旅立ちに関連した俳句の例をまとめました。
旅立ちを含む俳句例
旅立ちの一花や朝の駿河蘭/節子
納骨といふ旅立の嫁菜飯/山田弘子
旅立ちの大根辛き朝御飯/川崎展宏
鶫旅立つ朧月夜の朧の躯/金子皆子
雲水の旅立ちは濃し灸花/堀内一郎
雨に濡れ燕よ汝も旅立つか/浜明史
旅立を人もうらやむ袷かな/炭太祇
赤道へ旅立つ朝の根深汁/山本喜朗
旅立のあとに淋しき柳哉/正岡子規
聖五月子も母となり旅立ちぬ/杉本寛
磯の神旅立つ海の朝しづか/新田郊春
旅立ちや朝寒の息弾ませて/高澤良一
旅立ちの母も日傘も水の色/鈴木鷹夫
海見んと旅立つ客へ花もそふ/杉本寛
明易の始発駅より旅立ちぬ/田中延幸
誕生は死への旅立ち冬銀河/三沢一水
父と母招魂祭に旅立ちぬ/中村ルツ子
出女に罰があたろぞ神の旅/立花北枝
受験子の旅立つ朝を常の如/稲畑汀子
夏草に風を残して旅立ちぬ/有光米子
俳句例:21句目～
大試験終へ海外へ旅立てり/武田光子
旅立をのべて都のあつさ哉/正岡子規
鎌鍛冶の鞴の神も旅立てる/吉澤一葎
幸先のよき旅立ちや薄晴れ/高澤良一
旅立ちの色整えよ冬の草/宇多喜代子
旅立の東風に吹する火縄かな/炭太祇
誘ふ神ありて旅立つ咲耶姫/池谷市江
旅立ちの近き白鳥夜も翔ぶ/斉藤程子
旅立のやうに門出る帰り花/百瀬美津
東京の春宵に旅立ちて来し/成瀬正とし
留学の子の旅立ちて睦月尽/大野雑草子
神ひとり旅立つ仏都高野より/辻本青塔
なほ奥へ旅立つ夜の銀河濃し/稲畑汀子
蕪白し遅れし鳥の旅立ちに/田口満代子
装うて何へ旅立つ雪の来し/金箱戈止夫
過去未来つなぐ花野に旅立てり/島みえ
ラマンチャの男旅立つ杜若/成瀬櫻桃子
颱風の方へ旅立ち行かむとす/杉山岳陽
高麗王を祀れる神も旅立ちぬ/飯島芳村
地鎮祭旅立つ神をひきとめて/村本畔秀
俳句例:41句目～
子が娶り旅立ちしあと秋深む/相馬遷子
忙中に閑あり神の旅立ちて/杓谷多見夫
旅好きの終の旅立ち野分なか/飯田和子
旅立たんばかり月夜の箒草/青柳志解樹
旅立ちし子に残る夜の水中花/稲畑汀子
旅立ちし子の自転車の飾取る/幡野淳子
旅立の花は木槿と決めてをり/田中裕明
新緑の光へと旅立ちにけり/明石はま子
旅立つと東風の書屋に一揖す/皆吉爽雨
旅立つやしげ～見たる麦の花/萩原麦草
旅立つや冬蝶たたす妻の影/秋元不死男
旅立つや父母のこり雛の宿/成瀬正とし
旅立の事ばかりいふあつさ哉/正岡子規
旅立へことばこまやか黐の花/加藤耕子
旅立や子らに渦巻く蚊遣香/千代田葛彦
月既に十日となりぬ旅立たん/野村泊月
旅立ちぬ海の匂ひとすすきの穂/正本陽子
旅立つてゆくだれもかも息白く/黛まどか
旅立つ日くじゃく仙人掌遺影前/塚原幾久
峰の神旅立ちたまふ雲ならむ/水原秋櫻子
俳句例:61句目～
エジプトヘ跣足に靴で旅立てり/都筑智子
噴煙にのりて旅立つ神ならん/大久保橙青
仏花の水かえて旅立つ霧の中/西田志乃江
噴火まのあたりに神の旅立たる/長野深郷
旅立ちの神の乗りゆく風ならん/久保康輔
旅立や顔見せの燈も見ゆるなり/蕪村遺稿
旅立ちや夢のごとくに桐が咲き/近藤一鴻
旅立ちは明日がよからう金木犀/紫藤ゆき
橋の灯は神旅立ちの銀の馬車/藤原千紗子
旅立ちの秋をおぼゆる後架かな/石原舟月
温泉の神の五百の磴を旅立ちぬ/大橋宵火
鬼子母神旅立ちてより風の街/加藤かけい
留学といふ旅立ちや春しぐれ/高山きく代
旅立つや子らに渦巻く蚊遣香/千代田葛彦
旅立ちのことばこまやか黐の花/加藤耕子
旅立ちの街なかに蓮ひらきけり/柿本多映
冬の旅立ち醜男醜女の窓越えて/金子兜太
結びおきて結ぶの神は旅立ちぬ/正岡子規
旅立ちて神はおはさぬ神馬かな/富安風生
蓼の花働きに出むか旅立たむか/岩田昌寿
俳句例:81句目～
蜜湯一椀炎暑の僧の旅立ちに/上野さち子
旅立つや真桑も甘か月もよか/芥川龍之介
また一つ旅立ってゆく除夜の鐘/粟屋夜智容
旅立ちの目覚めの木槿ほのかなり/林原耒井
旅立ちの朝の優曇華ありがたし/渕野なぎさ
遠嶺新雪すぐ旅立てる世ではない/秋庭俊彦
旅立たむ冬空はしらのあるごとく/森かつみ
かなぶんよ羽音しずめよ今旅立ち/平田よしこ
ペアセーター北へ旅立つフルムーン/秋元洋子
旅立ちの祇園まつりに日をはやめ/鳥山紫雨女
旅立ちの早や綿虫を追ふまなざし/鷲谷七菜子
冬の蝶々よ旅立つという山頭火よ/近木圭之介
鳥よ遠くに旅立つための風見もあり/金子皆子
いたづらつ子を妻に托し日盛り旅立つ/大橋裸木
きんちやく手提げも涼し病後の旅立ちよし/平井さち子
俄に旅立つ者は火どころの闇かたく鎖し顧みもせず/高橋睦郎
