季語/葡萄(ぶどう)を使った俳句

「葡萄」を使用した俳句についてまとめてみました。

スポンサーリンク

季語「葡萄」について

【表記】葡萄

【読み方】ぶどう

【ローマ字読み】budo

子季語・関連季語・傍題・類語など

・甲州葡萄(こうしゅうぶどう:koshubudo)

・マスカットオブアレキサントリア(ますかっとおぶあれきさんとりあ:masukattobuarekisantoria)

・キャンベルス(きゃんべるす:kyamberusu)

・デラウェア(でらうぇあ:derauea)

・黒葡萄(くろぶどう:kurobudo)

・葡萄園(ぶどうえん:budoen)

・葡萄棚(ぶどうだな:budodana)

季節による分類

・「ふ」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「仲秋」に分類される季語

月ごとの分類

9月の季語

葡萄を含む俳句例

掌に愛して見する葡萄哉/太祇

水の月汲て拾はん梨葡萄/沾徳

鈴虫の音毎に透て葡萄哉/仙鼠

露とけて韋駄天走り葡萄蔓/普羅

琅かんの簷の葡萄に寿/木村蕪城

魂の一つ一つの黒葡萄/和知喜八

鹹き一日なりし黒葡萄/友岡子郷

葡萄一粒の弾力と雲/富澤赤黄男

亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄/茅舎

一粒の葡萄の曇り愛しゐる/綾子

月影に数へて見たり棚葡萄/吟江

一房のぶだう浸せり原爆忌/原裕

寺の月葡萄膾は葉にもらん/其角

月光の洽き夜の葡萄かな/樋笠文

葡萄一粒一粒の弾力と雲/赤黄男

大熱の脣ひやす葡萄哉/寺田寅彦

ろうかんの簷の葡萄に寿/木村蕪城

後の月葡萄に核のくもりかな/成美

心臓を透視の如き葡萄哉/瀧井孝作

葡萄棚一痩骨で生徒支ヘ/香西照雄

俳句例:21句目~

葡萄枯れ対岸の人朝陽の中/中拓夫

酒折の石白うして葡萄祭/萩原麦草

夜々月の雫や凝りて蔓ぶだう/素丸

葡萄垂れ下る如くに教へたし/静塔

沈黙の海の深さの黒葡萄/藤岡筑邨

手を振れば臍出る童葡萄熟れ/林翔

透かし見る葡萄の種や掌/会津八一

すでに秋葡萄の葉先うら返り/朱鳥

夜の雨葡萄太らせゐる斜面/見学玄

藤に春くれて葡萄に秋くれぬ/乙由

木鼠の葡萄棚這ふ月夜哉/寺田寅彦

葡萄作りは皆若者よ夏近し/瀧春一

神棚のぶだうに映る灯哉/寺田寅彦

一窓のみ葡萄粒々光頒つ/香西照雄

晩春の河内に低き葡萄棚/角川照子

黒葡萄天の甘露をうらやまず/一茶

黒きまで紫深き葡萄かな/正岡子規

落日運ぶ少年の船黒ぶどう/伊藤和

収穫のあとも鍵掛け葡萄園/檜紀代

洋梨蠢き葡萄膨らむ佐伯の眼/林翔

俳句例:41句目~

岩鼻や葡萄終りし地の傾斜/徳弘純

夏めくや天へ挙りて葡萄蔓/今井竜蝦

砂漠にも木下闇あり葡萄棚/品川鈴子

重き房なりし葡萄を食べ終る/波津女

夕空に蚊の湧き上る軒葡萄/富田木歩

船倉の葡萄は熟睡して運河/塩見恵介

編物の季節来ぬ食後の葡萄/内藤吐天

大阪を通過して来し葡萄狩/右城暮石

葡萄食ふ一語一語の如くにて/草田男

葡萄酒の滓引にほふ寒夜かな/甲子雄

紫のぶだうを置いて雨の音/細見綾子

葡萄酒の壜はあげ底緑の風/平井照敏

のちの月葡萄に核のくもりかな/成美

宮様の道に影さす葡萄かな/前田普羅

糖度計あるよ葡萄の畑毎に/品川鈴子

ひと房の葡萄を貰ふ胸の上/加畑吉男

掌に葡萄を置いて別れけり/前田普羅

一房に秤かたむく葡萄かな/吉屋信子

葡萄樹下少年と黙分ちあひ/橋本榮治

一房の秤かたむく葡萄かな/吉屋信子

俳句例:61句目~

葡萄吸う腰から下に夕日浴び/徳弘純

移り鳴く雉の声せり葡萄園/猪股洋子

恩光やいのち久しき葡萄文/和田悟朗

煮凝や月夜のどこも葡萄棚/三森鉄治

一房の葡萄を沈め生家なる/柿本多映

葡萄園の霧に人声近づき来/内藤吐天

われに母健か葡萄軒に垂れ/木村蕪城

一箱の闇より出でて黒葡萄/谷元左登

葡萄盛りて運ぶ船員と海境/金子皆子

日曜や枯れて日洩らす葡萄棚/有働亨

葡萄の葉白き巌をとほくにす/中田剛

ぶだう郷飛んで甲州雀かな/高澤良一

葡萄くふ壁の影肺蝕まれ/林田紀音夫

黒葡萄月ゆく音を耳のうら/庄司圭吾

葡萄吸えば星痕の空深くあり/須藤徹

人生はまあまあ美しく葡萄/櫂未知子

葡萄うるはしまだ一粒を損はず/虚子

秋櫻子忌葡萄の露に指濡れて/瀧春一

黒葡萄よりも冷たき女の手/名取文子

葡萄箱釘の早打ち父子して/三好潤子

俳句例:81句目~

マーラーの重音ひびく黒葡萄/石嶌岳

南方に曲江の景や葡萄園/楠目橙黄子

葡萄垂れ天上をゆく強き櫂/飯島晴子

葡萄園出て碧落に身を涵す/木村蕪城

ぶだう摘一房ごとに目を細め/森田峠

川音や起伏つゝめる葡萄棚/手島靖一

風生れ葡萄熟る丘と親しめり/杉本寛

風光り無一物なる葡萄の木/茂里正治

吐魯番の葡萄の粒の尖りけり/日原傳

空透きて秋風となる葡萄棚/茂里正治

月光の果に翳こく葡萄園/川島彷徨子

雨あがる至福に満ちて葡萄の香/遷子

葡萄若葉堂は弘仁仏を秘む/木村蕪城

堕天使に悪相見えず黒葡萄/吉原文音

墨染の葡萄一房皿にあり/田川飛旅子

リー伝記終焉の章葡萄垂る/村越化石

あをのけば蛙飛び付く葡萄哉/寺田寅彦

炎帝に葡萄の種を抜かれたる/高澤良一

熱の手に葡萄の種がべたべたす/長田等

猟鳥の死に切りし眼の葡萄色/右城暮石