季語/落し文(おとしぶみ)を使った俳句

「落し文」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「落し文」について

【表記】落し文

【読み方】おとしぶみ

【ローマ字読み】otoshibumi

子季語・関連季語・傍題・類語など

・時鳥の落し文(ほととぎすのおとしぶみ:hototogisunotoshibumi)

・鶯の落し文(うぐいすのおとしぶみ:uguisunotoshibumi)

季節による分類

・「お」で始まる夏の季語

・「夏の動物」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

落し文を含む俳句例

林中に青き風生れ落し文/神緑郎

落し文夥しきを懼れけり/西村琢

檄文も艶文もあり落し文/島村正

落し文卵一粒封じあり/堀口星眠

中堂に道は下りや落し文/高浜虚子

藤村の墓へ散歩の落し文/伊澤織江

一の糸二の糸雨の落し文/長谷川双

落し文死の適齢期囁かれ/宮原双馨

落し文にも朝の巻夕の巻/岡田順子

丈山が竹の門べや落し文/松瀬青々

落し文瀬戸内寂聴尼は不在/長田等

峠より風音かはる落し文/立木節子

恋愛と全く無縁落し文/阿波野青畝

落し文大病懸想相似たり/斉藤夏風

落し文業平塚へつづく径/高野千代

落し文拾ひて渡る思川/松尾ふみを

緑ゆえ開かずにおく落し文/高橋将夫

先の人拾ひ居りしは落し文/高濱年尾

公園の奥が淋しい落し文/永井二三江

落し文殺し文句を二度使ふ/小出秋光

俳句例:21句目~

回廊の風に逃げゆく落し文/杉村昌信

翁越えし径と伝へて落し文/手島靖一

山々の灼け美しき落し文/大岳水一路

山伏の呪文に解けて落し文/馬場修子

山僧のわれに拾へと落し文/渡辺大円

山猫の賢治に宛てし落し文/太田土男

この森に恋の想ひ出落し文/阿部夕礁

良寛の母の碑にして落し文/西本一都

落し文開く一人をうち囲み/京極昭子

落し文寺苑の朝の湿りもつ/永井光代

落し文近くて遠きものに妻/原田青児

落し文開きて捨てる夢一つ/安斉君子

稚くて解けさうなる落し文/原田青児

落し文蕪村は小さき足なりし/上村占

落し文端のみどりを残しけり/森田峠

一切沈黙安土城址の落し文/橋本榮治

母の忌の近き夕べの落し文/伊藤京子

落し文拾ひ金刀比羅詣かな/棚山波朗

落し文ふと裏径にそれし時/高浜年尾

相聞の歌巻き入れよ落し文/青木重行

俳句例:41句目~

真青な山の空より落し文/市村究一郎

落し文見過したるは薄情か/細谷鳩舎

落し文拾ひて入る貴船茶屋/西居/浩

落し文まさかの人と人の仲/辻田克巳

西行の道みな細し落し文/鷲谷七菜子

閑々と孤り棲むなり落し文/羽部洞然

風あれば速達とせよ落し文/高尾峯人

佐渡よりの風の存問落し文/伊藤三十四

天衣にも縫目ありしや落し文/有馬朗人

巻きかけて心かはりし落し文/原田青児

手にしたる女人高野の落し文/清崎敏郎

捲き煎餅欲しがりし頃落し文/香西照雄

横笛庵落し文手に訪はむかな/山岸治子

照手姫いづこと拾ふ落し文/加藤三七子

磐打つて響く一山落し文/野見山ひふみ

筆塚のもぬけのからの落し文/原与志樹

繭了へて山蚕ののこす落し文/澤田緑生

風韻を巻き込みてゐし落し文/稲畑汀子

落し文匿名といふ洒落たもの/原田青児

落し文安宅の白砂巻きにけり/小原啄葉

俳句例:61句目~

落し文拾うてかけし牀几かな/稲田都穂

落し文拾ひし誰もあけて見ず/吉田ひで

落し文拾ひ開けずにをれぬ人/山辺浩子

落し文拾ひ離宮に遊びけり/北見さとる

落し文端やゝ解けて拾へとや/皆吉爽雨

落し文経巻めけば手につつむ/皆吉爽雨

落し文雪のかたまりくだきけり/上村占

ひとつ手に一つを妻に落し文/白岩三郎

解きかけし逡巡見ゆる落し文/岡田順子

万葉の世は仮名づくし落し文/堀米秋良

隣る世へ道がありさう落し文/手塚美佐

音立てゝ落ちてみどりや落し文/原石鼎

亡き叔父の学びの庭の落し文/田中英子

落し文ゆるく巻きたるもの悲し/山口青邨

落し文谷戸や常陰をなせるあり/石川桂郎

落し文身ほとりの闇やはらかし/西矢籟史

眼に読めぬ哀しみとなり落し文/松山足羽

火の色の端にあふるる落し文/菅原多つを

ひそやかに拾ひて解かず落し文/藪内柴火

落し文懸想は白をつくしけり/河野多希女

俳句例:81句目~

落し文拾ふ覗き見ごころにて/服部たか子

落し文拾ふ配達するでなく/桔梗きちかう

落し文掌にころがして渡さるる/村上杏史

しらをきることもありけり落し文/原好郎

落し文森のポストに入れて来し/宮脇白夜

横文字の落し文とてありぬべし/山田弘子

朝すでに誰が開きしか落し文/岡本まち子

芭蕉より曽良よりならん落し文/高橋秋郊

名もて妻呼びしことなし落し文/北野民夫

わが句碑にささやく湖と落し文/西本一都

落し文おかしはごろ寝貧とかな/石川桂郎

遊ぶ子のなぞなぞ解けぬ落し文/成田郁子

門掃いてより読むつもり落し文/水野柿葉

落し文舞へる静の絵馬かかり/大岳水一路

落し文樹下の二人に拾はるる/加藤三七子

落し文拾ひてこころ落ちつかず/田中こずゑ

磁場が起きさうポケットの落し文/滝沢/環

地に落ちて落し文とはなりにけり/高木晴子

落し文くはへて跳べよ荼根尼天/阿波野青畝

落し文いちいちひらくこと勿れ/佐々木六戈

夏の季語
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