたなごころ/石田あき子
林檎出づ働くことの楽しくて/菖蒲あや
働く顔上げて野丁場枯るる中/後藤一朗
大き手の働いてゐる林檎の実/石田郷子
夢の父母いつも働く水草生ふ/鈴木貞雄
俳句例:221句目～
梅干に蠅働らきて金足らず/田川飛旅子
秋晴るる一日働き一日寝て/古賀まり子
炭火吹き働く齢のこりをり/米沢吾亦紅
死ぬまでは働く鞴まつりけり/宮下麗葉
焚火して働きにゆく胸あつし/中山良章
働くや夜は大振りに葱切つて/嶋田麻紀
掌の窪に伽羅蕗の黒働きたり/後藤一朗
秋思ありよく働きし我が双手/松村俊子
夜濯や働らく母となりてより/下山宏子
煙草捨て働くための裸となる/宮下時雨
働きし時間の見えて畦を塗る/松原秋果
働きし化粧のままに秋刀焼く/依光陽子
働かねば喰えぬ日々草咲けり/佐伯月女
働かぬ腕太らせて梅雨に入る/鈴木松子
風呂吹に舌焼く今日を働きし/後藤一朗
ラムネ飲む山働きの身の装具/右城暮石
わくら葉が落ち働ける蟻かくす/田中灯京
サルビヤの百日働くを疑はず/山田みづえ
メーデーを忘じてゐたり働きて/鈴木栄子
働いてゐて大寒もまたたく間/鈴木真砂女
俳句例:241句目～
働いて来し手の組まれ聖夜ミサ/小谷伸子
東風が曲ぐ働らく人の帽の縁/田川飛旅子
働く詩詠みて逝きたる友の秋/下村ひろし
死ぬまで働くつもりの鍬がある/鈴木和枝
母の日や働く母のほか知らず/西/美知子
子を置きて働けば北風激しかり/広渡詩乃
波打際で働くことは祈ることだ/夏石番矢
働く手ふたつありたり雁渡し/久保田豊秋
夜も出て働く蟻が蚊帳を攀ず/田川飛旅子
灯のボート働き終へし恋ならむ/雨宮昌吉
無数の線でつながる働き蜂の唄/乾鉄片子
瓦屋働らく鯉幟より高き場に/田川飛旅子
働く背は春いく千の丸太のしみ/古沢太穂
疲れざるほどに働き夏もよし/藤田つや子
夏帯や働くかぎり身は枯れず/鈴木真砂女
手袋を脱ぎて働く手となれり/徳永山冬子
秋風に出てこれよりの海働き/加倉井秋を
種選ぶ働くことの好きな掌よ/佐藤南山寺
男女の細身働く日夜の神といて/伊丹公子
筋金は働くちからラグビー猛る/宮坂静生
俳句例:261句目～
墓地に働き石工の飯は歯に凍る/石橋林石
昏き帆は働ける帆や秋つばめ/中戸川朝人
紺の香きつく着て冬空の下働く/尾崎放哉
繊細に内臓働らき芥子ひらく/田川飛旅子
啄木忌過去にはふれず働かす/八牧美喜子
働き手にもろ肩小さき衣紋竹/平井さち子
茶が咲けり働く声のちらばりて/大野林火
茶の花や働くこゑのちらばりて/大野林火
呪丈の宙働き象もねむったあと/伊丹公子
南瓜ごろごろ働き者の妻の畑/杉浦嘉太郎
蓼の花働きに出むか旅立たむか/岩田昌寿
蚕豆飯にいつまで母を働かすか/岡本庚子
働きて忽と死にたし稲びかり/古賀まり子
月夜の雪の木へ窓あけて働く/栗林一石路
雲雀野に父や働く手をかざす/小林もと子
いちはつやよく働いて手が明るし/岡本眸
さりながら夏痩せてよく働けり/高濱年尾
しやきしやきと婆が働く大根焚/西村和子
働かねばはふり出されむ天道虫/岩田昌寿
働かねど膝を暖雨にくつろがす/村越化石
俳句例:281句目～
ならひ吹く木場に働きいかり肩/高橋六一
はや働くさまに尻立て蟻出づる/後藤一朗
山は永久に聖し顎出し働くわれ/細谷源二
食扶持のほどは働き鬼の子よ/鳥居美智子
わがための露日和かな働かむ/大木あまり
木より落つ雪よわれらは働けり/細谷源二
働かぬ汗拭きて口惜しきかな/小笠原和男
働かぬ日の汗の身を弥陀の前/片山由美子
働きてむしろ涼しき日の盛り/渡邊千枝子
すかんぽや働かぬ日は手の大き/小島千架子
働く詩人の会合の家貨車にゆらる/古沢太穂
母の日わが働き蜂に似てさみし/石田あき子
ハイビスカスばかり働き者ばかり/本多静江
朝から栗鼠のごとく働き秋草挿し/鈴木栄子
働いて疲れた一日をドアで仕切る/古家榧子
働きし身のあたゝかく晦日蕎麦/石本みち江
なほもつて余生働く破魔矢うく/鈴木真砂女
きりきりと働くことの寒からず/鈴木真砂女
働けよ働けよ筒鳥は耳に慣れて/平井久美子
野遊びのいつしか働き出してをり/松山足羽
