俳句例:101句目～
明日しらぬ雛の栄耀やけふの桃/支考
明日嫁ぐ子に家ぢゆうの春灯/堀曜子
決断は明日にしよう梅固し/石川和子
花李昨日が見えて明日が見ゆ/森澄雄
霜なまこあすは雪とぞふりなまし/露言
今日の旅明日の旅を炉に語る/岩垣子鹿
落し文あすを煩ふ羅漢ゐて/平井さち子
火祭をあすに草引くお滝みち/茂里正治
枯蟷螂無声映画のごとき雨/佐藤あすな
月明し明日咲く芙蓉かぞふべし/安住敦
信用は明日への投資茄子の花/松浦敬親
傘立つる夕雨牡丹明日を在れ/皆吉爽雨
暖炉あり壁の暦のあすを指し/横山白虹
兵泊めて大演習は明日となる/松藤夏山
春めく灯あすの人参けふ洗はれ/草田男
指折れば翌へもかかる牡丹かな/千代尼
月光に抱かれ明日のため眠る/加納立子
冬虹の明日なき潟に光り合ふ/佐川広治
出代女粟津の祭明日といふ/岡本癖三酔
切に拭く黴の茅屋明日去るを/相馬遷子
俳句例:121句目～
厨西日あすの麦湯の麦を煎る/高浜虚子
初雪やキミ明日クル明日クル/如月真菜
いざや寝ん元日はまたあすのこと/蕪村
卯月野に笑つて沈む明日の陽/佐藤鬼房
病む人に明日の明るさ更衣/赤松けい子
あす越ゆる天城山あり狩の宿/福田蓼汀
あす知らぬ身を韓國の月見哉/正岡子規
明日曳ん家浮かしあり夕露す/高田蝶衣
曲り角で夕陽と別れ明日は白紙/穴井太
明日よりは七月となる祓かな/成瀬千代
明日のこと少しは見える寒の崖/西順子
明日のこと煩ふ勿れ燗熱し/前田野生子
晩涼や妻擁きて明日つかるるな/森澄雄
あす散るも知覧のよべの花見酒/林日圓
舞台へは明日の朝着く大白鳥/杉野一博
売文は明日へまはして菊の酒/加藤郁乎
晩年といえど明日あり五月風/吉田舎生
明日死ぬる命めでたし小豆粥/高浜虚子
明日葉と濤胸襟を開き合ふ/町田しげき
あすよりは妻のほとりや桜餅/長谷川櫂
俳句例:141句目～
明日よりは遠き但馬と冬の空/京極杞陽
羽子板市明日は何売る男の背/渡辺嘉幸
あすの夜は寝させてくれよ蜀魂/千代尼
夕牡丹田仕事明日にはじまると/瀧春一
明日帰る人と親しき炬燵かな/高木晴子
夕蛙昨日捨てねば明日遠し/勝又寿々子
明日の人を待つ花として盛り/湯室月村
夜々芽吹く誰の日記も明日は白/岡本眸
鳥渡り明日はと望む山夏野/河東碧梧桐
明日の日の無きが如くに大晦日/武川秀
夜をこめて明日の羽子を作りけり/隆女
夜桜に歩きて誰も明日知らず/西村和子
鬼の子のあるある法則明日は雨/鷲田環
笠雲に明日をうらなふ大根引/中村翠湖
明日の月雨占なはん比那が嶽/松尾芭蕉
髪洗ふ手術を明日の胸しづめ/朝倉和江
明日知れぬ身や寒星の煌きに/雨宮抱星
空すでに明日の雲溜め夕雲雀/田中太朗
とんぼ自在明日へ光を水平に/玉城一香
天気図に明日の横這い寒気団/高澤良一
俳句例:161句目～
非常米あり明日照らす雪満月/村越化石
明日はまた雪になるぞと冬花火/小島健
春寒の長き伯林明日発たん/池内友次郎
明日海へゆく夕焼に泳ぐ真似/鈴木鷹夫
静かなる受験を明日の糊仕事/石川桂郎
どの牛も遠目せり明日牧閉す/大畑善昭
短日の雲や明日なき如く垂れ/内藤吐天
宵宮の明日へ沈めて泥鰌筒/岩崎きゑ子
病骨に怖るゝ明日の寒さかな/島田青峰
寒厨の灯を消し明日は花購はむ/岡本眸
はりはりと水菜明日へ快速球/遠藤秀子
明日は冬蝶と詠まるる情もて/藤浦昭代
町残暑明日何あるも人知らず/星野立子
山々に明日は雪見ん網代かな/田中二星
山桐の芽立ちに明日の透きゐたり/原裕
露草は明日ひらく花瀬々ひびく/和泉好
玉子酒妻にもすすめ明日は旅/高樹旭子
猫柳水の何処より明日といふ/鎌倉佐弓
狸まつり明日に雨の予報かな/三枝なほ
岩燕明日なきごとく翔ぶ山湖/谷口和子
俳句例:181句目～
春の西日明日の葬儀の樒運ぶ/右城暮石
明日引かん万里の心鶴眠る/小原菁々子
明日は引く白鳥の首太きかな/水野宗子
霜葉の明日にまどろむ旅衾/百合山羽公
炉開きの明日へ音たて畳拭く/秋山素子
明日予定たたずも楽し火蛾の宿/星野椿
涼風に身を置き明日を考へず/藤木和子
浅春や明日へみな向け夜の舟/菖蒲あや
明日は死ぬ寒鮒の水入れ替へる/桂信子
明日遠し昨日もとほし梅雨蛍/那須乙郎
雲流れ明日も天気と炭団干す/菖蒲あや
忘れ雪明日は別るゝ女とあり/松木百枝
雪囲ひして居り明日は出稼に/米田一穂
明日二十歳逝く秋一日我ままに/弓削裕
流燈の明日は着くらむ天の川/相馬沙緻
成仏を明日に蝉の富楼那の弁/高澤良一
泰山木明日咲く花を月に挙げ/伊東宏晃
雪囲して居り明日は出稼ぎに/米田一穂
雛飾る明日戦争にならうとも/斎藤寛子
明日は種下ろす雨なり長命寺/山本洋子
