俳句例:101句目～
初冬の狐の聲ときこえたり/泉鏡花
初午や狐つくねしあまり土/炭太祇
初午や狐のわたる雪の積/滝井孝作
化け兼る狐とびゆく野分かな/空能
化け兼る狐とびゆく野分かな/空能
盗人に出合ふ狐や瓜ばたけ/炭太祇
口に乗る春歌や旱の狐立つ/斎藤玄
口切や宗旦狐座にまぎれ/井沢正江
鼻合はす石の狐や春の月/野村喜舟
留守狐お供狐を送りけり/子規句集
嫁とりし狐が顔や枯尾花/会津八一
狐罠野犬荒すと炉守言ふ/福田蓼汀
狐嫁入るかと仰ぐ一の午/千原叡子
巫女に狐恋する夜寒かな/與謝蕪村
巫女に狐戀する夜寒かな/蕪村遺稿
狐啼き膳部つましき坊泊/加藤一郎
幻の狐の耳のはつきりと/橋本鶏二
水仙に狐あそぶや宵月夜/蕪村遺稿
後朝を狐となりし中納言/筑紫磐井
打よりて狐括りつ鳴子縄/尾崎紅葉
俳句例:121句目～
掛稲や狐に似たる村の犬/正岡子規
文字滲むように二匹や夏狐/澁谷道
狐出て遊べしどみの返り花/有働亨
湯ざめして鏡の奥の狐顔/仙田洋子
狐らも夜霧の上の風を聴け/夏石番矢
襟巻の銀狐獣の爪をもてり/岸風三楼
月待つと狐は己が尾を抱き/鈴木栄子
月澄むや狐こはがる児の供/松尾芭蕉
有明に狐飼ふ子の春明くる/前田普羅
うれしさの狐手を出せ曇り花/原石鼎
おのが影踏み遊びをり檻狐/山田弘子
狐罠かけきし夕餉黙し食ふ/亀井糸游
薔薇色の舌を狐も吾も蔵す/山根真矢
狐狗狸の頭ならべて雪安居/本田一杉
どこにひそむ金の狐や蕨狩/平畑静塔
耳うごく飛騨の客僧狐鳴く/山上荷亭
枕立て狐の声を恋ひわたる/後藤綾子
ふりむきし狐のお面水草生ふ/中田剛
ふり向きて狐まぎるる山の色/堤京子
枯菊に来らずなりし狐かな/高浜虚子
俳句例:141句目～
狐なく霜夜にいづこ煤はらひ/炭太祇
種売に狐日和のおもしろし/古舘曹人
恵方道狐の穴もほとりして/白岩三郎
意趣のある狐見廻す枯野かな/炭太祇
狐罠西瓜畑にかけてみむ/香月/房子
県居に狐なんどや草枯るゝ/尾崎迷堂
椴の穂に星のあをしと鳴く狐/及川澄
手毬かくる狐ケ崎の枯芝に/萩原麦草
狐鳴く村より女来て回向/中村としゑ
冬山家狐を飼へる臭ひあり/清崎敏郎
子狐のかくれ貌なる野菊哉/與謝蕪村
狐罠日沈むとき月のぼる/大峯あきら
狐鳴く岡の昼間や雪ぐもり/内藤丈草
新月に野狐のつく舎をさす/飯田蛇笏
永き日の狐が落ちし稿のあと/中拓夫
白狐いや雪をんな邪鬼一瞬/大里泰照
白露や狐の顔のぬるゝまで/野村喜舟
火の如き狐臭の中の檻の狐/谷野予志
檻狐人に流し目見せにけり/牧野春駒
小狐の風にかくれし芒かな/羅蘇山人
俳句例:161句目～
早蕨や狐の穴もうらゝかに/野村喜舟
古狐らしと嗅ぎ居し地へ罠/田丸夢学
冬の夜の狐は親のなくやらん/中勘助
狐鳴き夜々籠る吾に足温器/村越化石
夜狐の声ひそめゐる花神楽/橋本榮治
夏めくや狐いろなる障子の灯/中拓夫
白樺の秋日銀狐の眸にのこる/瀧春一
田の神に御慶の狐通りけり/邊見京子
巻物をくはへて狐野分雲/佐々木六戈
曲り屋に狐鳴く山迫りたる/幕内千恵
冬されや狐も喰はぬ小豆飯/正岡子規
月の夜は狐の檻の暗かりし/山口青邨
走馬燈鳴かぬ狐が走りをり/野坂民子
踊子の一人ふえしは狐なり/小川軽舟
狐啼く三更といふ刻あれば/植平桜史
辻堂に狐の寝たる霜夜かな/正岡子規
天上の日を鎮めゐし狐罠/磯貝碧蹄館
達磨忌や狐も啼くか南禅寺/中村史邦
野馬に子供あそばす狐かな/野澤凡兆
冬されや狐もくはぬ小豆飯/子規句集
俳句例:181句目～
鉢たゝき狐塚まで二人づれ/中川四明
長湯して仙人とをり狐啼く/太田土男
闇に出て神楽狐の貌冷やす/宮坂静生
闇の夜きつね下這ふ玉真桑/松尾芭蕉
年の夜の狐にかへる狂言師/深谷雄大
闇割れて白狐顕はる夏芝居/西村和子
冬うらゝ狐塚土減るばかり/長谷川双
雁なくや子連れ狐の市女笠/鈴木栄子
雌狐の尾が雄狐の首を抱く/橋本鶏二
地吹雪に出口もあらず狐塚/古舘曹人
姐さんの花に浮かれて狐拳/筑紫磐井
雪の中珠や埋め去る狐かな/久米正雄
雪の森狐も住まぬ明るさよ/鈴木花蓑
雪代の激ちのかかる狐小屋/宮坂静生
六斎の一人は鳥羽の狐かな/松瀬青々
知恵で臭い狐や夏の火山島/西東三鬼
雪藉きて狐ら黙す寂しさは/堀口星眠
二三日狐も寄らず暮るる秋/会津八一
霧にいる狐の青さ散華とや/金子兜太
霧月夜狐があそぶ光のみ/橋本多佳子
