「氷菓」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「氷菓」について
【表記】氷菓
【読み方】ひょうか
【ローマ字読み】hyoka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・氷菓子(こおりがし:korigashi)
・アイスクリーム(あいすくりーむ:aisukurimu)
・ソフトクリーム(そふとくりーむ:sofutokurimu)
・クリームサンデー(くりーむさんでー:kurimusande)
・シャーベット(しゃーべっと:shabetto)
・小倉アイス(おぐらあいす:oguraaisu)
・小豆アイス(あずきあいす:azukiaisu)
・アイス最中(あいすもなか:aisumonaka)
・アイスキャンデー(あいすきゃんでー:aisukyande)
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季節による分類
・「ひ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
氷菓を含む俳句例
秋風の埠頭の隅の氷菓売/小林康治
氷菓舐めては唇の紅補ふ/津田清子
放浪や肘へ氷菓の汁垂れて/飴山實
氷菓砥めては唇の紅補ふ/津田清子
水際のみどりの深き氷菓売/岡本眸
雷門自転車で来る氷菓売/亀澤淑子
川を背にの餌と氷菓売る/武本節子
高熱のうつつに崩す氷菓子/飯田澄江
氷菓売倦めば港の景を見る/山田弘子
夕波の鴎見てをり氷菓売/古賀まり子
夫婦の夜氷菓の中に匙残し/対馬康子
氷菓滴らせ滴せ不死男の忌/高本松栄
氷菓舐む母娘を過ぎし男達/高澤晶子
氷菓舐め暢気妻子の信篤し/清水基吉
季羊忌の氷菓一塊食み零す/尾崎隆則
教へ子に遇ふ浅草の氷菓店/辻恵美子
鳩どつと翔つ平和像氷菓売/酒井鱒吉
色褪せし旗を掲げて氷菓売/目黒智郎
中年や氷菓の赤に舌を染め/米澤弓雄
兄妹の仲よきときの氷菓子/山田弘子
俳句例:21句目~
其の上の病院船は氷菓いろ/高澤良一
月面に人游歩せり氷菓食ぶ/細川加賀
朧夜の宴の氷菓くづし領く/久米正雄
叱る父甘やかす母氷菓舐め/塩川雄三
忌に集ふ座敷ほぐるる氷菓子/佐藤信子
くたびれて坐す江東の氷菓賣/黒田杏子
教へ子にして淑やかに氷菓なめ/森田峠
池の端に店を開きて氷菓売/御林めぐみ
晩婚の友や氷菓をしたたらし/西東三鬼
桂樹下太宰を語る氷菓売り/町田しげき
高浪の白と向きあひ氷菓食ぶ/山田弘子
駅かなし氷菓売声ぎすに似て/羽部洞然
静かに汗す風月堂の氷菓かな/筑紫磐井
氷菓舐め痺れし舌をみせあへり/辻桃子
七宝の匙きらきらと氷菓子/永島理江子
氷菓頒てば真顔幼き郵便夫/石田あき子
氷菓子ほきほき噛みて北す旅/森川暁水
氷菓買ふは欝日の過誤の罰則/鈴木栄子
氷菓子太郎と花子の顔になり/松山足羽
氷菓買えと孫の奥の手泣威し/高澤良一
俳句例:41句目~
陽の裏で黒猫を飼う氷菓店/奥山甲子男
氷菓売る老婆に海は無き如し/右城暮石
車窓伊吹氷菓のごとく遠ざかる/渋谷道
船待ちの氷菓買ふ壱岐対馬弁/脇本星浪
川照りへ氷菓の棒を捨てにけり/辻桃子
彼岸会の氷菓正体なくなりぬ/横山白虹
身の上を語るに氷菓とけやすし/塩崎緑
熊野路や屋根に石置く氷菓店/北野民夫
氷菓買う異国の銀貨数へつつ/田中南耕
扮飾が多くて氷菓冷たくなし/内藤吐天
故障車を修せる艸に氷菓買ふ/宮武寒々
赤穂城出でしところに氷菓売る/田中英子
遺影の前食べつつ氷菓尖りくる/友岡子郷
ゆつくりと旅の終りの氷菓食ぶ/西村和子
食べ終へし氷菓の匙に残れる日/福原桂子
一本の氷菓に野の気どつと寄す/栗生純夫
卓上に浮かぶは毬藻/氷菓食む/今本明代
句にならぬ女来て食ふ氷菓子/苔青庵白桃
咎やわが氷菓に見せる赤い舌/野間口千佳
喉元をするり氷菓とセレナーデ/有馬英子
俳句例:61句目~
奥美濃の眉濃き子らよ氷菓舐め/桜井幹郎
嬰に妻をとられし夜の氷菓かな/野中亮介
手つかずの氷菓とけゆく長電話/藤村礼子
楽はいまセロの主奏や氷菓子/松尾いはほ
氷菓吻ふ長谷の宿女は眉描ける/宮武寒々
氷菓ごときに突出す舌の力かな/三橋敏雄
氷菓の峯凹ます少女の堅き舌端/内藤吐天
氷菓子とぶやうに売れ爆心地/石崎多寿子
男爵夫人の接吻にとろけ氷菓子/筑紫磐井
氷菓舐める舌をたくみに操りて/内藤吐天
氷菓買ふ通りすがりのよろず店/太田常子
氷菓食べをはれば銀杏無尽の葉/友岡子郷
父祖哀し氷菓に染みし舌出せば/永田耕衣
百姓の手に手に氷菓したたれり/右城暮石
美しき氷菓を崩すこと惜しく/今井千鶴子
氷菓工場出でても工女白づくめ/野澤節子
若者の恋の氷菓の溶けやすし/小俣由とり
誠実に氷菓を痩せさせるあなた/櫂未知子
つばめ巣にもどり氷菓の函にも灯/友岡子郷
どのベンチにも至近距離氷菓売/山崎みのる
俳句例:81句目~
アメリカの銀貨はじめて氷菓買ふ/星野立子
日雇ひ等氷菓子買ひ居り列なさず/岩田昌寿
氷菓くふ離婚の沙汰もなき夫と/赤松ケイ子
青木ヶ原抜け来てほつと氷菓食ぶ/古杉長子
無職なり氷菓溶くるを見てゐたり/真鍋呉夫
炎えそうな海のテーブル脆い氷菓/伊丹公子
熱の子の氷菓舐めつつほゝゑめり/工藤順子
氷菓溶くるにまかせ愉しく同情す/油布五線
武家屋敷氷菓を舐めて見てまはる/塩川雄三
氷菓食ふ父の嫌ひしアメリカに/鈴木しげを
赫き阿蘇の裾の車窓に氷菓とかす/小林康治
氷菓一盞銀河くぐりて信濃に着く/宮坂静生
空を見てゐるみちのくの氷菓売/米島艸一路
沖に船氷菓舐め取る舌の先/西東三鬼「変身」
忘るべきを忘れ冷房に融けゆく氷菓/内藤吐天
きれいに手洗ひし子より氷菓やる/谷口まち子
氷菓食ぶことばつんではくづしては/加藤耕子
水脈を見てフェリー船尾に氷菓舐む/高澤良一
氷菓溶け気味テレビに緊迫する地球/花田春兆
ヘップバーンの座せし石段氷菓食ぶ/藤井吉道