季語/短日(たんじつ)を使った俳句

「短日」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「短日」について

【表記】短日

【読み方】たんじつ

【ローマ字読み】tanjitsu

子季語・関連季語・傍題・類語など

・日短か(ひみじか:himijika)

・日つまる(ひつまる:hitsumaru)

・暮早し(くれはやし:kurehayashi)

・短景(たんけい:tankei)

季節による分類

・「た」で始まる冬の季語

・「冬の時候」を表す季語

・「三冬」に分類される季語

月ごとの分類

11月の季語

12月の季語

1月の季語

短日を含む俳句例

短日や暮忙しき台所/堤芹村

短日の柿の蔕黒い/北原白秋

短日や夕にあらふ昼の椀/犀星

短日の沼の反射の一走者/湘子

少しづゝ用事が残り日短/実花

橋裏に短日の日の滞る/瀧春一

短日や或時ふとき我心/原石鼎

短日の寺裏口に女傘/山田貴世

短日の闇より闇へ光る牛/原裕

短日の深空杉山檜山据ゑ/舟月

短日の門や一本芒影/中島月笠

紙漉を見て彳めば暮早き/風生

日短き少彦名の祭かな/後藤夜半

短日や小銭で渡る神の島/林佑子

短日の笊しかと編む膝の上/裸馬

短日や小者叱れば口答/高田蝶衣

仏壇の妻の写真も日短か/森澄雄

短日や村に二つの小葬/野村泊月

短日の顔ふりむけば日の虜/原裕

短日の眼置かるる路傍草/斎藤玄

俳句例:21句目~

短日の壁にもたせて帚あり/旭川

海の色失はれ行く日短/稲畑汀子

畑中に一つ松あり日短/山本洋子

白山の頂き残り日短し/中西舗土

短日の浄水場の灯し頃/西村和子

短日の雨音たてぬ枯葎/内藤吐天

古町の小さき銀行暮早し/轡田進

短日や畳廊下の花の屑/増田龍雨

短日の望遠鏡の中の恋/寺山修司

干魚に影のすぐ来て日短し/照子

短日の金門橋下汐変る/高濱年尾

喪の花の裏側に坐し日短し/柏燹

短日の梢微塵に暮れにけり/石鼎

短日や陸より早き船灯/高村寿山

暮早き灯に躍りいづ萩一枝/楸邨

羽で掃く机の塵や日短/山本洋子

肝心な話に触れず日短/小島左京

船渠の底暮早き日を失ひぬ/吐天

短日の碧空たたく揚花火/石原舟月

短日や庭師の残す高梯子/川崎俊子

俳句例:41句目~

小買物とは言ひ難く日短/後藤夜半

短日の磯を汚せし烏賊の墨/原石鼎

短日やはだかり陰る嵐山/鈴木花蓑

暮早に閉す門なる飾かな/増田龍雨

短日の竹に囲まれ義央忌/椎橋清翠

山荘に泊るときめて日短/高濱年尾

短日の押す乳母車石多く/大井雅人

崩れ簗見て宿に着く日短/高浜年尾

人間は管より成れる日短/川崎展宏

崩れ簗見て宿に著く日短/高濱年尾

左右より話一度に日短/五十嵐播水

短日や例の刻来る郵便夫/石井露月

日短か飯に卵をかけて昼/福永鳴風

朱肉煮て油返すも日短き/内田百間

枯れ果てし真菰の水や日短か/素十

檻に鷲短日の煤地におちる/桂信子

短日や俄かに落ちし波の音/万太郎

原子爐に制御棒あり日短/田中裕明

涙ぐむ病妻さすり日短か/西本一都

滝壺を見て短日の底にゐる/岡本眸

俳句例:61句目~

短日の白機すすむ筬の音/石原舟月

犬にある身の上話日短か/本橋美和

猪の尾の短日となりにけり/龍岡晋

用の渦逆巻き来たり日短か/上野泰

用多き机のメモや日短か/吉屋信子

短日の家業ひとつに一家族/瀧春一

短日や漾ふものに竹生島/細川加賀

百姓の手の凹飯や日短き/松藤夏山

愛国者国会に満つ日短き/相馬遷子

相集ひ山荘にあり日短か/高濱年尾

浮腰に机控へて日短かき/石塚友二

短日に馬休ませて田家かな/碧梧桐

暮早き扉はいまだとざされず/楸邨

短日や一管噎ぶ虚空の曲/石塚友二

短日のこの鳩の豆買へといふ/汀女

短日の門を灯して豆腐買ふ/林久子

短日や柳眉を立つる岐神/古舘曹人

短日の後姿を見せる下車/依田明倫

短日や杉山透る竹の笛/青柳志解樹

短日の鋏の音が樹を移る/宮城白路

俳句例:81句目~

短日や月光り出で豆腐売/鈴木花蓑

短日の郵便局へ銀行へ/嶋田摩耶子

短日の話せば長くなる話/藤崎幸恵

短日の枯れた斜面にゐる/北原白秋

短日のバケツで運ぶ釉薬/渡辺陶火

短日の蔀戸あげて櫛造る/木村蕪城

短日の柱天女の足裏飛ぶ/古舘曹人

短日の茜に時間かけてをり/蔦三郎

短日の人より淡きものを見ず/東都

短日の今出る鳴門行の船/高濱年尾

短日の心もとなき京案内/大橋宵火

接点の見えこぬ会議日短/岩崎照子

短日の聖水盤に水すこし/横山白虹

短日の楽屋を走りぬける音/桂信子

短日の壁にぬられし蜆かな/龍岡晋

短日や砂の江尻の流れ石/小杉余子

短日や裏笹藪の鵯のこゑ/北原白秋

短日や制服のまゝ厨ごと/平尾春雷

短日や雌を死なせし紅雀/野村喜舟

短日や雪嶺天に遺されて/小野宏文