季語/冷奴(ひややっこ)を使った俳句

「冷奴」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「冷奴」について

【表記】冷奴

【読み方】ひややっこ

【ローマ字読み】hiyayakko

子季語・関連季語・傍題・類語など

・冷豆腐(ひやどうふ:hiyadofu)

・水豆腐(みずどうふ:mizudofu)

季節による分類

・「ひ」で始まる夏の季語

・「夏の生活」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

冷奴を含む俳句例

一献に癒す疲や冷奴/野村喜舟

兄弟の夕餉短し冷奴/加藤楸邨

大山の水が命の冷奴/高澤良一

冷奴隣に灯先んじて/石田波郷

冷奴醤明るく広がりぬ/高澤良一

半丁のこれで充分冷奴/高澤良一

千年を飛び一刹の冷奴/古舘曹人

節約は美徳と習ふ冷奴/高澤良一

冷奴米寿の父の予定表/小高沙羅

雷の四、五頭走る冷奴/坪内稔典

冷奴ほとけの夫と半分こ/堀恭子

忽ちに雑言飛ぶや冷奴/相馬遷子

冷奴寺の扉の少し開き/柿本多映

大山詣水に研がれし冷奴/田中俊尾

雲中の床几となりぬ冷奴/綾部仁喜

堅苦しき挨拶は抜き冷奴/長谷川櫂

長旅を終へて二人の冷奴/松本正弘

衰へは歯より始まる冷奴/高橋悦男

ギヤマンの鉢重代や冷奴/野村喜舟

膳代り盆にしつらふ冷奴/石川桂郎

俳句例:21句目~

一痕の月に旅愁や冷奴/五十嵐播水

冷奴いの一番の客であり/角川春樹

崩さねば何もおこらず冷奴/赤松勝

箱膳にのらざる鉢や冷奴/野村喜舟

癌癒えてよりの歳月冷奴/添野かよ

男も馬鹿女も馬鹿の冷奴/佐藤和夫

父の忌の川風とほる冷奴/館岡沙緻

冷奴青紫蘇の香の一入に/野村喜舟

死も一字生も一字や冷奴/大西一冬

方便の嘘をつきをり冷奴/白井新一

北嵯峨の水美しき冷奴/鈴鹿野風呂

冷奴雨露しのぐ家でよし/渡辺虹雨

文弱の臍ゆるびしや冷奴/小林康治

冷奴まずは柱を冷やしおけ/森田廣

冷奴酒系正しく亨け継げり/穴井太

山寺の正方形の冷奴/北村/光阿弥

冷奴不遇を喞つ膝組んで/小林康治

抗議せし拳やすくふ冷奴/玉城一香

冷奴回りの早き昼の酒/川久保野人

冷奴無病息災とも言へず/水原春郎

俳句例:41句目~

老師此頃酒用ひずよ冷奴/青木月斗

妻は旅に仮のやもめの冷奴/上村占

冷奴布目ばかりの患者食/石川桂郎

御岳をかくす山見て冷奴/大島民郎

山川にとけし独りの冷奴/栗林千津

冷奴柱時計の音ばかり/柳家小三治

いさぎよく割箸裂きて冷奴/根岸善雄

風道の部屋に卓置く冷奴/宍戸富美子

ことさらに寄り添ふ女冷奴/田中冬二

鼻先にすつと出できし冷奴/星野恒彦

参拝の信徒に一施冷豆腐/上田正久日

献立書に冷豆腐や夫を残す旅/及川貞

つゝがなく逼塞身や冷奴/徳永山冬子

にんげんに老いる贅沢冷奴/丘はるか

もてあましけり十月の冷奴/松尾隆信

二人の膳すぐに整ふ冷奴/山根きぬえ

何ごとも半端は嫌ひ冷奴/鈴木真砂女

冷奴に言い寄られては回復期/穴井太

冷奴はや硝子皿のみ残る/徳永山冬子

冷奴われも市井の一作者/深川正一郎

俳句例:61句目~

冷奴一人暮しもやや慣れて/小林敬直

冷奴寡黙に馴れし共白髪/村上真佐子

冷奴水を自慢に出されたり/野村喜舟

冷奴氷截り出すやうにきる/高澤良一

冷奴貴方も齢と云はれをり/高澤良一

冷奴買ふ鍛冶の妻また妊む/宮武寒々

冷奴離れて坐る保身かな/金子かをり

冷奴父には地下水響きます/駒走鷹志

夜逃げした若い父さん冷奴/中烏健二

庭のもの青いちぢくや冷奴/鈴木花蓑

旅終へて普段の暮らし冷奴/岩崎健一

旅遠き子をうつろとす冷奴/桂樟蹊子

日本語がとつても上手冷奴/梅本初子

早すぎる夫の帰宅や冷奴/大場ひろみ

晩酌のくせのつきたる冷奴/松山声子

晩酌の今日もごきげん冷奴/高澤良一

桶に咲きし桔梗は秋や冷奴/渡邊水巴

考へがあつての馬鹿を冷奴/加藤郁乎

独り居の無口身につき冷奴/澤島郁子

神経を抜いて冷奴を喰へり/大石雄鬼

俳句例:81句目~

糊固きものまとふ夜の冷奴/河府雪於

繰りかへす惣菜帖や冷奴/大場白水郎

藍匂ふテーブルクロス冷奴/一条悠子

運といひ命といひ冷奴かな/加藤郁乎

雲の上に遠不二ありぬ冷奴/稲荷島人

冷奴のんどに不二の根雪かな/渡辺恭子

さそくなるを第一としつ冷奴/高田蝶衣

そばに居る妻の眼を借る冷奴/村越化石

下戸われに酒豪の子とは冷奴/伊東白楊

冷奴今日るすの子の茶碗かな/増田龍雨

冷奴掬ひながらに目くばせを/田中冬二

冷奴箸おもむろに何処欠かん/高澤良一

島がみな見えるさびしさ冷奴/永末恵子

冷奴紫蘇の風味をいかしけり/高澤良一

古家や冷奴おごりならねども/飯田蛇笏

地にひびく雨となりけり冷奴/村越化石

昼間見し田のひしひしと冷奴/廣瀬直人

もてなしの客三日目の冷奴/織部れつ子

冷奴食べ余生とはこんなもの/山田達雄

冷奴真白きものに廃りなし/細木芒角星