俳句例:101句目～
きつつきや軋み開けたる荘の木戸/松本澄江
啄木鳥やおのがこだまの中に棲み/太田黄波
啄木鳥の絶えまを初夏の雲冷えて/渡邊水巴
赤啄木鳥の打つ幹昼を凍るなり/小林黒石礁
赤啄木鳥や裾野の起伏霜充ちて/望月たかし
隣雲亭交る小啄木鳥のこゑ飛べり/堀口星眠
けらつつきふかき眠りの木を叩く/永井一穂
啄木鳥や道具負ひゆく飛騨大工/加倉井秋を
霧荒れて小啄木鳥の飛翔前のめり/堀口星眠
啄木鳥の木の間に見えし二階かな/鈴木花蓑
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々/水原秋櫻子
小啄木鳥の森風の表情すぐ変る/河野多希女
啄木鳥やくれなゐ震ふ蔦かづら/徳永山冬子
啄木鳥に無視されてゐる愉しさよ/坂本宏子
きつつきのひとこゑ森の暮色呼ぶ/大島民郎
仁王の眼を啄木鳥がたたけり高野谿/石原八束
啄木鳥こだま山齢樹齢あらたまる/千代田葛彦
暮れなむと啄木鳥鳴き捨ての柳かな/中村明子
樅の幹めぐる小啄木鳥のかくれんぼ/堀口星眠
樵り休めば啄木鳥の叩くしづかさよ/吉田冬葉
俳句例:121句目～
啄木鳥の見えざる声を追ひ越しぬ/加藤知世子
啄木鳥の棲む穴そこにここにあり/大塚鶯谷楼
啄木鳥のこぼせるものの落ちもこず/皆吉爽雨
啄木鳥のくらしいたづらにも見ゆる/山口笙堂
啄木鳥の子のしばらく顔を出しをりぬ/森田峠
落葉松の新樹うがちたり啄木鳥の巣は/吉川春藻
啄木鳥や木の葉の渦を見るばかり/竹下しづの女
啄木鳥や硫気沁み入るヒュッテの扉/小林黒石礁
きつつきの穴見ゆ紅葉せるその木に/瀧澤伊代次
たどれば啄木鳥肺に斑のある一生いかに/川口重美
啄木鳥やSTARAYSHEEPと大地ゆ声/川口重美
