季語/泉(いずみ)を使った俳句

「泉」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「泉」について

【表記】泉

【読み方】いずみ

【ローマ字読み】izumi

子季語・関連季語・傍題・類語など

季節による分類

・「い」で始まる夏の季語

・「夏の地理」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

泉を含む俳句例

闇美し泉美し夏祓/素十

潺潺と冬泉あり土葬村/小澤實

中年の恋の暗さよ草泉/三谷昭

山の冬泉の鯉も朦朧と/森澄雄

近よらば泉の声の遠去らむ/玄

林中にわが泉あり初茜/小澤實

み仏と泉と庇同じうす/森田峠

浴泉のエメラルド色花曇/桂信子

鍋皿を泉に鎮め小正月/金谷信夫

薫風の泉なるべし大榎/本宮鼎三

諏訪口は泉の色の暮春かな/直人

心身の離合泉のこゑ聴けば/槐太

老い母は噂の泉柿の秋/草間時彦

落椿林泉潮を湛へたり/岡本松浜

水中に水鮮しき冬泉/正木ゆう子

泉噴く千万の音退けつ/中村汀女

大旱や泥泉地獄ふつふつと/誓子

年忘酒泉の太守鼓打つ/正岡子規

牛蒡一束泉に座る年の暮/原田喬

人声のして泉湧く町の端/桂信子

俳句例:21句目~

泉への道や全き落し角/大石悦子

泉居前広場の雨後の蟇/橋本榮治

山男老いては集ふ泉あり/有働亨

山椒秘めて林泉夏木立/吉屋信子

泉干る女足音多きゆえ/萩原麦草

家の泉鶯ひそむ緑映す/香西照雄

泉殿水かげろふも庇内/高木晴子

木蓮や泉石の幽今春に/尾崎迷堂

秋深し泉に己が鼻写る/沢木欣一

冬泉砂を忘れて砂躍る/菅原鬨也

大束の榊をひたし冬泉/綾部仁喜

泉ある証靄立つ寒山中/村越化石

館失せ泉石のこす冬の水/有働亨

震災忌老婆喫泉抱へ飲む/岡本眸

冬泉毛細根も子らも集ふ/香西照雄

日輪の見えて届かぬ冬泉/右城暮石

牛の貌泉を暗くしたりけり/大串章

冬草の弾力恃み泉まで/中戸川朝人

泉へのかぐはしき闇夜鶯/小池文子

凍る沼凍らぬ泉道は奥へ/森川光郎

俳句例:41句目~

泉に浸け少年の脛短か/上田五千石

泉なほ湧く天領の廃銀山/品川鈴子

水底にものの双葉や初泉/綾部仁喜

南半球泉に映る星の房/橋本美代子

泉と別れ一樹なき谿直登す/有働亨

台風待つ一燭泉めく暗さ/友岡子郷

谷底の癩者の家の泉など/香西照雄

草原の径は泉の森へ消ゆ/山田弘子

満月の泉飲む胃の形見え/今瀬剛一

波郷忌の泉に生きて水馬/向笠和子

林泉の起伏の奥の櫨紅葉/中野陽路

苔青く冬の泉の底うごく/川崎展宏

泉飲む仔馬に風の茨垂れ/飯田龍太

花終りぬ泉いよいよ黝し/栗生純夫

喫泉に百万石の蝉しぐれ/田中英子

泉石をはづるる滝や青嵐/飯田蛇笏

泉湧く朴の花影片寄せず/羽部洞然

泉渾々飯島晴子自裁せり/鈴木鷹夫

四阿は風の十字路泉噴く/田中水桜

色鳥や森は神話の泉抱く/宮下翠舟

俳句例:61句目~

泉殿鏡面消えし古鏡吊る/橋本鶏二

腕時計外す泉の底得んと/河野南畦

どか~と泉の深さ底磊塊/西山泊雲

肌沈め野分の泉底明るむ/筒井節子

林泉は富士の伏流榛咲ける/轡田進

春遅し泉の末の倒れ木も/石田波郷

朝の裸泉のごとし青年立つ/島津亮

大寺の寒泉の声聞きに来し/有働亨

枯葎とくとくと鳴る坂泉/巌谷小波

泉掬む山人面上げにけり/河野静雲

老人の笑ひて秋の泉かな/井上康明

死火山麓泉の声の子守唄/西東三鬼

泉まで遡る蝌蚪黒緊り/中戸川朝人

宿とればすぐ泉べに炊ぐ娘よ/爽雨

泉屋の跡に落葉が彩重ね/田中英子

泉屋の壓に蚊の鳴く夕哉/正岡子規

榛の枝を山蛤おつ泉かな/飯田蛇笏

汗冷えつ笠紐浸る泉かな/飯田蛇笏

少年の鱗のひかる泉かな/近三津子

沢瀉に泉の蜻蛉生れけり/根岸善雄

俳句例:81句目~

山中や泉を寝かせ涅槃雪/村越化石

岩穿ちけるを昔に泉かな/尾崎迷堂

紅葉して引湯泉質二系統/高澤良一

崖泉玉とたばしる太郎杉/巌谷小波

巌より湧く泉には齢なし/津田清子

松籟の泉の底に起りけり/牧野春駒

己が顔映りて暗き泉かな/野村泊月

帽燈や坑の泉は声あげて/小林康治

残雪や狩くら神の泉鳴る/巌谷小波

林泉のやがて淙々水羊羹/川端茅舎

手を洗ふ冬の泉に小鳥影/田村一翠

秋晴のトレビの泉人の群/河野静雲

蝕月に泉都の一夜松の内/宮武寒々

旅人の影を重ねし泉かな/成瀬正俊

赤き馬車泉に掬める少女待つ/林翔

透明な泉はぬくし病父に冬/飴山實

逢ひにゆく枯山中の一泉/宮坂静生

邯鄲や叢中泉あるごとし/羽部洞然

雪中や泉は底の石うごく/長谷川櫂

世阿弥の手巌の真下より泉/中田剛