「秋の水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「秋の水」について
【表記】秋の水
【読み方】あきのみず
【ローマ字読み】akinomizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・秋水(しゅうすい:shusui)
・水の秋(みずのあき:mizunoaki)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の地理」を表す季語
・「三秋」に分類される季語
月ごとの分類
秋の水を含む俳句例
遮莫秋水に顔写り/澄雄
秋水を落ちゆけり人の息/目
秋水に研ぎ炭にほふ漆塗/林翔
谷底の空なき水の秋の暮/白泉
水の秋翁支考を俤に/宇咲冬男
暁や仙人掌上の秋の水/内藤鳴雪
狼の浮木に乗や秋の水/榎本其角
陰すゞし桐の葉動く秋の水/宗祇
秋の水細り~て澄みにけり/篠原
秋水に架す花崗岩の荒削り/林翔
秋水に尺あて筏測りをり/森田峠
小筧や敦盛塚の秋の水/飯田蛇笏
鯉一転秋水を遡るあり/高澤良一
鯉飛んで後に音なし秋の水/蝶夢
奔り来て秋水渉る二輪馬車/林翔
我祖師も舟橋おがむ秋の水/鬼貫
蒟蒻の白と黒とが秋水に/辻桃子
久闊や秋水となり流れゐし/立子
里の灯を岸に浸すや秋の水/成美
秋水やまた会ひ難き女ども/耕衣
俳句例:21句目~
秋水のゆきつくところ檜山/原裕
竹の葉に落込む音や秋の水/乙由
白鷺に子ありて秋の水に彳つ/誓子
窺へば誘ふごとし秋の水/西村和子
花火舟遊人去つて秋の水/黒柳召波
眠りたる目を洗はばや秋の水/去来
薄暗き厨房秋の水こだま/奈良鹿郎
秋水に小さき日輪とどまれり/蓼汀
磐石に落ち秋水の白き華/岡田日郎
秋水に散る花淡く四季桜/金子寿々
秋水の岩蝕んで二流れ/鈴鹿野風呂
老松の下に秋水ひきしまり/上野泰
秋水へ真赤な火から煙来る/草田男
秋水を怖れ立ち心病む日なり/林翔
糸瓜屑寄る秋水の曲角/百合山羽公
生はさびし秋水の底石うごく/林翔
秋の水つねに金の相寄れる/瀧春一
秋の水に富士を浸して猶寒し/蓼太
紀の川を一秋水と見る俯瞰/稲岡長
秋の水湛へて溢る手水鉢/吉屋信子
俳句例:41句目~
蹼のあるは還れり水の秋/高澤晶子
水の秋石樋渡す江名子川/高澤良一
金鶏山より毛越寺に秋の水/辻桃子
猪垣をことに手厚く水の秋/飴山實
碧眼に一婦凭るゝ水の秋/石塚友二
坂急に鳴る秋水を顧みる/高浜虚子
建設の秋水鉄の火を映す/斉藤夏風
秋の水猟人犬と渡りけり/尾崎迷堂
白日や鼠渡りし秋の水/大谷碧雲居
黒髪や水を塒の秋の水/河原枇杷男
の眼のするどくなりぬ秋の水/紅緑
深沈とものいふ秋の水に沿ひ/原裕
秋の水摺り見えて昼深し/内藤吐天
生はとく死は歴て告よ秋の水/白雄
秋の水斜に岨を駈けるあり/瀧春一
藍倉の陰に入りたる秋の水/桂信子
秋の水欅の下を流れけり/橋本鶏二
雲流れ運河は秋の水湛へ/池内友次郎
秋水と草の境に鯉死せり/鳥居おさむ
石一つしづかに溺れ秋の水/藤崎久を
俳句例:61句目~
秋水といふ敏感な水面あり/竹下陶子
かつと噛む杖先秋の水の鯉/皆吉爽雨
石山や石取りし跡の秋の水/歌原蒼苔
染文字に秋水走る韻きあり/渡辺恭子
秋の水たたへてすみし眸とも/車谷弘
石投ぐや秋水水輪もて応ふ/大橋敦子
なかなかに穂蓼はつよし秋の水/唐水
事なけれども神仏に秋の水/藤村克明
雲を見に鯉が顔出す水の秋/藤岡筑邨
傷心の彼の来てゐる秋の水/松山足羽
秋水に映らぬ未来ありにけり/星野椿
鳥肌や渡りはなして秋の水/立花北枝
竹秋の水跳び越えて鼬かな/山本洋子
秋水に林のごとき藻草かな/富安風生
柵みに真青き竹や秋の水/楠目橙黄子
秋水に死者三日月のごとくなり/照敏
秋水に浮べる紙の都鳥/阿部みどり女
秋の水人無き舟を泛めけり/島田青峰
秋水に色散らし鯉遊びをり/高浜年尾
秋水に蝶の如くに花藻かな/高野素十
俳句例:81句目~
澎湃と秋水は満つ舟路行る/石塚友二
翡翠の来らずなりぬ秋の水/正岡子規
背中乾きて遊べり秋の水馬/中島月笠
走り来る秋水そこに沢の家/高浜虚子
腹見せて藻を食ふや秋の水/野村泊月
秋水やすてしづみたる古扇/飯田蛇笏
掬び飲む吉野も奥の秋の水/六車井耳
秋水や藻につくの針のごと/福田蓼汀
秋水や蛇籠にふるふえびのひげ/犀星
白髭の笠木も見えて秋の水/黒柳召波
手前から暗くなる山秋の水/岡田史乃
秋水峡を出で夕雲山に還る/福田蓼汀
菱取りて里の子去りぬ秋の水/森鴎外
秋の水眠りつくまで恐ろしき/峠素子
素堂碑に韻く秋水昼も夜も/飯田蛇笏
秋の水片輪の蟹の一つ棲む/内藤吐天
白雲の行方うつして秋の水/佐藤春夫
這松に白銀の針きらと秋水/福田蓼汀
吾立つや秋水いよゝ奔流し/大橋敦子
岩痩せて足下に秋の水細し/寺田寅彦