俳句例:101句目～
雛の間のガラス戸妻子ゐて曇る/辻田克巳
栓さしてありし硝子戸枯木見ゆ/後藤夜半
松の蕊ガラス戸磨きたる日かな/下村槐太
松の葉とがる硝子戸の静けさ冬/大橋裸木
鴨引きし硝子戸に雨ぱらぱらと/岸本尚毅
硝子戸に星満ちて咳ゆるびをり/鷲谷七菜子
こと～く硝子戸閉てし冷かに/久保田万太郎
すすき新穂硝子戸に透き人生きる/中山純子
自動車でガラス戸が来て蝶が来た/池田澄子
夜は聾するほど硝子戸に春の魂/高野ムツオ
ガラス戸の夕日拭きゐる年の暮/中村みさを
ガラス戸の外めぐる雪や黒く見ゆ/高濱年尾
硝子戸のこなたに浴びて二月の日/石塚友二
硝子戸のうちそと灯りさくらんぼ/桜井博道
春鮒釣り硝子戸のある家に帰る/加倉井秋を
ホトゝギス月ガラス戸ノ隅ニアリ/正岡子規
子規庵の素通しガラス戸冷まじや/高澤良一
硝子戸開けて情濃き海女や湖の秋/宮武寒々
いくさ経し罅硝子戸の冬日かな/徳永山冬子
硝子戸に日影うすれしが霙れ来し/島田青峰
俳句例:121句目～
硝子戸の青葉にそまる夜あけかな/川上梨屋
朝焼の大ガラス戸を脱けゆく死者/熊谷愛子
北風吹く硝子戸に鍵かけてある/川島彷徨子
海に砲鳴りガラス戸ひびく大晦日/栗林一石路
硝子戸の夜ごとの守宮とほき恋/鍵和田ゆう子
ガラス戸を全身で打つ瑠璃たては/木村久美子
ガラス戸を圧してくる山ぼたん鍋/山本千代子
ガラス戸を開け放ちたる紅粉花の風/斉藤夏風
硝子戸に風ふきつくる蜻蛉かな/久保田万太郎
硝子戸に硝子戸うつり明けやすし/柴田白葉女
硝子戸にはんけちかわき山眠る/久保田万太郎
硝子戸の晴るゝ日曇る日さくら草/松本たかし
何ものかの誕生大ガラス戸を抜けてゆく/上月章
ヨーロッパ枯れる日の雨ガラス戸に/大峯あきら
ガラス戸に描かれてメリークリスマス/行方克巳
硝子戸のハンカチ剥がし今日為すこと/細川加賀
かまつかやガラス戸のうち留守らしき/川崎展宏
通夜が明けたる硝子戸の凍てついた青空/大橋裸木
實南天ほの赤くガラス戸曇れり/竹の門句集/筏井竹の門、木津螢雪編
ほととぎす鳴くに首あげガラス戸の外面を見ればよき月夜なり/正岡子規
俳句例:141句目～
兎跳びしてガラス戸を過ぎる子のうしろ民話の野は青むなり/春日真木子
