俳句例:201句目～
春雨や高音のあとの籠の鳥/増田龍雨
春雨や猫におどりををしへる子/一茶
春雨や土乾きゐる檀の下/楠目橙黄子
舟行や春雨はれし熊野川/楠目橙黄子
春雨や降るともしらず牛の目に/来山
傘置いて包み直すや春の雨/野村泊月
春雨やゆるい下駄借す奈良の宿/蕪村
春雨やもの書ぬ身のあハれなる/蕪村
わら苞やとうふのけぶる春の雨/一茶
春雨の畠に灯流す二階かな/杉田久女
四万十の橋四万十の春の雨/高澤良一
春雨や鉢の切飴色とり～/五十嵐播水
春雨や金箔はげし粟田御所/子規句集
前山や杉の高きゆ春の雨/楠目橙黄子
春の雨鍋と釜とを運びけり/夏目漱石
春雨や嵩ばり萌えて八重葎/西山泊雲
木石や石も芽吹かむ春の雨/石塚友二
松を見るに女身見る如し春の雨/耕衣
春雨や人の情の紐濡れ羽/松根東洋城
春雨や身にふる頭巾着たりけり/蕪村
俳句例:221句目～
梁強し黒土春雨吸ひつくし/沢木欣一
春雨の底をさがすや声の糸/上島鬼貫
橋桁に舟つながるる春の雨/西村和子
春雨や蜂の巣つたふ屋根の漏り/芭蕉
水風呂に茶をはこばせて春の雨/曲翠
沖かけて濁り品川春の雨/深川正一郎
泊月の山河すぎつつ春の雨/京極杞陽
清水に月無き夜なり春の雨/藤野古白
湯上りの二本の酒や春の雨/京極杞陽
春雨の女人をかくす堂柱/大峯あきら
春雨や御殿女中の買ぐらひ/小林一茶
春雨や蛙の腹ハまだぬれず/蕪村遺稿
春雨の土塀にとまる烏かな/正岡子規
春雨の加賀友禅の街にあり/岩崎すゞ
犬眠るその大小舎に春の雨/吉屋信子
春雨や人住みてけぶり壁を洩る/蕪村
珍しう蚤のくふ夜や春の雨/横井也有
土佐鶴に鱶の湯晒し春の雨/高澤良一
春雨や鯛焼売つて別所の湯/田中冬二
春雨や鶯の巣のほととぎす/会津八一
俳句例:241句目～
春雨やお堂の中は鳩だらけ/正岡子規
病人に鰈煮てをり春の雨/鈴木真砂女
病室に物煮てあるや春の雨/吉田冬葉
春雨の低きところに牛久沼/しょう人
春雨や抜け出たままの夜着の穴/丈草
石塔もはや苔づくや春の雨/向井去来
春雨や頬かむりして佃まで/辻貨物船
春雨の中を流るる大河かな/與謝蕪村
笠島や漏らぬ岩屋も春の雨/松尾芭蕉
箱一つ積みし舟ゆく春の雨/野村泊月
春雨や薮に吹かるゝ捨手紙/小林一茶
粟島へはだし参りや春の雨/蕪村遺稿
組合ひし棺のをとこや春の雨/平出隆
綾取りの戻り綾憂し春の雨/久米正雄
総領事ハリス出府圖春の雨/高澤良一
春雨の上り際なる水輪かな/鈴木花蓑
職退いて朝寝の夫や春の雨/國武和子
肺臓に黄沙あり降る春の雨/佐野良太
背山よりもどる寺鳩春の雨/亀井糸游
大寺の屋根の起伏や春の雨/星野立子
俳句例:261句目～
自動車の陰の俥や春の雨/大場白水郎
春雨や造化へもどす茎の圧/高井几董
花売を楼より呼ぶや春の雨/羅蘇山人
春雨やうち身痒がるすまひ取/炭太祇
落つみし椿がうへを春の雨/松岡青蘿
宇和島の旅の中日の春の雨/高澤良一
宇治川やほつり～と春の雨/正岡子規
春雨や昔とふ糸小田巻に/東洋城千句
行春の雨に立つたり一つ松/尾崎紅葉
春雨のふるき小笠や霰の句/子規句集
春雨や昼間経よむおもひもの/炭太祇
赤松を杉より離す春の雨/蓬田紀枝子
銅像の濡れてゐし袖春の雨/岡田史乃
春雨や鰯団子を売りに来る/小杉余子
雨だれもせずに静に春の雨/佐川雨人
雲切れに滴りはしり春の雨/松村蒼石
静けさや内海に降る春の雨/内田百間
髪結に出でたる妻や春の雨/西山泊雲
鮒釣が藁束かつぐ春の雨/米沢吾亦紅
番組を咥へ春雨コート脱ぐ/高濱年尾
俳句例:281句目～
春雨のふるきなみだや梓神子/炭太祇
石投げて堀の深さを春の雨/正岡子規
ちとやすめ張子の虎も春の雨/夏目漱石
ぬかるみに馬の草鞋や春の雨/寺田寅彦
よき道へ上りてほつと春の雨/右城暮石
カメの中鯛活きかへる春の雨/瀧井孝作
ボストンは楡の大樹に春の雨/星野立子
会の日や晴れて又降る春の雨/子規句集
傘さして浮木に釣れり春の雨/野村泊月
傘さして舟つなぎ居り春の雨/野村泊月
傘さして雑誌読みゆく春の雨/野村泊月
傘さして馳け来る女春の雨/高橋淡路女
勝間田の池にものなし春の雨/会津八一
土恋へるとばりの葱や春の雨/西山泊雲
大丸を出でんとすれば春の雨/野村泊月
山の上に流れてゐたり春の雨/右城暮石
幾谷や家に埋りて春の雨/長谷川零餘子
底見えて生簀の深し春の雨/鈴木真砂女
廃墟なりささやき降りて春の雨/有働亨
徂く春の雨は庭木にあら～し/岸風三楼
