身近に関連した俳句の例をまとめました。
身近を含む俳句例
秋扇身近に心遠くあり/松田淳子
神よりも仏は身近霊迎/柳本燕雨
身近なる山の青空十二月/松村蒼石
身近きは響き野分の遠谺/斎藤空華
風のあと幹の身近な法師蝉/中拓夫
密葬の壺を身近に明易く/川崎展宏
永き日のまざと身近や生の涯/朱鳥
年ごとに李杜の身近く菊膾/橋田憲明
鯉はねる音を身近に夏座敷/安田君子
虚子遠くなりて身近に椿赤/鈴木玉斗
逝きてより母は身近に鉦叩/猪股万起
身近に鈴の音満つるごとく冬/岡本眸
冬枯の身近きものに谿の音/日下正伝
初暦身近に一つ納まりぬ/蓬田紀枝子
春寒の身近きものに鉤ありき/北原白秋
うかららの身近なはなし釣忍/佐藤美子
吾亦紅死後も身近に母居給ふ/中村契子
一本の松のしぐれを身近にす/嶋田麻紀
母子草母逝きてより身近なり/神田豊子
山眠るさまを身近に眠りけり/杉山岳陽
俳句例:21句目～
異国の死身近にしたり春の月/嶋田一歩
あたたかや虚子を身近と思ふ館/堀恭子
早苗挿す早さ烈しさ身近さよ/平畑静塔
身近かなる男の匂ひ雨季きたる/桂信子
雛の夜星を身近く引き寄せて/菖蒲あや
雨音も身近なものに春立つ日/福井圭児
露けしや芭蕉身近に学びし日/桑田青虎
魂魄を身近かにしたる朧かな/橋本榮治
初鵙のきのふよりけふ身近なる/高澤良一
橡の実や雲の身近きこゝは飛騨/山口草堂
辰雄忌の郭公身近にて鳴けり/山崎ひさを
さきはひのもとも身近く春耕土/飯田蛇笏
煮凝や夜は身近なる汽車の音/岩淵喜代子
身近かさや越冬燕とも会ひて/松島不二夫
大き暮春われの身近に牛ゐたり/村越化石
稲妻を身近にこころ張りとほす/朝倉和江
風の音身近かに聞きて春惜む/大場白水郎
湯沸く音身近くなりて夜学果つ/宮坂静生
詩書更けぬ身近に雪のつもる音/日野草城
麻の実を身近きものの如く見る/後藤夜半
俳句例:41句目～
死は常に身近にありぬちちろ虫/吉村ひさ志
星空が身近かにありぬひめはじめ/山中正己
種を蒔く身近かに蛙なきつぐよ/岡本癖三酔
ありあはす山を身近かに今日の月/飯田蛇笏
ものの芽や身近とはなる癌告知/ふけとしこ
初鶏の身近に啼けばおろかしく/加倉井秋を
てのひらより大きな牡丹身近くに/伊丹公子
川とんぼ見しより風の身近なる/近江小枝子
旧正や日がさして来て山身近/久保田万太郎
籠目白身近な月に落ちつかぬ/飛鳥田れい無公
野を焼く火身近に墓は暮れつつあり/村沢夏風
かなかなや身近く置ける恵与の書/ふけとしこ
雪墜りし音より身近きもののなし/加倉井秋を
雪墜りし音より身近きもののなし/加倉井秋を
いつも身近に眞清水涌くを感じをり/眞鍋呉夫
水といふものを身近かに寒の明け/村松ひろし
目つむればいつも身近に春ショール/木村敏男
岩海苔を掻くや身近に鵜を浮かせ/鈴木真砂女
黄砂降る身近かに死者の多き日は/今村ケサヱ
けんけんと咳くや身近に茅舎の意地/赤城さかえ
俳句例:61句目～
闇の葉にひかる螢も身近かかな/飛鳥田れい無公
原爆ドームがこんなに身近にある炎天/山下裕康
瓦斯に火をつけ身近な責めから受ける/鈴木六林男
茅舎忌の身近なみどり箱パセリ/井伊直子「文字に彩」
馬の息身近かに梅雨の深まりぬ/越桐三枝子「雉俳句集」
