季語/蚋(ぶと)を使った俳句

「蚋」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「蚋」について

【表記】蚋

【読み方】ぶと

【ローマ字読み】buto

子季語・関連季語・傍題・類語など

・蟆子(ぶと:buto_)

・ぶゆ(ぶゆ:buyu)

・ぶよ(ぶよ:buyo)

季節による分類

・「ふ」で始まる夏の季語

・「夏の動物」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

蚋を含む俳句例

避暑の宿蚋を怖れて戸を出でず

右の耳左の耳の蚋払ふ/東原芦風

寂寞と庵結ふや蚋の中/尾崎紅葉

寂莫と庵結ぶや蚋の中/尾崎紅葉

尼寺や甚だ淡き枇杷の味/村上蚋

黒塚や蚋旅人を追ひまはる/曉台

蚊蚋の類も吾の虚を突けり/瓜人

雲を割る金色光に蚋の陣/加藤楸邨

猿曳の大鼓聞えて遂に来ず/村上蚋

山頭火終焉の家蚋多き/池内けい吾

旅もどり旬日癒えぬ蚋の傷/大橋敦子

日光や蚋は居れどもよい処/子規句集

蟆子生れ牧の切株匂ふなり/張替総史

涅槃像尼に抱かれて拝みけり/村上蚋

山蚋や行衣の袖を乱れ打つ/尾崎紅葉

賤の女の誰待つ恋そ蚋の中/尾崎紅葉

蚋打って蚋の貌せり山の中/櫻井博道

蟆子生れ海の夕映牧に沁む/堀口星眠

屯田の裔として生く蚋燻べ/羽田岳水

掃苔の一人は淋し蚋いぶし/高濱年尾

俳句例:21句目~

月山が消える蚋来る目を閉ぢて/見学玄

かはたれの要塞地帯蚋が寄る/成田千空

蟆子纏ふかなしき紙の鯉幟/殿村莵絲子

よくヶ燻る女の腰の蚋いぶし/岡崎芋村

繋ぎ馬蚋に肉動く腓かな/長谷川零余子

人間であること蚋が刺しに来る/見学玄

肱振つて近寄る蚋を拂ひ拂ひ/星野立子

飯呼べど来らず蚋の跡を掻く/正岡子規

半ズボン蚋に食はれし跡の足/七戸初子

鴫立つて月の野道となりにけり/村上蚋

密集して蚋腰高に振るマンボ/赤尾兜子

水タンク雫し蚋の出づるなる/右城暮石

蚋払うシネマ哀しき睫毛なり/中北綾子

自在鉤に吊る蚋いぶし岩小屋/岸原枯泉

繁ぎ馬蚋に肉動く腓かな/長谷川零餘子

沙羅咲いて案内乙女に蟆子の傷/堀口星眠

利かん気な飛び方をせる蚋一つ/高澤良一

命あれば蚋さへ親し吾子還らず/福田蓼汀

小公園蟆子をつぶしに来し如し/細川加賀

午過ぎの畑やにはかに蚋殖えて/根岸善雄

俳句例:41句目~

蚋子の毬落葉の上に来て弾む/田川飛旅子

蚋ふせぐことに心を切りかへて/松本巨草

茶の丘に手拍てば蚋の数十の屍/下村槐太

蟆子の痕今日も終らむ明日も憂き/岸田稚

蚋飛ぶや浅瀬に洗ふオートバイ/奥山昌美

緑蔭の昼餉を蚋が侘しうす/竹中九十九樹

林ゆき夜明の蟆子におどろきぬ/山田文男

空手もて払へりあらぬ方の蟆子/三橋敏雄

造り滝見てゐて蚋に螫されけり/富安風生

野の蚋に足首の虚をつかれけり/久保乙秋

野の蟆子や一章のみの子守唄/磯貝碧蹄館

風呂ふけや蚋にさされし所をば/上島鬼貫

樹海より出でし明るさ蚋まとひ/白岩三郎

おのが足督するごとし蚋打つ父/香西照雄

三日目の蚋に食はれしあとなりし/稲畑汀子

直を噴いて指につぶれぬ出羽の蟆子/桂信子

僧はぎをあらはに蚋にくはれけり/高濱年尾

岳の空暮れをはるまで蟆子はらふ/堀口星眠

折りとりて蚋おふ山の馬酔木かな/西島麦南

暗中の蚋に刺さるることもまた/佐々木六戈

俳句例:61句目~

苔の青さ染みたる蟆子の生れけり/堀口星眠

血を噴いて指につぶれぬ出羽の蟆子/桂信子

蚋打ちし血のくれなゐの野中なる/皆吉爽雨

病む脚や蚋め二とこ螫しくさり/松根東洋城

蚋に負け足曳き摺るや西湖見ゆ/殿村莵絲子

蚋のさすその跡ながらなつかしき/服部嵐雪

深山蚋しふねかりけり社務所去る/植地芳煌

蚋よけの笹の葉ふりて行きにけり/橋本末子

蚋子しげき樹間軍歌に誘われゆく/金子兜太

ふるさとの蚋に喰はれて母と在り/川原道程

蟆子がくる相模の山を見てあれば/中村草田男

蟆子に血を与へては詩を得て戻る/中村草田男

桑摘の洲畑ごみ蚋うなりけり/飛鳥田れい無公

蟆子の血よりほかに紅なし山光る/中村草田男

石に踞して蚋にほくちの定まらず/長谷川零餘子

微塵蚋夕日にまひて斃ちゆけや/飛鳥田れい無公

蚋といふなつがしきものに血を與へ/金久美智子