季語/鮑(あわび)を使った俳句

「鮑」を使用した俳句についてまとめてみました。

スポンサーリンク

季語「鮑」について

【表記】鮑

【読み方】あわび

【ローマ字読み】awabi

子季語・関連季語・傍題・類語など

・石決明(せきけつめい:sekiketsumei)

・鮑取(あわびとり:awabitori)

季節による分類

・「あ」で始まる夏の季語

・「夏の動物」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

鮑を含む俳句例

鰯雲鯛も鮑も籠りけり/北枝

けふぞ汐干岩間失ふ鮑取/重九

朝市の鮑うごめく岬町/武田光子

鮑らに凪の岬の透き通り/村田脩

磯笛は命の叫び鮑海女/伊東宏晃

初獲の鮑磯笛吹き示す/茨木和生

海重き海の速さの鮑採/対馬康子

朝曇鮑をとりに真水持ち/上村占

鮑とる一舟天と地のあはひ/原裕

鮑の上あるく鮑よ一遍忌/高澤良一

海原として一塊の鮑描く/有馬朗人

象嵌の文箱なりし鮑かな/山岡正嗣

藪入の鮑の海を渡り来し/鈴木穀雨

真中に鮑が坐る夏料理/鈴木真砂女

冬潮の透けて鮑の産卵期/高澤良一

落葉積む鮑石流觴曲水址/石原八束

鮑とる萬葉の濱炎天下/八木林之介

聖鐘に祈りおくれし鮑採/朝倉和江

腰縄の刀いかつくて鮑取/飯田蛇笏

鮑貝砺としたり桃の家/阿波野青畝

俳句例:21句目~

太陽へ海女の太腕鮑さげ/西東三鬼

渦潮の底礁匐へる鮑とり/飯田蛇笏

潮垂るゝ若布と鮑磯開き/尾上萩男

管鮑や花の盃とり交はし/河野静雲

凪のあと風涼しくて鮑食ふ/中拓夫

口中に鮑すべるよ月の潟/野澤節子

月明や夜撫の鮑笊に生き/西村公鳳

礁こす浪にぶつかり鮑桶/鈴鹿野風呂

海底も上天気よと鮑海女/山中一土子

ま新しき晒をば緊め鮑攻む/伊藤敬子

磯笛に譜はなく鮑捧げ浮く/千田一路

ゴーギャンの女等の声鮑舟/加藤耕子

一舟にひとり鮑を採る荒磯/田村了咲

海女すがる桶の傾ぎて鮑見ゆ/森田峠

蒸し鮑提げて足柄山を越ゆ/宮岡計次

冬鮑あまた揚りて星うるみ/松村蒼石

噛むといふ快楽を春の鮑かな/辻桃子

白梅や水の清きに鮑も居ず/野村喜舟

夕焼のながかりしあと鮑食ふ/森澄雄

大濤に横たはり透け鮑海女/橋本鶏二

俳句例:41句目~

大鮑海底の香に売られけり/村山古郷

築地かな百の鮑を天に向け/櫂未知子

歳月や大きな鮑がやや動く/和知喜八

水眼鏡して顔小さし鮑とり/平松竃馬

秋風や海のみのりの大鮑/大岳水一路

煮鮑や雨煙りして岬泊り/大木あまり

房総産鮑槽よりひっぺがす/高澤良一

押し移り浪移りして鮑桶/鈴鹿野風呂

礁飛びして波に消ゆ鮑海女/舘野翔鶴

鮑先生赤子の寒き耳を診る/田中裕明

山育ち嫁して巧みな鮑海女/高橋利雄

潮こぼす鮑生簀を投げ積に/高井北杜

鮑とる十六海女の濡羽髪/鈴鹿野風呂

管鮑や炮烙うりしはした銭/松瀬青々

糶を待つ樽に鮑の伸び縮み/斉藤とみ

鮑剥く刃を春潮にひたしけり/辻桃子

鮑採る海女去り稽古海女残り/森田峠

鮑採る海女達夜は紅纏ひ/加藤かけい

鮑かむ鼻が重たき孤独かな/渡部陽子

鮑桶ことに傾きいくり浪/鈴鹿野風呂

俳句例:61句目~

鮑桶すがり憩ひに傾ける/鈴鹿野風呂

鮑桶高浪の穂につと走り/鈴鹿野風呂

鮑海女天に蹠をそろへたる/橋本鶏二

鮑海女流るる舟に髪を結ふ/橋本鶏二

岩礁の瀬にながれもす鮑取/飯田蛇笏

鮑食ふ短夜真珠こぼるるか/萩原麦草

鮑採をさな顔あげ磯なげき/田畑比古

菜の花に鮑釣舟を寄せにけり/山本洋子

解禁を待つ間婢として鮑海女/稲畑汀子

顔伏せて濤やり過ごし鮑とり/山田千城

うかみ来る顔のゆがめり鮑採/伊藤柏翠

かたおもひ歯にも合ざる鮑哉/松岡青蘿

鮑とり桶をいのちの熊野浦/鈴鹿野風呂

どこまでも鮑の肉の縮みゆく/長谷川櫂

よろしき句大き鮑とたとへたる/小澤實

十六夜に蹴つて鮑の殼なりし/山尾玉藻

地震のあと潮が濁ると鮑海女/中山秋月

大金のごと磯鮑押しいただく/高澤良一

宿の婢も鮑取る技持つと云ふ/柘植芳朗

帰郷後を鮑の殻の照り合えり/五島高資

俳句例:81句目~

浮かぶ身を岩に支へて鮑採る/松谷麓鶯

海霧の中漕ぎ出で鮑密漁す/水見悠々子

濤の襞手づたひ落ちぬ鮑海女/橋本鶏二

鮑桶ほして門ごとの昼ふかく/松田洋星

煮鮑に厄日の象牙箸重き/長谷川かな女

鮑海女らしき舟炉の一と煙/児玉菊比呂

乱磯をつたひ分れて鮑とる/澤村/芳翠

鮑海女波に酔ひしと礁の上/竹田ひさの

睡りてはつぶやく鮑水の泡/長谷川秋子

鮑海女種火のこして出てゆきぬ/下田稔

鮑海女綱締めの腰ひとゆすり/平子公一

神官は鮑なだめてゐたりけり/伊藤敬子

秋めくや鮑のわたの暗みどり/高橋睦郎

菊の花咲くや鮑によりかつを/立花北枝

朝凪や能登の海女きて鮑とる/渡辺しげる

春鮑船乗り夫恋うかあさん海女/橋本夢道

籠の鮑ひらく明るい草のホテル/武田仲一

宵越しの金もて鮑仕入れけり/鈴木真砂女

美貌にもこめかみありて鮑食ぶ/本宮鼎三

鮑採志摩に生れて志摩を出ず/長谷川素逝