俳句例:101句目~
メーデーやむすびこぼるる異国米/加藤知世子
制帽を正すメーデーの敵視あつめ/榎本冬一郎
広場の砂利隙間なしメーデー歌充満/内藤吐天
メーデーの列とはなつてをらざりし/稲畑汀子
金買って病むメーデーを豪華にす/赤城さかえ
労働祭市電あふるゝにまかせたり/米沢吾亦紅
メーデーの鮮童にんにくの親しさや/古沢太穂
花は胸にメーデーの埃はらわざる/栗林一石路
ごみ箱に乗りメーデーの列を見る/加倉井秋を
堰かれたるメーデーの列ひきしまる/右城暮石
メーデー歌息あらく継がる列の途切れ/内藤吐天
主婦たたら踏むメーデーやヒロシマに/沢木欣一
磯に遊べリメーデーくずれの若者たち/草間時彦
メーデー明日色重ねゆくプラカード/石橋辰之助
メーデーの花環かざしてレンズ女工/加倉井秋を
雨にまきつくメーデーの旗振りひらけ/古沢太穂
メーデー無縁黒板に文字強く書く/鍵和田ゆう子
メーデーの腕くめば雨にあたたかし/栗林一石路
ハングライダー空に貼りつく労働祭/宇田川修一
メーデーの日はふかぶかと田に降れる/宇咲冬男
俳句例:121句目~
メーデーの中やうしなふおのれの顔/榎本冬一郎
木々満身いかりに芽ぶきメーデー歌/栗林一石路
真二つに電柱旭ざしメーデー歌/赤城さかえ句集
メーデーもストもよそごと一人縫う/細井/セツコ
爪さきもてメーデーの列にやや近寄る/加倉井秋を
故旧忘れ得べきやメーデーあとの薄日焼/古沢太穂
メーデー発つ旗綱びゅんびゅん風の鼓舞/古沢太穂
ひとりでメーデー人使ひ得で阿諛もなし/香西照雄
メーデーの旗風のなか吾子癒えよ/赤城さかえ句集
メーデー不参の火色に憑かれ火がいのち/吉田未灰
若葉あかるしメーデーの少女瞳をはりて/栗林一石路
明日はメーデーいつしんに冷やす腕の腫れ/古沢太穂
恋のなやみもちメーデーの赤旗を見まもる/橋本夢道
メーデーにはポストとともに佇つ他なし/加倉井秋を
メーデーがはらみ来るものを広場に待つ/榎本冬一郎
メーデーまたごつごつの汝が腕と組むか/川島道太郎
メーデー今宵病者らほそく歌い和し/赤城さかえ句集
花小鳥もぐらも鮎も今日メーデーに合唱す/橋本夢道
遠くメーデーよいしよよいしよと杭打ちこむ/吉田未灰
メーデー十時ぎつしりぶち込んできた六十万/橋本夢道
俳句例:141句目~
家族声なし全身震わす三歳孫のメーデーの歌/橋本夢道
ぐつと延びメーデーのデモ戦列は大きく曲る/橋本夢道
俺たちのメーデーを雲か霞のように見てけつかる/橋本夢道
木の芽、巡査がかこんでいるこれがメーデーの集團とおもえ/橋本夢道
五月祭の汗の青年病むわれは火のごとき孤独もちてへだたる/塚本邦雄