季語/三寒四温(さんかんしおん)を使った俳句

俳句例:101句目~

サンダルで本屋を覗く四温かな/石川文子

女医の脚組まれて海に四温かな/田中信克

三寒の鯉がみじろぐ泥けむり/能村登四郎

父の忌の花買ひに出し四温かな/細田寿郎

売り犬が通りへ出さる四温かな/斎藤由美

熊野路の四温のひと夜雨こまか/矢島渚男

三寒の障子つぎ張りの白さもて/中山純子

白珠の四温の星のうるむなり/柴田白葉女

旅二日四温のうちに終へしこと/荻江寿友

だらしなく酔ひて四温の帽子かな/草間時彦

てのひらに四温の雨や能のあと/宇佐美魚目

めぐり来る杜氏の恐るる四温かな/小島左京

人見知りする子かくれて四温かな/横山利子

日照りつつ四温に紛れ込む雪か/鳥居おさむ

三寒四温赤ん坊泣いて肥るのみ/岡部六弥太

四温とてくづるゝ日和なりしかな/稲畑汀子

ここ数日カーテンコールめく四温/高澤良一

塩あてし鯖緊まりゆく四温の夜/伊藤いと子

母の機嫌の三寒四温おもしろき/山田みづえ

水際にて四温踏みとどまりゐたり/長谷川双

俳句例:121句目~

三寒と四温のぎったんばったんこ/高澤良一

老いごころ揺れゐて三寒四温かな/吉野義子

団地四温幼な声ほどよく届く/鍵和田のり子

一喜一憂してゐる三寒四温かな/竹中しげる

三寒四温のことに四温は父の眼よ/野澤節子

ブロンズの鷹女に会へる四温かな/関根悦子

三寒のそれでもぼちぼちハーブ園/高澤良一

手をかへすごとく三寒四温かな/八牧美喜子

窓のうちはたきのうごく四温かな/岩田由美

をとつひの三寒の尾をまだ曳けり/高澤良一

つゞきたる四温の果つる雨となる/大久保橙青

ひよいひよいと波よせてくる四温晴/小島花枝

四温とて暮れてしまいぬ海のきわ/鈴木六林男

凍てつぎて四温たまたま石蕗の濡れ/飯田蛇笏

閑のキリンと無聊の河馬と四温にて/矢島房利

四温夜に入りてもこゝろ遊びけり/篠田悌二郎

マンシヨンの足場をはずす四温の日/角皆美代子