俳句例:201句目～
火の色の透りそめたる潤目鰯かな/日野草城
鰯とれし湾の大松散り敷けり/長谷川零餘子
冬草や干鰯さらひ去ぬ山鴉/飛鳥田れい無公
鰯炊きおり良き母の心地せり/津波古江津子
佐渡見ゆる日は能登も見え鰯汲む/小林樹巴
トラックヘ荷揚鰯がどしや降れる/槫沼けい一
鰯網干しありサンドヰッチマン通り/高濱年尾
鰯くろく焼けたらば火を消せと妻/栗林一石路
妻が希ふしあはせとは何、鰯食ふ/成瀬桜桃子
鰯焼片山畠や薄がすみ/一茶/文化二年乙丑
くもる日が干鰯をあをくかがやかす/田中/七草
海中や鰯貰ひに犬も来る/一茶/文政八年乙酉
青青と氷見の潤鰯の目にたまる泪の如きもの何ならむ/岡部文夫
鰯網かつぐ前下り秋の海/杉山一轉俳句集/杉山一轉、岩木躑躅編
手にのせてうるめ鰯のまなこみよ能登の潮にあらはれ澄みて/山田あき
鰯を食ひたる口を拭ひつつ書きたらむ「いづれのおほむときにか」/山埜井喜美枝
