俳句例:101句目～
梅雨晴の眩惑するに任せけり/相生垣瓜人
梅雨晴れの満月土間の蓑に射す/高木虹鳩
梅雨晴れや佐久の村人鯉飼へる/田中冬二
梅雨晴や借りて戻さぬ傘の文字/島田青峰
梅雨晴れや手枕の骨鳴るままに/横光利一
梅雨晴や北斗の下の能登に入る/前田普羅
梅雨晴の山を見上ぐる嗽ひかな/水落露石
梅雨晴の今日でありしを喜びぬ/高木晴子
昇天す長病み果てし梅雨晴れに/渡辺恭子
焼跡へ梅雨晴の空ひた押しに/中村草田男
球追へば耳に鳴る風梅雨晴るる/奈良文夫
畦際を濁すゐもりよ梅雨晴間/阿部ひろし
梅雨晴れて一度に生れ糸とんぼ/稲畑汀子
真鍮のノブをまはして梅雨晴間/関森勝夫
立山も海も見えずに梅雨晴るる/松住清文
長靴のさかさに干され梅雨晴間/今泉貞鳳
梅雨晴の飛瀑芯までかがやけり/野澤節子
梅雨晴れて蝶も小鳥も来りけり/野村泊月
干し衣は紺の五月晴のよく乾き/高濱虚子
飛騨の子の花いちもんめ梅雨晴間/鉄之介
俳句例:121句目～
梅雨晴の森たつぷりとありにけり/大井戸辿
かしは手の二つ目は澄み五月晴/加藤知世子
かみそりのやうな風来る梅雨晴間/星野立子
もぎ立ての梅を漬けませ梅雨晴間/高澤良一
パン生地の膨らみすぎし梅雨晴間/能勢俊子
梅雨晴や人魚の国のメール来る/澤柳たか子
五月晴とはやうやくに今日のこと/稲畑汀子
探しもの不意に出てきし五月晴/甲斐つる子
五月晴やあつい天気に取りかゝる/子規句集
南蛮絵梅雨晴れたれば歩く様/長谷川かな女
名ある星うすうすとあり梅雨晴間/梶山尚星
大和路や麦生に塔に梅雨晴るゝ/松根東洋城
虎の子の縞鮮やかに梅雨晴らす/長谷川秋子
梅雨晴の武庫の山容思惟半伽/長谷川かな女
梅雨晴れの天駆けきたり筑紫野に/高井北杜
梅雨晴れ間ビルからビルヘ靴光る/吉原文音
梅雨晴れの或る日選んで靴を干す/高澤良一
梅雨晴るる家畜のにほひ土に染み/相馬遷子
梅雨晴間焼むすびなど匂はせて/星野麥丘人
駄馬梅雨晴片脚爪立てまぐさ食う/古沢太穂
俳句例:141句目～
悪妻の名に追はるるや梅雨晴間/加藤知世子
しつかりと降りしつかりと梅雨晴間/後藤夜半
梅雨晴間リモコン飛行機競ひ合ふ/田中こずえ
愚図ついていつになったら五月晴れ/高澤良一
梅雨晴のそれなりにそはそはとかな/石塚友二
梅雨晴れの榧の一樹の香りけり/阿部みどり女
五月晴れとはやうやくに今日のこと/稲畑汀子
屋根屋去り梅雨晴の空残りけり/阿部みどり女
梅雨晴間見知らぬ我に逢ひにゆく/小泉八重子
梅雨晴を賜びしと父母の来給へる/瀧澤伊代次
梅雨晴の皆団交に踏み立つ土/赤城さかえ句集
建てましのそこだけ夕日梅雨晴るゝ/永井東門居
五月晴リュックの混みてローカル線/天野美代子
梅雨晴れの一と日暮れゆく味噌豆腐/赤城さかえ
梳る必死の指に梅雨晴間/『定本石橋秀野句文集』
滝野川一ノ六一番地何ごともなく梅雨晴るる/岸田稚
梅雨晴れの枝に早や子供来てからだ振つてる/大橋裸木
