季語/新茶(しんちゃ)を使った俳句

俳句例:201句目~

いま僧にあらざる父とくむ新茶/赤松けい子

青に染み尼僧在せり新茶の縁/長谷川かな女

真清水を沸かし新茶の香の濃かり/竹田菁雨

新茶の封切つてこの世へ移しけり/水田光雄

早起きのふたりに新茶とどきけり/黒田杏子

新茶汲むいつか一人となる二人/丸山さち子

新茶汲み上手に老いしことを褒め/赤尾恵以

一つ一つ新茶とどくに罌粟咲けり/松村蒼石

新茶して五箇国の王に居る身かな/村上鬼城

新茶して五ケ國の王に居る身かな/村上鬼城

マンシヨンの白き四角に新茶汲む/山田弘子

新茶淹る湯かげんのこと添え文に/高澤良一

新茶くむしたたり数ふ母ありし/両角津也子

新茶いれ野鳥の声のはづみをり/星川/青鷹

新茶濃し山河のみどりあざやかに/橋本鶏二

独りゐて新茶汲む妹いとまありぬ/渡邊水巴

手拭風に再び解けて新茶摘む/阿部みどり女

戸口よりたたなはる山新茶摘む/佐藤美津子

華意竹情古陶に満ちぬ新茶の香/加藤知世子

己が手に揉みし新茶をすすりけり/堺壽美子

俳句例:221句目~

新茶買うて長き宇治橋渡りけり/室積波那女

新茶くむ対座のひまを夜気ながれ/皆吉爽雨

子等遠しふたりっきりの新茶汲む/野口糸静

新茶啜るや日覆となりし藤の棚/長谷川かな女

よろこべば新茶淹れかへ淹れかへて/小畑一天

もう二分などと新茶を淹れくれし/八木林之介

ハンカチに新茶のこぼれ吸はしむる/野澤節子

生きざまはもう変へられず古茶新茶/田中政子

生きて居るしるしに新茶おくるとか/高浜虚子

新茶とも古茶ともいはず茉莉花茶/後藤比奈夫

新茶くむそれの葉くぐりつつ来るを/皆吉爽雨

被疑者にも新茶淹れやる老刑事/樹生まさゆき

茶事ありて水無瀬の宮に新茶挽く/山口超心鬼

無事にまさるよろこびはなき新茶かな/川上梨屋

しぼり出すみどりつめたき新茶かな/鈴鹿野風呂

新茶の香真昼の眠気転じたり/一茶「寛政句帖」

新茶のかをり夜を前栽の蒸れ色/飛鳥田れい無公

霊前に新茶そゆるや一つまみ/浪化「喪の名残」

新茶開封ニュージャージィに湯の滾る/秋本敦子

茶どころと聞かねど新茶たぐひなし/水原秋櫻子

俳句例:241句目~

青新茶土間にこぼしてはかりけり/長谷川かな女

馬繋げ新茶かほらす萱が軒/蝶夢「草根発句集」

新茶なみなみ注ぎていつもの日の始まり/高澤良一

新茶淹れ父はおはしきその遠さ/加藤楸邨「穂高」

宇治に似て山なつかしき新茶かな/支考「梟日記」

夕映えて海女とらへをり新茶売/石田波郷「春嵐」

老いぬれば恬淡がよし古茶新茶/大橋桜坡子「鶴唳」

新茶汲み小夜の中山おもひけり/加藤三七子「無言詣」

夜も更けて新茶ありしをおもひいづ/水原秋櫻子「玄」

新茶汲むや終りの雫汲みわけて/杉田久女「杉田久女句集」