「端居」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「端居」について
【表記】端居
【読み方】はしい
【ローマ字読み】hashii
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夕端居(ゆうはしい:yuhashii)
–
季節による分類
・「は」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
端居を含む俳句例
盲児の端居淋しき木槿哉/白雄
湯上りの心は白紙夕端居/上野泰
端居して妻子を避る暑かな/蕪村
端居する柱替りに嵐山/高澤良一
端居して謡稽古や指拍子/森澄雄
神神と倡婦ら端居下校道/竹中宏
陋巷の端居心に窓に倚り/高濱年尾
夕端居国に姉あり妹あり/横倉牧民
端居して後手つけば山青し/上野泰
硯匠雨宮弥兵衛昼端居/上野さち子
蝙蝠や据膳に菜して端居/内田百間
訪れて心易さの端居かな/高濱年尾
端居して戒壇院に女あり/高野素十
古雛の身退きたる端居哉/尾崎紅葉
西祭まつ勾欄に端居して/中井湖山
端居して常夜の国に近くゐる/原裕
ひとり居の端居心を誰か知る/砧女
芝暮れて端居の縁と平らなる/爽雨
沈黙も会話の一部夕端居/山田弘子
端居して何かを思ひ出さゞる/楸邨
俳句例:21句目~
考への鍵をあけたて夕端居/上野泰
考への断崖にをる端居かな/上野泰
百点の子を真中に夕端居/三輪閑蛙
端居して仏の肩や明易き/永井龍男
端居して闇に向へる一人かな/篠原
踏石に椿落ちたる端居かな/内田百間
走馬燈たまの端居にしづ心/清原枴童
妹さするひまの端居や青嵐/富田木歩
装束をつけて端居や風光る/高濱虚子
来ると否端居や月のねだり者/炭太祇
嫁端居背に家闇の昼も濃く/香西照雄
端居して宇宙への旅心かな/水見壽男
更けわたる草木の風に端居かな/草城
曾てなき端居語りの夜を得たり/青畝
蚊火置けば譚めく端居かな/小杉余子
月蝕の暗転にある端居かな/山田弘子
色鳥を待つや端居の絵具皿/松瀬青々
偲ぶとは恋しきことよ夕端居/星野椿
山荘の月よき夕ベ端居して/高木晴子
端居して明日逢ふ人を思ひをり/立子
俳句例:41句目~
脛長の脛を立てたる端居かな/森田峠
北畠親房端居でもするか/佐々木六戈
東京の端居なる位置柴叉は/能村研三
端居せる西の十万億土かな/齋藤愼爾
骨壺にすこし離れて夕端居/中村祐子
首折りて端居の母は一羽の鶴/武政郁
端居して仏万太郎在しけり/永井龍男
文芸はかなたかなたへ夕端居/斎藤玄
端居するうしろ姿も人さまざま/風生
一日の籠り居のあと夕端居/高野素十
唐突に齢問はるる端居かな/谷口桂子
端居してそもじは女吾は男/佐藤漾人
端居してうしろ何なき古畳/石川桂郎
門跡に我も端居や大文字/河東碧梧桐
久々や旅の端居も漁火も/石井とし夫
夕端居うしろに母の匂ひして/朔多恭
野良疵を夫に話さず夕端居/影島智子
鴛鴦を見る現心の端居かな/会津八一
人を待つ心々の端居かな/楠目橙黄子
蚊やりして師の坊をまつ端居かな/大魯
俳句例:61句目~
僧の笠よけて端居や時雨茶屋/野村泊月
車椅子離せぬ足の端居かな/柘植梅芳女
いつになく齢をかくし夕端居/河野南畦
遠囃子風のはこべる夕端居/小島ユキエ
関節を鳴らしてみせぬ端居人/高澤良一
いらぬこと聞ゆる耳と夕端居/尾崎陽堂
夕さりて川のにほひの端居かな/石嶌岳
夕端居こつんと堅き爪を切る/阪本澄江
夕端居心に期するもの育ち/佐野/一恵
夕端居数ふるとなく木を眺め/依光陽子
夜色楼台雪万家圖を見て端居/高澤良一
子の恋の行方ほぼ見え夕端居/山田弘子
子を恃む心もすこし夕端居/半田/順子
山に向き亡き父の座に夕端居/太田土男
師との間水のごとしよ夕端居/村越化石
思ふより我の小さき端居かな/田中裕明
新月に眉引きならふ端居かな/尾崎紅葉
旅にして端居ごころを携へし/山内山彦
昔日と同じ端居に向き変へず/村越化石
晴眼と人には見ゆれ夕端居/平尾みさお
俳句例:81句目~
望郷の端居の父も母も老ゆ/冨田みのる
樹雫の端居の耳にしづけさよ/清原枴童
正座して明治の母の夕端居/鈴木千恵子
波音を近づけてゐる端居かな/稲畑汀子
端居して話もせずに帰られし/星野立子
禅堂の大句座の端に即端居/赤松ケイ子
端居して一門に頼られてゐる/江口喜一
端居して吹き込む風の通り道/高澤良一
端居して女に生れし事悔ゆる/森田桂子
端居して家の灯りを見てをりぬ/仁平勝
ひとりづつ座を外しくる端居かな/苑子
端居して慈悲半眼の中にあり/古舘曹人
打明けて胸軽くなる端居かな/山田弘子
まだ誰も来ぬ料亭の端居かな/下田実花
端居して浄土の母を疑はず/大橋桜坡子
端居して糊ききすぎし袖たもと/及川貞
端居して虚子の面影淡からず/藤浦昭代
むかし禁制の女人と夜の端居/鷹羽狩行
めくら子の端居さびしき木槿かな/白雄
端居して遠きところに心置く/後藤夜半