季語/冬耕(とうこう)を使った俳句

俳句例:101句目~

冬耕のひとりひとりに夕陽濃し/澤村昭代

冬耕のひとりキリストかも知れず/長田等

冬耕のわが墓に寄り飯ひらく/金尾梅の門

冬耕の水城といへる野をいそぐ/高濱年尾

冬耕を天にとどまる日和かな/上田五千石

冬耕の田のま中より打ちはじむ/皆吉爽雨

冬耕や谷の向うもひとりなる/白岩/うた

冬耕の牛より人の黒く見ゆ/阿部みどり女

冬耕の日あたるたびにあらはるゝ/飴山實

冬耕の折り返すたび日にあらた/宮田正和

漂着せり冬耕はるかなるひとり/北川邦陽

冬耕やふとんたたむように大和/若森京子

冬耕の戻りくるぶし湯もて拭く/本宮哲郎

冬耕人くちびるに血を滲ませぬ/大野林火

聖堂を出て冬耕のひびきあり/大岳水一路

冬耕の骨のコキリと鳴りにけり/影島智子

背の子逆立つ冬耕の身を曲げて/谷野予志

冬耕やいはほのごとき牛を引く/橋本鶏二

冬耕の顔を上げぬと決めしごと/片山由美子

二〇〇〇年の夕暮れの人冬耕す/森下草城子

俳句例:121句目~

冬耕のあとさき艶歌こぼしゐて/長谷川秋子

冬耕の暮るゝまで澄みまさりけり/小林康治

冬耕のさつきから掘るひとところ/今瀬剛一

冬耕の婦がくづをれてだく児かな/飯田蛇笏

冬耕の鍬ふりあげてをみななる/高橋淡路女

冬耕去りゆきぬ独語を地に埋め/大野せいあ

売ることにかかはりもなく冬耕す/影島智子

冬耕の暮れてときどきものを言う/鈴木六林男

くちびるに撥ね上げて甘し冬耕土/能村登四郎