俳句例:201句目～
胎の子に噴水の楽聴かせやる/上田日差子
噴水遠ク望メバ鯨ノ潮吹クカト/高澤良一
挫けては立つ噴水も喪のこころ/品川鈴子
噴水の高きにゆれぬ万国旗/長谷川かな女
虹のベール噴水に生れ婚約す/上田日差子
指揮者あるごとく噴水はたとやむ/森田峠
噴水の穂を折る風の出て過ぎぬ/星野立子
衝きあがる噴水すべて玉となる/富永晃翠
被爆後のいつ竣りし噴水銀の棒/友岡子郷
被爆忌の噴水は穂を高うせよ/下村ひろし
軽き死もあるか噴水はさらに脱ぐ/竹中宏
噴水や少女跳ねゆく彌撒了へて/小池文子
噴水は止まる自分に飽きたころ/櫂未知子
噴水の火の山越えて裂けにけり/谷川典大
噴水の白穂もて何の字を書かむ/柴田奈美
噴水の涸れしはただの水溜り/稲垣きくの
駅の噴水ひねもす人間模様かな/渡辺恭子
噴水の穂さきもう行きどころなく/山口誓子
湖上噴水うしろへ折れる妻の声/磯貝碧蹄館
噴水の地にもさざめきゐたりけり/木下夕爾
俳句例:221句目～
噴水の母子となりて噴けりけり/阿波野青畝
噴水の音にもある間やチエホフ忌/石川桂郎
噴水の涸れしなさけと思ひ知る/稲垣きくの
噴水の背骨をしゃんと立てにけり/高澤良一
いつまでも見て噴水に疲れをり/深川正一郎
素すぎる雨天の噴水内気な日/鍵和田ゆう子
噴水の落ち来るときは捨身なる/加藤かけい
孔雀の羽根が噴水になつた夕焼/富澤赤黄男
噴水の落つるをさゝへ水さやぎ/岩野登三朗
小一時間噴水見たり見なかったり/池田澄子
噴水の虚空をついてこぼれけり/細木芒角星
噴水の裏にてセールスマン欷けり/工藤克巳
噴水の無限むなしきものは棄つ/稲垣きくの
待合はせしたる噴水止まりをり/長崎小夜子
みな晝寝嬰児が噴水のごとさめて/細谷源二
シアトルの噴水みているこの平穏/伊丹公子
噴水と森の古都コペンハーゲンは/河野静雲
噴水は崩れたがりて独りの餉/鍵和田ゆう子
噴水にべんち向きゐつ子をあやす/原田種茅
噴水に夕日来てゐるいまむかし/須原さだを
俳句例:241句目～
噴水のさだめなき穂のうつゝかな/中村汀女
噴水のまなかの裸像濡れてゐず/加藤三七子
噴水のりちぎに噴けり万愚節/久保田万太郎
噴水の噴きあがらんとひこひこと/京極杞陽
樹々の上に噴水見ゆるときのあり/鈴木花蓑
噴水涸れ片身そがれてさへ死ねず/稲垣きくの
五月の噴水にふれこの刻もう還らず/寺田京子
よく上る噴水かこみつゝじ燃ゆ/長谷川かな女
ひとならび来て噴水に打たれる穂絮/高柳重信
噴水の辺や真乙女の四肢かがやく/つじ加代子
噴水に虹生るる位置ひとにゆづる/稲垣きくの
指揮者ゐるらし噴水のフォルティシモ/高瀬史
噴水に佇ち手をかくるところなし/波多野爽波
光る噴水子には父より母こそ欲し/磯貝碧蹄館
噴水涸れをんなの欠片きて佇てり/稲垣きくの
噴水やふりむけばジョットゑがきし目/小池文子
メドゥーサ死す噴水は血を噴きだせり/河野多希女
燃ゆる噴水われに侍しいてもろてもろあし/寺田京子
みどりのおばさん噴水に頭を越されて笑む/磯貝碧蹄館
噴水/はつらつと立ち上り若葉は破墨風な/荻原井泉水
俳句例:261句目～
見下ろされたるいらだちの夜の噴水の爪立つ螺旋/高柳重信
照らさるる噴水の虹かがよへば暗き戦後の何ぞ恋ほしき/篠弘
